ブラックリストでも携帯(スマホ)契約はできる? 弁護士が解説

更新日: / 公開日:
携帯電話のブラックリストは3種類あり、「携帯ブラック」だと新規契約や乗り換えが難しくなります(c)Getty Images
携帯電話の料金を滞納したり、債務整理をしたりすると、いわゆる「ブラックリスト入り」の状態になります。 ブラックリスト入りすると、携帯電話が強制的に解約されたり、新たな契約ができなくなったりするおそれがあります。ブラックリスト入りのデメリットが不安だったり、滞納を解消できずに悩んでいたりする人は、弁護士や司法書士に相談してアドバイスを求めるとよいでしょう。 携帯料金の滞納や債務整理によるブラックリスト入りが携帯契約に与える影響について、弁護士が解説します。

目 次

1. 携帯会社のブラックリストとは?

1-1. 各社が管理しているブラックリスト(社内ブラック)

1-2. 携帯会社間で共有しているブラックリスト(携帯ブラック)

1-3. 個人信用情報機関のブラックリスト(金融ブラック)

2. ブラックリスト入りした場合、契約中の携帯端末(スマホ)はどうなる?

2-1. 社内ブラックの場合|強制的に解約される可能性がある

2-2. 金融ブラックの場合|原則として引き続き使用できる

3. ブラックリスト入りした後では、携帯契約(スマホ契約)はできない?

3-1. 社内ブラックの場合|その携帯会社では契約できない

3-2. 携帯ブラックの場合|幅広い携帯会社と契約できない

3-3. 金融ブラックの場合|契約できるが、端末の分割払い購入は不可

4. ブラックリスト入りはいつ解除される?

4-1. 社内ブラック|解除の時期は各社の判断

4-2. 携帯ブラック|滞納を解消すれば解除される

4-3. 金融ブラック|5年または7年が経過すると解除される

5. ブラックリスト入りが原因で、携帯契約を断られた場合の対処法

5-1. 滞納中の携帯料金を支払う

5-2. 料金を滞納したことがない携帯会社を選ぶ

5-3. 端末は一括払いで購入する

5-4. プリペイド携帯を契約する

6. ブラックリスト入りを避けるために、債務整理はしない方がいい?

7. 携帯・スマホ料金の支払いやブラックリスト入りに悩んでいる人が、弁護士に相談するメリット

8. 携帯契約のブラックリストに関するよくある質問

9. まとめ ブラックリストの種類によって携帯契約への影響は異なる
今すぐ電話できる!無料相談OK事務所も!

朝日新聞社運営「債務整理のとびら」で

債務整理に強い弁護士・司法書士を探す

朝日新聞社運営 「債務整理のとびら」

債務整理に強い
弁護士・司法書士を探す

1. 携帯会社のブラックリストとは?

携帯電話の「ブラックリスト」には、「社内ブラック」「携帯ブラック」「金融ブラック」の3種類があります。

1-1. 各社が管理しているブラックリスト(社内ブラック)


各携帯会社は、過去の料金の支払い状況などを独自に管理しています。

過去に携帯料金を長期間滞納したことがあると、その携帯会社において不良顧客と認識される可能性があります。これは「社内ブラック」と呼ばれる状態です。

社内ブラックの情報は、携帯会社の内部のみで管理され、他の携帯会社へ共有されることはありません。しかし、社内ブラックとなっている携帯会社に契約を申し込んでも、審査に落ちてしまう可能性が高くなります

1-2. 携帯会社間で共有しているブラックリスト(携帯ブラック)


携帯料金を滞納している場合は、一般社団法人電気通信事業者協会(TCA)に「不払者情報」が登録されます。これは「携帯ブラック」と呼ばれる状態です。

TCAの不払者情報は、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクなどの主要携帯会社の間で共有されています。携帯電話の新規契約の際、携帯会社はTCAのデータベースを確認します。そのため、携帯ブラックの状態では、多数の携帯会社で契約を断られてしまう可能性が高いです

1-3. 個人信用情報機関のブラックリスト(金融ブラック)


