目 次


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1. 司法書士と弁護士の違い
弁護士とは、さまざまな法律に関する代理業務を行う法律の専門職です。取り扱う分野は離婚、相続、借金、労働問題など多岐に渡り、紛争や訴訟、和解などにおける代理人として問題を解決するのが主な業務です。
司法書士は、法律に関する業務の中でも、法務局への登記申請や供託申請を代理したり、裁判所に提出する書類を作成したりすることが主な業務です。また、法務大臣の認定を受けた「認定司法書士」は、簡易裁判所の訴訟代理業務を行えます。ただし、弁護士とは異なり取り扱う案件に制限があります。
2. 任意整理における司法書士と弁護士の違い
任意整理においては、対応できる業務の範囲と金額に違いがあります。弁護士は、金額の上限はなく、すべての任意整理に対応可能です。一方、司法書士は、取り扱える案件に制限があります。
2-1. 認定司法書士は任意整理に対応できる
司法書士のうち、任意整理を受任できるのは認定司法書士に限られます。認定司法書士とは、司法書士試験に合格したのち、日本司法書士会連合会が実施する特別研修を修了し、簡裁訴訟代理等能力認定考査に合格した司法書士のことを指します。
認定司法書士になると、簡易裁判所の民事訴訟で代理人になることができ、任意整理を含む裁判外の和解も代理できます。日本司法書士会連合会の会員数データによると、認定司法書士の資格を有するのは、司法書士全体の79%です。
多くの司法書士は任意整理業務を行う資格を有しています。ただし、認定司法書士であっても、任意整理の案件を受ける義務はありません。債務整理の業務自体を扱わない認定司法書士も多くいます。
2-2. 司法書士が対応できるのは1社140万円の債務整理まで
認定司法書士に依頼できる任意整理は、借金の元本が140万円以下のものに限られています。この元本140万円は、借入先1社あたりの金額です。
つまり、仮に借金の総額が500万円でも、5社から100万円ずつ借り入れているケースでは、5社に対するすべての債務整理を認定司法書士に依頼できます。
司法書士法では、認定司法書士が扱える範囲として「簡易裁判所における民事事件であって、訴訟の目的の価額が140万円を超えないもの(第3条 第2項)」と規定されています。さらに、平成28年6月27日の最高裁判決では、「裁判外の和解において、認定司法書士が代理することができる範囲は、個別の債権ごとの価額を基準として定められるべき」として、認定司法書士が扱える140万円以下の範囲を明確化しました。
2-3. 過払い金対応も司法書士は140万円以下まで
任意整理を行う中で、消費者金融などの債権者(お金を貸している側)から取引履歴を取り寄せて引き直し計算をすると、過払い金が生じているケースもあり得ます。過払い金とは、利息制限法の上限を超えて払い過ぎた利息のことで、請求をすれば過去にさかのぼって返還してもらうことができます。この過払い金の返還請求も、認定司法書士が代理できる範囲は1件あたりの請求額が140万円以下の場合に限られます。
現在では、過払い金が生じているケースはかなり少なくなっていますが、調査を依頼してみるのもよいでしょう。
2-4. 弁護士には制限なく、任意整理や過払い金に対応できる
弁護士は金額の上限や手続きの種類に制限がなく、すべての任意整理や過払い金返還請求を代理できます。借金の元本が140万円以上の場合は、認定司法書士では対応できないので、弁護士に依頼してください。
また、当初は任意整理を希望していても、個人再生や自己破産の方が適しているケースも考えられます。弁護士であれば、そのまま他の債務整理手続きを依頼できるので話がスムーズに進むでしょう。自己破産や個人再生なども検討しているのであれば、最初から弁護士に相談してもよいかもしれません。
