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1. 債務整理を司法書士に依頼した場合の費用相場
債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つの手続きがあります。
司法書士が対応する場合は、法律で定められた範囲により、債権者と直接交渉する「代理人」として受ける場合と、裁判に提出する書類を作成する役割で受ける場合の2つに分かれます。
司法書士の報酬は全国で一律に決められているわけではなく、各事務所ごとに設定されています。ただし、多くの事務所が参考にする「相場」があり、日本司法書士会連合会も報酬の目安を示しています。
債務整理それぞれの手続きの費用相場を紹介します。
1-1. 任意整理の場合
多くの場合、1社あたり2万円から3万円としているケースが多いです。ただし、着手金を2万円から3万円、減額報酬を10%というように加算方式にしている事務所もあるようです。
「減額報酬」とは、債権者との交渉で元本が減った場合に、その減額分に応じて一定割合を報酬として追加する仕組みです。ただし、任意整理では主に「遅延損害金」や「将来利息」のカットを交渉するのが一般的で、元本自体が減るケースは少ないため、減額報酬を請求する事務所は多くありません。
例外として、取引履歴をもとに再計算した結果、過払いがあるが返還請求するほどではなく、残債務と相殺することで元本を減額できたケースがあります。このような場合に限って、減額報酬が発生することがあります。
内訳 | 金額 |
|---|---|
相談料 | 1時間(あるいは30分)5,000円~10,000円 ※初回の相談を無料としている事務所も多い |
着手金 | 2万円〜3万円(設定していない事務所も多い) |
手続報酬 | 2万円〜3万円 |
合計 | 1社あたり2万円〜6万円程度 |
1-2. 個人再生の場合
個人再生については、司法書士は代理人としてではなく、裁判書類作成業務として手続きに関与します。司法書士に個人再生の申立書類の作成を依頼した場合には、おおよそ30万円から40万円で設定されていることが多いです。
内訳 | 金額 |
|---|---|
相談料 | 1時間(あるいは30分)5,000円~10,000円程度 ※初回の相談を無料としている事務所も多い |
着手金 | 設定していない事務所が多い |
手続報酬 | 30万円〜40万円 |
収入印紙代 | 1万円 |
官報掲載費用 | 1万円〜2万円 |
合計 | 30万円~40万円程度(再生委員が選任される場合の報酬を除く) |
1-3. 自己破産の場合
自己破産についても、個人再生と同様に司法書士は、代理人としてではなく、裁判書類作成業務として手続きに関与します。司法書士に自己破産の申立書類の作成を依頼した場合には、おおよそ20万円から30万円で設定されていることが多いと考えられます。
内訳 | 金額 |
|---|---|
相談料 | 1時間(あるいは30分)5,000円~10,000円程度 ※初回の相談を無料としている事務所も多い |
着手金 | 設定していない事務所が多い |
手続報酬 | 20万円〜30万円 |
収入印紙代 | 1,500円 |
官報掲載費用 | 1万円〜2万円 |
合計 | 20万円~30万円程度(管財事件の場合の予納金を除く) |
2. 債務整理を司法書士に依頼する場合の費用内訳
債務整理を司法書士に依頼する場合にかかる費用を、種類ごとに紹介します。
2-1. 相談料
相談料については、「初回無料」で設定している事務所が多いです。有料である場合には、1時間(あるいは30分)5,000円から10,000円程度で設定している場合が多いと考えられます。
2-2. 着手金
着手金とは、依頼する際にあらかじめ支払う報酬のことです。ただし、司法書士に債務整理を依頼する場合、着手金を設けていない事務所も多くあります。
これは、任意整理・個人再生・自己破産のいずれの手続きでも、「任意整理1社あたり3万円」「自己破産20万円」といったように、手続き報酬をまとめて設定している事務所が多いためです。
着手金を設定している事務所では、途中で解約しても返還されないのが一般的なので、依頼前に確認しておくとよいでしょう。
2-3. 成功報酬
成功報酬とは、基本報酬とは別に、手続きが成功して依頼者に経済的な利益が生じた場合、その利益に応じて一定の割合で支払う報酬のことです。
任意整理・個人再生・自己破産といった手続きでは、成功報酬を設けていない事務所がほとんどです。そもそも司法書士の業務では、成功報酬という考え方があまり使われない傾向にあります。