銀行や消費者金融からの借金、クレジットカードの料金などを2カ月から3カ月以上滞納すると、個人信用情報機関にその情報が登録されます。また、債務整理(借金の減額や免除の手続き)を行った場合も、個人信用情報機関にその情報が登録されることになります。

上記の情報は「事故情報(異動情報)」と呼ばれており、個人の信用に悪影響を与えるものです。個人信用情報機関に事故情報が登録された状態は、「金融ブラック」と呼ばれています。

金融ブラックでも、携帯電話の回線契約(通話やネット通信の契約)は可能です。しかし、端末を分割払いで購入することができません

なお、携帯電話の通信料金を滞納しただけでは、金融ブラックの状態にはなりません。携帯会社は個人信用情報機関に加盟していないためです。ただし、分割払いの端末代金の支払いを滞納すると、信販会社の申請によって個人信用情報機関に事故情報が登録され、金融ブラックになってしまうことがあります

2. ブラックリスト入りした場合、契約中の携帯端末(スマホ)はどうなる?

携帯電話との関係で「ブラックリスト入り」した場合、契約中の携帯端末(スマホ)がどうなるのかについては、ブラックの種類によって異なります。

2-1. 社内ブラックの場合|強制的に解約される可能性がある


社内ブラックの場合、契約中の端末の携帯会社から不良顧客と認識されています。利用規約上の強制解約事由に該当していると考えられるため、回線契約を強制的に解約され、電話やキャリアメールなどが使えなくなるおそれがあるので注意が必要です。

なお、携帯ブラックの場合は社内ブラックでもあるため、上記と同様の取り扱いになります。

2-2. 金融ブラックの場合|原則として引き続き使用できる


金融ブラックの場合は、社内ブラックでなければ変わらず携帯端末を使い続けることができます。電話やキャリアメールの利用も問題ありません。

金融ブラックになると、クレジットカードは強制的に解約されますが、それはカード会社が個人信用情報機関のデータベースを時々チェックしているためです。携帯会社は個人信用情報機関に加盟していないので、金融ブラックになっても回線契約が強制的に解約されることはありません

3. ブラックリスト入りした後では、携帯契約(スマホ契約)はできない?

「ブラックリスト入り」した後で、新たに携帯電話の契約ができるかどうかは、ブラックの種類によって取り扱いが異なります。

3-1. 社内ブラックの場合|その携帯会社では契約できない


携帯料金の滞納や債務整理によって、携帯会社の社内ブラックになっている場合、その携帯会社とは契約できない可能性が高いです。

その一方で、社内ブラックはあくまでも携帯会社内部での取り扱いであるため、他の携帯会社とは契約できると考えられます。

3-2. 携帯ブラックの場合|幅広い携帯会社と契約できない


利用代金を滞納して携帯ブラックになっている場合、一般社団法人電気通信事業者協会(TCA)を通じて不払者情報を交換している携帯会社とは契約できない可能性が高いです。

不払者情報を交換している携帯会社は幅広く、主要な携帯会社(NTTドコモ・KDDI・ソフトバンク・楽天モバイルなど)はすべて含まれています。ただし、携帯料金の滞納を解消するか、強制解約から5年が経過して不払者情報の記録が抹消されれば、新たに契約できる可能性はあります。

3-3. 金融ブラックの場合|契約できるが、端末の分割払い購入は不可


個人信用情報機関に事故情報が登録された金融ブラックの場合、ローンやクレジットカードなどは利用できなくなります。

その一方で、社内ブラックや携帯ブラックである場合を除き、携帯電話の契約は通常どおりできます。携帯会社は個人信用情報機関に加盟しておらず、審査に当たってそのデータベースを参照しないためです。

ただし、携帯端末を分割払いで購入する場合は、信販会社(クレジット会社)が個人信用情報機関のデータベースを参照したうえで審査を行います。そのため、金融ブラックの状態では、携帯端末を分割払いで購入できません

4. ブラックリスト入りはいつ解除される?