3. 任意整理の司法書士費用・弁護士費用の違い
任意整理の費用としては、一般的に司法書士のほうが少し安く設定されていることが多いと言われます。司法書士と弁護士に任意整理を依頼した場合の費用相場は、以下のとおりです。
3-1. 司法書士費用の相場は2万~5万円
司法書士の任意整理報酬の相場は、1社あたり2万円から5万円で設定されている場合がほとんどです。日本司法書士連合会の指針では、1社あたりの報酬上限を5万円としていたため、多くの事務所が5万円以下に設定しています。
また、過払い金返還請求の報酬については、訴訟による請求の場合には回収した額の25%、訴訟によらない請求の場合には回収した額の20%を上限としています。多くの事務所がこの指針の範囲内で報酬基準を定めています。
3-2. 弁護士費用の相場は2万~5万円
弁護士に任意整理を依頼した場合の報酬相場は、1社あたり2万円から5万円程度が多いです。
日本弁護士連合会では任意整理の報酬について以下のように定められています。
・解決報酬金:1社あたり2万円以下(商工ローンは5万円以下)
・減額報酬:減額した金額の10%以下
・過払い金返還請求の報酬:訴訟によらない場合は回収額の20%以下、訴訟による場合は回収額の25%以下
司法書士のほうが安い傾向があると言われているものの、これを見ると任意整理においては司法書士と弁護士で、金額に大きな差はないとも言えます。


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4. 任意整理は司法書士と弁護士どっちに依頼するのがおすすめ?
任意整理するとき、弁護士と司法書士のどちらに依頼すべきかの判断基準について紹介します。もっとも、専門家選びで大切なのは、債務整理の業務に精通しているかどうかであることは忘れないようにしましょう。
4-1. 1社あたりの借金が140万円以下なら司法書士
司法書士と弁護士、どちらに依頼するかの一つの基準は「借金の額」です。司法書士には、1社あたり140万円(元本)以下という制限があります。そのため、借金の元本が140万円を超える場合には、おのずと弁護士を選択することになります。
1社あたり140万円以下であれば、司法書士に依頼してもよいでしょう。弁護士と比較すると、報酬基準が安く設定されていることもあるので、予算と折り合う事務所が見つかる可能性があります。
4-2. 任意整理だけでなく、個人再生や自己破産も検討しているなら弁護士
任意整理だけではなく、個人再生や自己破産の手続きを検討している場合には、弁護士に依頼するとそのまま代理人として手続きを進めてもらえます。司法書士の場合、個人再生や自己破産の書類作成などはできますが、代理人にはなれません。あくまでも手続き全体を援助するという立ち位置にとどまります。
しかし、実際には、認定司法書士である私も多くの自己破産の手続きをサポートしてきましたが、裁判所との書類のやり取りだけで終わるような、代理人を必要としないケースも数多くありました。また、費用面においては、代理人という立場でない分、一般的に司法書士に依頼する方が安いと言えるため、司法書士に依頼するメリットも十分にあると考えます。
ただし、内容が複雑なものや代理人としての出頭が必要なケースでは、弁護士に依頼するのが安心です。
4-3. 自分に適した借金問題の解決方法がわからない場合はどちらでもよい
債務整理の中で、どの手続きが適しているかわからない場合には、司法書士でも弁護士でも、ひとまず相談しやすそうな専門家を探して話を聞いてみるのがおすすめです。
その際には、債務整理の経験が豊富な専門家を選ぶとよいでしょう。あらゆる面から判断して、どの手続きが適しているのかアドバイスをくれます。また、司法書士に相談して、弁護士が対応すべき案件と判断すれば、弁護士を紹介してくれる場合も多いです。
5. 借金問題を司法書士に依頼するデメリットはある?