ただし、過払い金返還請求のように、交渉によって実際にお金が戻ってくる場合には、その金額から成功報酬が差し引かれる形で請求されることがあります。
2-4. 減額報酬
減額報酬とは、債務の元本を減らすことに成功した場合に、その減額分に応じて請求される報酬のことです。
ただし、任意整理では主に遅延損害金や将来利息をカットする交渉が中心で、元本自体が減るケースはほとんどありません。そのため、過払い金請求を伴わない通常の任意整理では、減額報酬を設定していない事務所が多いのが実情です。
また、個人再生や自己破産では、司法書士の業務は申立書類の作成に限られるため、減額報酬が請求されることは基本的にありません。
2-5. 実費
実費の代表的なものとしては、郵送費・印紙代・交通費などがあります。さらに、個人再生や自己破産の手続きでは、追加で以下の費用がかかることがあります。
官報公告の予納金:約1万円〜2万円
再生委員の報酬:約20万円(個人再生)
管財予納金:少額管財事件なら約20万円(自己破産)
このように、実費は依頼先にかかわらず発生するため、あらかじめ確認しておくと安心です。
3. 弁護士との業務範囲と費用の違い
弁護士は、任意整理・個人再生・自己破産のいずれの手続きでも、代理人として受任することができます。
一方で司法書士の場合、任意整理を代理人として行えるのは「1社あたり140万円以下の債務」に限られます。さらに、この業務を扱えるのは、法務大臣の認定を受けた認定司法書士だけです。
もし債務額が140万円を超える債権者が含まれていた場合は、弁護士に依頼し直す必要があります。ただし、その際には、最初に依頼した司法書士が提携する弁護士に引き継いでくれることも多いです。
また、個人再生や自己破産については、司法書士は代理人にはなれませんが、裁判所に提出する申立書類の作成を行うことができます。この場合、書類は債務者本人の名義で提出し、裁判所からの連絡先を司法書士事務所に指定することで、実務面をサポートしてもらえます。ただし、裁判所から本人出頭を求められた場合には、司法書士は代理人ではないため、本人が自ら対応する必要があります。
費用面では、司法書士の方が弁護士より安く設定されている事務所が多い傾向にあります。特に個人再生や自己破産は代理人としての関与がない分、弁護士よりも低い費用で依頼できる場合が多いといえるでしょう。
4. 債務整理の依頼費用は弁護士と司法書士どちらが安い?
債務整理において、弁護士と司法書士のどちらに依頼するほうが安く済むのかを解説します。
4-1. 司法書士の方が費用を抑えられるケースが多い
事務所によって違いはありますが、一般的に司法書士の方が費用を安く設定していることが多いです。これは、個人再生や自己破産の場合、司法書士の業務が書類作成に限られるため、代理人として全面的に対応できる弁護士よりも費用が抑えられるからです。
任意整理については、1社あたりの債務が140万円以下であれば弁護士も司法書士もできる業務の範囲は同じです。本来なら費用に大きな差が出る理由はないはずですが、実際には弁護士の方が高めに設定されているケースが多く見られます。
また、自己破産でも「同時廃止事件」では、書類提出だけで手続きが終わることもあります。このような場合は代理人が必ずしも必要ではないため、報酬の安い司法書士に依頼するメリットが大きいといえるでしょう。
4-2. 債務整理を弁護士に依頼した場合の費用相場
弁護士に債務整理を依頼する場合の費用相場は次のとおりです。
【任意整理】
「1社あたり2万〜5万円程度」または、「着手金2万〜5万円+解決報酬2万円前後」で設定されるケースが一般的。さらに、減額報酬が発生する場合は、減額分の約10%を請求されることもある。
【個人再生・自己破産】
おおよそ40万円から60万円
全体的に見ると、弁護士の報酬は司法書士より高めに設定されていることが多いです。
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5. 債務整理で専門家への依頼費用を安く抑える方法
債務整理において、専門家への報酬を安く抑える方法をいくつか紹介します。
5-1. 無料相談を活用する
初回相談を無料としている事務所を利用すれば、相談料の負担なく複数の事務所を比較できます。費用の面だけでなく、専門家の説明がわかりやすいか、信頼できる人物かといった相性もあわせて確認することが大切です。
5-2. 完全成功報酬型の事務所に依頼する
債務整理は過払い金請求ほど「成功報酬」と結びつきませんが、中には契約時の着手金を取らず、手続き完了後にだけ報酬が発生する事務所もあります。依頼時の資金負担を軽減できるため、手元にお金がない場合に有効な方法です。
