借金の踏み倒しは可能!? 返済から逃げる末路 有効な解決方法も紹介

更新日: / 公開日:
借金の踏み倒しは現実的に難しく、さまざまなリスクが生じます(c)Getty Images
借金の返済が難しくなったとき、「踏み倒すことができないか」と考える人もいるかもしれません。しかし、借金を踏み倒そうとすると、日常生活や人間関係にさまざまな支障が生じてしまいます。 無視や夜逃げなどによって借金を踏み倒すのではなく、「債務整理」によって解決を図りましょう。弁護士や司法書士に相談すれば、借金問題の解決方法についてアドバイスを受けられます。借金を踏み倒すリスクや別の解決方法などを弁護士が解説します。

目 次

1. 借金の踏み倒しとは?

2. 借金を踏み倒そうとする人がとりがちな行動

2-1. 督促を無視する

2-2. 夜逃げ(引っ越し)をする

2-3. 契約書を捨てる

3. 借金の踏み倒しはできる?

4. 借金を踏み倒そうとした人の末路

4-1. 遅延損害金が発生する

4-2. 何度も取り立てを受ける

4-3. ブラックリスト入りする

4-4. 訴訟を起こされる

4-5. 財産が差し押さえられる

4-6. 保証人に迷惑がかかる

4-7. 家族に見放される

4-8. 詐欺罪に問われることもある

5. 借金以外の債務を踏み倒そうとするとどうなる?

5-1. 税金・国民年金・国民健康保険料

5-2. クレジットカードの料金

5-3. 養育費

5-4. 慰謝料

6. 闇金からの借金は返済不要|ただし、利用すべきでない

7. 踏み倒さずに借金問題を解決する方法

7-1. 任意整理

7-2. 個人再生

7-3. 自己破産

8. 借金を踏み倒す前に、弁護士や司法書士へ相談するメリット

9. 借金の踏み倒しに関するよくある質問

10. まとめ 借金の踏み倒しを考える前に弁護士や司法書士に債務整理を相談する
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1. 借金の踏み倒しとは?

「借金の踏み倒し」とは、借りたお金を返さずに逃げ切ろうとすることをいいます。

借金を踏み倒そうとする人は、あらゆる手段を用いて貸主から逃げ回り、借金の返済を免れようとします。最終的に貸主が回収を諦めたり、借金の時効が完成して返済義務がなくなったりすれば、御の字というわけです。

2. 借金を踏み倒そうとする人がとりがちな行動

借金を踏み倒そうとする人は、以下のような行動をとるケースがよく見られます。

2-1. 督促を無視する


借金を返済しないと、貸主はお金を借りた人に対して返済を督促します。貸主から郵便が送られてきたり、電話がかかってきたりしますが、借金を踏み倒そうとする人は一切督促に応じません。返信せずに放置したり、電話を着信拒否にしたりして、貸主の督促をやり過ごそうとします。

2-2. 夜逃げ(引っ越し)をする


貸主は債権回収のために、お金を借りた人の自宅を訪問するケースもあります。また、自宅の場所を貸主が知っていれば、強制執行によって家財を差し押さえてくる可能性もあります。

そのため、借金を踏み倒そうとする人が「夜逃げ」を試みるケースがしばしば見られます。別の場所に引っ越して、貸主から身を隠そうというわけです。

住民登録を元の住所に残したまま、住所をたどられないようにしたうえで夜逃げをする人もいます。また、貸主の聞き込みなどによって居場所を知られないように、夜逃げ先では偽名を使用するケースもあるようです。

2-3. 契約書を捨てる


借金の契約書を捨てて、自分がお金を借りた事実をなかったことにしようとする人もいるようです。

しかし、契約書を捨てたとしても、借金をした事実は消えません。そもそも、契約書の原本は貸主が保管しているケースが多く、その場合はお金を借りた人が保管している契約書(の写し)を捨てても無意味です。

3. 借金の踏み倒しはできる?