司法書士に債務整理を依頼するデメリットは、1件あたり140万円を超える任意整理や過払い金返還請求ができないこと、裁判の対応ができない可能性があることなどが挙げられます。
過払い金については、借入先の業者から取引履歴を取り寄せて、実際に計算してみないと正確な金額はわかりません。計算した結果、140万円を超えていた場合には、弁護士に依頼し直すか、自分で交渉を進める必要があります。
また、任意整理を進める中で、債権者が裁判を起こす可能性も考えられます。司法書士でも140万円以下の裁判であれば代理人になれますが、裁判所が簡易裁判所以外になった場合は代理人になれません。
司法書士に任意整理や過払い金について相談する際は、140万円を超える場合には信頼できる弁護士を紹介してもらえるかなども聞いておくとよいでしょう。
また、個人再生や自己破産において、司法書士は書類の作成のみの対応となるため、裁判所への出頭や債権者への説明などは自分で行う必要があります。専門的な知識が求められる場面が多いため、手続きを一任したい場合は弁護士に依頼しましょう。
6. 任意整理を司法書士・弁護士に依頼する際のポイント
司法書士や弁護士などの専門家を選ぶ際のポイントについて整理します。
6-1. 債務整理に力を入れている専門家に相談する
債務整理を専門家に依頼する際は、債務整理を多く経験していて、案件の対応に精通している事務所を選びましょう。債務整理は、それぞれの貸金業者によっても対応が異なり、その点もよく把握している必要があります。
専門家事務所のホームページなどを見れば、これまでの実績や注力している分野がある程度わかります。また、「債務整理のとびら」のような債務整理に力を入れている事務所の情報が集まっているポータルサイトを利用するのも便利です。
6-2. 無料相談を活用し、複数の事務所に相談する
インターネットの情報だけでは不安という場合には、無料相談を利用するのも手です。各自治体や司法書士会、弁護士会などは、定期的に無料相談を行っています。
各専門家の事務所でも、初回の相談を無料で対応しているケースは多いです。実際に相談してみると、その専門家の人柄などもわかるため、自分に合った専門家を見つけられるかもしれません。
6-3. 提案された金額で返済できるかよく考える
任意整理は、将来発生する利息をカットして、おおよそ3年から5年で分割返済できるよう交渉する手続きです。任意整理では、この分割返済が無理なく行えるかが重要です。任意整理をしたものの、途中で返済ができなくなり、結局自己破産を申し立てるケースもあります。安易に任意整理を依頼するのではなく、あらゆる角度から相談に乗ってくれる経験豊富な専門家と一緒に解決方法を検討するようにしましょう。


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7. 任意整理を司法書士・弁護士に相談することに関連して、よくある質問
Q. 任意整理は司法書士や弁護士に依頼せず自分でできる?
絶対にできないわけではありません。ただし、自分で行う場合には、債権者が交渉に応じてくれないケースもあります。現実的にはとても難しいでしょう。
Q. 司法書士に他の債務整理を依頼すると費用はいくらになる?
司法書士に自己破産のサポートを依頼した場合の報酬は、20万円から35万円(同時廃止事件の場合)と事務所によってかなり幅があります。これ以上の報酬額を設定している事務所もあります。
管財事件の場合には、さらに5万円から10万円程度上がることが多いです。個人再生については、30万円から40万円程度の報酬額を設定している事務所が多いです。
Q. 任意整理の司法書士や弁護士の口コミはあてになる?
インターネットで確認できる司法書士や弁護士の口コミは、一つの参考になります。しかし、あくまでも個人の主観的な意見であり、どのような人が書いたかの信頼性も乏しいです。すべてを鵜呑みにするのではなく、無料相談などを利用して自分の目で確認することをおすすめします。
8. まとめ 任意整理で司法書士・弁護士を選ぶ際は自分の状況に合わせて判断を
任意整理を検討した際、司法書士と弁護士のどちらに依頼するかは悩むポイントの一つです。借金の元本が1社あたり140万円以下の人は、司法書士と弁護士の両方に相談して、費用面などを比較するのもよいでしょう。
債務整理には、個人再生や自己破産などもあり、本人にとって任意整理が必ずしも適しているとは限りません。どの手続きを選択すべきかわからない人は、弁護士に相談してください。どちらにしても、債務整理の経験が豊富で、親身な対応をしてくれる専門家を選ぶことが大切です。
(記事は2025年8月1日時点の情報に基づいています)


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