5-3. 手続きの一部だけを依頼する
案件の内容によっては、一部の手続きを自分で行い、専門家には必要な部分だけ依頼することで費用を減らせる場合があります。ただし、進行が複雑になったり、事務所によっては対応を断られたりすることもあるため注意しましょう。
5-4. 任意整理後の返済は自分で行う
任意整理の合意後は多くの場合、3〜5年間の分割返済が続きます。返済代行を依頼すると払い忘れを防げますが、その分手数料がかかります。自分で各債権者に振り込むようにすれば、この手数料を節約できます。
5-5. 分割払いや後払いに対応している事務所を選ぶ
報酬総額は変わらなくても、支払いを分割払いや後払いにできれば、依頼直後の生活への負担を抑えられます。資金が足りなくても依頼しやすい仕組みなので、事務所に確認してみるとよいでしょう。
5-6. 法テラスで依頼費用を立て替えてもらう
法テラスとは、国が設立した「日本司法支援センター」という機関のことです。法テラスでは、収入や資産が基準を下回る場合、無料相談や費用の立て替え制度を利用できます。
立て替えられた費用は、後から分割で法テラスに返済する仕組みです。直接法テラスに申し込む方法と、契約している弁護士や司法書士を通して利用する方法があり、依頼時にあまり資金がなくても安心して依頼できます。
6. 債務整理の司法書士費用に関するよくある質問
Q. 過払い金や時効援用のみを司法書士に依頼した場合の費用はいくら?
過払い金返還請求は、着手金を2万円から3万円程度と設定し、返還された金額の20%程度を成功報酬としているケースもありますが、着手金を設定していない事務所も多くあります。
消滅時効の援用(内容証明郵便送付)については、1社あたり3万円程度が相場だと考えましょう。
Q. 司法書士が債務整理できる金額の上限は?
個人再生や自己破産は、司法書士が裁判所に提出する書類を作成する業務として対応できるため、債務額に制限はありません。
一方、任意整理では司法書士が代理人として交渉できるのは1社あたり140万円以下の債務に限られます。さらに、この業務を扱えるのは認定司法書士だけです。
Q. 司法書士への依頼費用はなぜ安い?
個人再生や自己破産では、司法書士は代理人ではなく書類作成を担当する立場のため、弁護士よりも費用が安くなる傾向があります。
また、あくまでも私見ですが、任意整理については、司法書士に簡易裁判所での代理権が認められたのが平成15年と比較的最近で、当初は経験の少なさもあり報酬を低めに設定する傾向があったとも考えられます。
Q. 費用の安い司法書士に依頼すると、債務整理が失敗する?
そんなことはありません。額や内容によっては、対応できない業務もありますが、基本的には、司法書士の業務範囲であれば責任をもって相応の結果を出してもらえます。
Q. 司法書士に依頼して裁判になったら余計に費用がかかる?
司法書士が代理人として対応できるのは、簡易裁判所で扱う140万円以下の訴訟に限られます。それ以上の金額になると、司法書士には代理権がないため、弁護士に依頼し直す必要があります。
司法書士が作成した書類を使って本人訴訟の形で進めることも可能ですが、実際には弁護士に引き継ぐケースが多いです。その場合、司法書士に支払った報酬がどこまで必要になるかは事務所ごとに異なるため、裁判になる可能性があるなら、事前に確認しておくのがおすすめです。
Q. 分割払いや後払いに対応してくれる司法書士は多い?
多くの場合には、応じてもらえます。最初の相談時に確認しておきましょう。
Q. 安さ重視で専門家を選んで大丈夫? 後悔しないためにはどうすればいい?
安いから手続きがいい加減ということはありませんが、費用だけで選ぶのではなく、実際に資格者と直接話してその信頼度を確認し、事務所のこれまでの債務整理の処理件数の多さなどを総合的に判断するようにしましょう。
7. まとめ 司法書士の債務整理費用は、弁護士より少し安い傾向にある
債務整理は弁護士だけでなく司法書士にも依頼できます。司法書士は任意整理・個人再生・自己破産に対応できますが、代理権の範囲は限定されます。
その分、弁護士よりも費用が抑えられるケースが多く、まとまったお金を用意しにくい人にとって現実的な選択肢になります。事務所ごとの費用体系や業務範囲を理解し、無料相談や法テラス制度も活用しながら、自分に合った専門家を見極めることが大切です。
(記事は2025年12月1日時点の情報に基づいています)
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