銀行や消費者金融などの事業者からの借金については、踏み倒すことは困難です。これらの事業者は借金の返済スケジュールをきちんと管理しています。滞納が発生したら速やかに督促を行い、法的手段も用いて回収しようとするため、踏み倒しは難しいでしょう。

これに対して、個人からの借金については、貸主の性格によっては踏み倒せることがあるかもしれません。しかし、督促を受けることはないだろうと考えていても、実際には督促を受ける可能性が常に残っています。

借金の踏み倒しには、さまざまなリスクがあります。借金の返済が難しい場合は、黙って踏み倒そうとするのではなく、債務整理によって解決を図りましょう

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4. 借金を踏み倒そうとした人の末路

借金を踏み倒そうとすると、以下のようなリスクを負うことになってしまいます。

4-1. 遅延損害金が発生する


借金の返済が期日に遅れると、1日ごとに遅延損害金が発生します。遅延損害金とは、支払いが遅れたことに対する賠償金です。遅延損害金の利率は、年20%程度の高い水準に設定されているのが一般的です。

踏み倒しに失敗して返済を請求されると、未払いの元本や利息に加えて、高額の遅延損害金を支払わなければなりません。

4-2. 何度も取り立てを受ける


貸主に住所や連絡先を把握されている場合は、滞納中の借金を返済するよう何度も取り立てを受けることになるでしょう。頻繁に取り立てを受けることは、日常生活の中で大きなストレスを感じる原因になってしまいます。

4-3. ブラックリスト入りする


銀行や消費者金融などから借りているお金の返済が2カ月から3カ月以上遅れると、延滞の事実が個人信用情報機関に登録され、いわゆる「ブラックリスト入り」の状態になります。

ブラックリスト入りすると、以下のような不利益を被ってしまいます。

  • ローンを利用できなくなる

  • クレジットカードが作れなくなる

  • 利用中のクレジットカードが強制的に解約される

  • 商品やサービスを分割払いで購入できなくなる

  • 借金の保証人になれなくなる(子どもの奨学金など)

  • 機関保証が必須である物件を借りられなくなる など

延滞によるブラックリスト入りの状態は5年間続くため、日常生活において大きな支障が出ます

4-4. 訴訟を起こされる


借金返済の督促を無視していると、貸主は裁判所に訴訟(裁判)を提起する可能性があります。

訴訟は、裁判所の法廷で行われる紛争解決手続きです。貸主が借主の住所を把握していなくても、最終的には「公示送達」という方法で訴訟を提起することができます

貸主側の主張が認められると、裁判所はお金を借りた人に対して返済を命じる判決を言い渡します。敗訴の判決が確定すれば、強制執行によっていつでも財産が差し押さえられる状態となります。

4-5. 財産が差し押さえられる


訴訟の判決が確定すると、貸主は裁判所に強制執行を申し立てることができます。また、判決が確定する前でも、その判決に仮執行宣言が付された場合は強制執行の申立てが可能です。

強制執行が申し立てられると、お金を借りた人の財産が差し押さえられます。特に対象になりやすいのは預貯金や給与です。預貯金や給与が差し押さえられると、生活に大きな影響が出てしまうでしょう。

4-6. 保証人に迷惑がかかる


保証人が付いている借金を踏み倒そうとすると、貸主は保証人に対して代わりに返済するよう請求します。保証人は貸主に対し、借金全額を直ちに返済しなければなりません。

親族などの身近な人が保証人になっている場合は、その人に大きな迷惑がかかってしまいます。保証人が借金を返済できない場合は、自己破産に追い込まれてしまうかもしれません。

4-7. 家族に見放される


借金を踏み倒して逃げたことが家族に知られると、「あまりにもだらしがない」「人間として失格だ」などと悪印象を与える可能性があります。これ以上かばいきれないと見放され、家族との付き合いが途絶えてしまうかもしれません。

特に夜逃げして身を隠していると、家族に会うことすら大変になります。これまで定期的に会えていた家族とも会えなくなり、精神的に辛い状況に追い込まれてしまうケースもあるので要注意です。

4-8. 詐欺罪に問われることもある


最初から返すつもりがないのにお金を借りることは、詐欺罪に当たります(刑法246条1項)。また、嘘をついて借金の返済条件の変更を依頼することも詐欺罪に該当します(同条2項)。

詐欺罪の法定刑は「10年以下の拘禁刑」で、騙し取った金額によっては重く処罰されることがあるので注意が必要です。ただし当初は返済するつもりがあったものの、後から経済状況が悪化して支払不能になった場合には、詐欺罪は成立しません。

5. 借金以外の債務を踏み倒そうとするとどうなる?

借金以外の債務(お金を支払う義務)についても、踏み倒そうとするのはリスクが高い行為です。主な債務の種類ごとに、踏み倒そうとするとどうなるのかを解説します。

5-1. 税金・国民年金・国民健康保険料


税金を滞納すると税務署から、国民年金や国民健康保険料を滞納すると年金事務所から、それぞれ督促状が届きます。督促状を無視していると、訴訟などの裁判手続きを経ることなく財産が差し押さえられます。

特に預貯金については、税務署や年金事務所には調査権限があるため、夜逃げなどをしていても差し押さえられてしまう可能性が高いです。

5-2. クレジットカードの料金


クレジットカードの料金は、おおむね借金と同様の手続きによって取り立てが行われます。

最初はカード会社やその委託を受けた債権回収会社が、郵便などによって督促を行います。督促を無視していると、最終的には裁判所に訴訟を起こされ、強制執行によって財産が差し押さえられてしまいます。

5-3. 養育費


養育費については、取り決めの際に公正証書を作成したかどうかにより、取り立ての流れが異なります。

公正証書を作成していない場合は、まず裁判手続き(調停・審判・訴訟など)によって養育費の支払い義務が確定した後、強制執行によって財産が差し押さえられます。

公正証書を作成した場合は、その中に「強制執行認諾文言(不払いが生じたら直ちに強制執行を受ける旨の陳述)」が記載されているケースが多いです。強制執行認諾文言が記載されている公正証書(執行証書)があるときは、裁判手続きを経ることなく強制執行を申し立てられてしまいます。

なお、2026年5月までに施行される改正民法により、養育費に「先取特権」という優先権が付与される予定です。先取特権が付与されると、執行証書がなくても、裁判手続きを経ることなく強制執行を申し立てることが可能となります。

5-4. 慰謝料


不法行為などによって発生する慰謝料を取り立てる際には、あらかじめ金額を確定しなければなりません。慰謝料の金額は、示談交渉や訴訟などを通じて決まります。加害者が示談交渉を拒否する場合は、訴訟によって慰謝料の金額が決まるのが一般的です。

慰謝料についても、最終的には強制執行によって財産の差し押さえが行われます。被害者は、確定判決や仮執行宣言付判決、執行証書などを得た後に、裁判所へ強制執行を申し立てることができます。

6. 闇金からの借金は返済不要|ただし、利用すべきでない

闇金からお金を借りると、法外な高金利を請求されるおそれがあります。利息制限法では、借金の上限利率が年15〜20%と定められています。しかし、闇金が請求する利息は年数百%や数千%に及ぶケースが珍しくありません

闇金からの借金は「不法原因給付」(民法708条)に当たり、元本・利息のいずれも返済する必要がありません。しかし返済を拒否すると、闇金は暴行や脅迫を用いた取り立てを行うことがあります。

「踏み倒していいのなら、闇金からお金を借りよう」などと考えてはいけません。闇金を利用すると身に危険が及ぶおそれがあるので、絶対に利用しないようにしましょう。万が一闇金から借金をしてしまったときは、速やかに警察へ相談することをおすすめします。

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7. 踏み倒さずに借金問題を解決する方法

夜逃げなどをして踏み倒そうとしなくても、借金問題は「債務整理」によって解決できます。債務整理は、借金の減額や免除を認めてもらえる可能性がある手続きです。主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3種類があります。

7-1. 任意整理


「任意整理」では、銀行や消費者金融などの貸主(債権者)と交渉して、利息のカットや返済スケジュールの変更などを認めてもらいます。

任意整理の仕組みを表した図。利息がカットされる可能性がある
任意整理の仕組みを表した図。利息がカットされる可能性がある

任意整理は手続きが比較的簡単で、財産が処分されず、対象とする借金を選べるなどのメリットがあります。ただし、元本の減額は認められにくいです。他の債務整理手続きに比べると、減額後に支払うべき借金の額は多くなります。

たとえば、以下のような状況にある人は、任意整理を検討しましょう。

  • 安定した収入がある

  • 借金の総額が比較的少ない

  • 債権者が1、2社程度

  • 保証人に迷惑をかけたくない

  • 財産を処分されたくない

  • 簡単な手続きで借金の負担を軽減したい など

7-2. 個人再生


「個人再生」は裁判所を通じた手続きです。債権者の決議と裁判所の認可を経た再生計画に基づき、借金を減額してもらいます。減額後の借金は、原則として3年で分割返済します。

個人再生の仕組みを表した図。借金を最大で10分の1まで減額できる
個人再生の仕組みを表した図。借金を最大で10分の1まで減額できる

個人再生では元本の減額も認められるほか、自宅の処分を回避できる制度が設けられています。ただし、安定した収入がなければ利用できず、最低でも100万円は借金を返済しなければなりません。

たとえば、以下のような状況にある人は、個人再生が適している可能性があります。

  • 安定した収入がある

  • 借金の総額が100万円を大幅に超えている

  • 住宅ローンが残っている自宅がある など

7-3. 自己破産


「自己破産」も裁判所を通じた手続きです。生活に必要なものなどを除いて財産が処分されますが、一部の例外を除いて借金はゼロになります

自己破産のイメージ図。裁判所が認めれば借金の返済が免除される
自己破産のイメージ図。裁判所が認めれば借金の返済が免除される

自己破産は、収入額や職業などを問わず、支払不能の状態であれば申し立てることができます。以下のような状況にある人は、自己破産が適している可能性が高いです。

  • 借金が多すぎる

  • 無職または定職に就いていない

  • 高価な財産や、処分されたら困る財産がほとんどない など

8. 借金を踏み倒す前に、弁護士や司法書士へ相談するメリット

借金を踏み倒そうとするのはリスクが高いので、債務整理について弁護士や司法書士に相談しましょう。

弁護士や司法書士に相談すれば、自分の状況に合った債務整理の方法や進め方をアドバイスしてもらえます。正式に依頼すれば、債権者からの取り立てを止めたうえで、債務整理の手続きを代行してもらえます。

早い段階で弁護士や司法書士へ相談することが、借金問題をスムーズに解決するための近道です。借金の返済が難しくなったら、速やかに弁護士や司法書士へ相談しましょう。

9. 借金の踏み倒しに関するよくある質問

Q. 借金を踏み倒すと、逮捕される?


最初から返すつもりがないのにお金を借りたり、貸主を騙して返済条件を変更してもらったりすると、詐欺罪で逮捕されるおそれがあります。これに対して、最初は返済するつもりがあったものの、後から返済困難になったという場合には、逮捕されることはありません。

Q. 生活保護を受給すれば、借金は消える?


生活保護を受給しても、それだけで借金が消えることはありません。借金の返済義務を免除してもらうためには、自己破産などの債務整理を行う必要があります。

なお、生活保護費を借金の返済に充てることはできません。借金の返済に充てていることが発覚すると、生活保護が打ち切られるおそれがあるので十分注意してください。

10. まとめ 借金の踏み倒しを考える前に弁護士や司法書士に債務整理を相談する

借金を踏み倒そうとしても、債権回収を目指す貸主から逃げ切るのは困難です。財産の差し押さえなどのリスクが生じるため、踏み倒すのではなく債務整理を行いましょう。適切な方法で債務整理を行えば、借金問題を根本的に解決できます。

債務整理については、弁護士や司法書士が相談を受け付けています。夜逃げなどによって借金を踏み倒そうとする前に、早い段階で弁護士や司法書士に相談して、債務整理に取り組みましょう。

(記事は2025年9月1日時点の情報に基づいています)

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この記事を書いた人

阿部由羅(弁護士)

阿部由羅(弁護士)

ゆら総合法律事務所 代表弁護士
西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。債務整理案件のほか、離婚・相続案件や、ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務などを得意とする。埼玉弁護士会所属。登録番号54491。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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