携帯電話に関する「ブラック」の状態が、いつ解除されるのかを解説します。

4-1. 社内ブラック|解除の時期は各社の判断


社内ブラックは、それぞれの携帯会社の対応となるため、解除される時期も携帯会社ごとの判断となります。何年で社内ブラックが解除されるかは決まっていません。半永久的に社内ブラック扱いとなり、ずっと契約を断られてしまう可能性もあります。

4-2. 携帯ブラック|滞納を解消すれば解除される


携帯ブラックは、滞納した携帯料金を支払えば解消されます。滞納の解消により、一般社団法人電気通信事業者協会(TCA)に登録された不払者情報が抹消されるためです。

携帯料金の滞納を解消しない場合でも、回線契約が強制的に解除されてから5年が経過すると、TCAの不払者情報が抹消され、携帯ブラックでなくなります

4-3. 金融ブラック|5年または7年が経過すると解除される


金融ブラックは、個人信用情報機関から事故情報が抹消されると解消されます。事故情報の登録期間は、発生した事由や個人信用情報機関によって異なります。

延滞や任意整理については、どの個人信用情報機関でも登録期間は5年です。これに対して、個人再生と自己破産については、日本信用情報機構(JICC)や株式会社シー・アイ・シー(CIC)では5年、全国銀行信用情報センター(KSC)では7年です。

借金返済相談・交渉の相談ができる
弁護士・司法書士をお探しなら

朝日新聞社運営「債務整理のとびら」

初回無料
相談あり

借金・債務整理が得意な
弁護士・司法書士

エリアで
探せる
初回無料相談あり
借金・債務整理が得意な弁護士・司法書士
エリアで探せる

5. ブラックリスト入りが原因で、携帯契約を断られた場合の対処法

社内ブラックや携帯ブラックであることが原因で、携帯会社に契約を断られてしまったら、以下の方法で対処しましょう。

5-1. 滞納中の携帯料金を支払う


携帯ブラックの状態は、現在滞納中の携帯料金を支払えば解消されます。過去に支払いを滞納した携帯会社とは契約できない可能性が高いですが、他の携帯会社とは契約できるようになります。

5-2. 料金を滞納したことがない携帯会社を選ぶ


過去に料金を滞納したことがある携帯会社では、社内ブラックで契約を断られる可能性が高いです。新たに携帯電話の契約を締結する際には、過去に料金を滞納したことがなく、社内ブラックではない携帯会社を選びましょう

5-3. 端末は一括払いで購入する


借金やクレジット料金の延滞、債務整理などによって金融ブラックとなっている場合は、10万円以上の携帯端末を分割払いで購入できません。しかし、一括払いであれば購入できます。また、割賦販売法により、10万円以下の端末であれば審査の省略が認められている ため、分割払いで購入できる可能性があります。端末を買い替える場合は、一括払いや端末価格が安い物を選択しましょう。

5-4. プリペイド携帯を契約する


携帯料金の滞納を解消できず、携帯ブラックの状態が続いている場合でも、プリペイド携帯であれば契約できることがあります。

プリペイド携帯は、料金を前払いするタイプの携帯電話です。料金滞納の心配がないため、携帯ブラックでも契約できる可能性があります。

6. ブラックリスト入りを避けるために、債務整理はしない方がいい?

携帯料金・借金・クレジットカード料金などの支払いが難しい場合は、「債務整理」を検討しましょう。債務整理は、債権者(支払いを請求する権利がある人)との交渉や裁判所の手続きを通じて、支払いの負担を軽減・免除してもらう手続きです。

債務整理には、将来の利息をカットできる「任意整理」、借金の元本を大幅に減らせる「個人再生」、借金をゼロにできる「自己破産」の3種類があります。

債務整理の3種類を図解。それぞれにメリットとデメリットがある
債務整理の3種類を図解。それぞれにメリットとデメリットがある

携帯料金の債務整理をすると社内ブラック、借金やクレジットカード料金などの債務整理をすると金融ブラックになります。ブラックリスト入りのデメリットを避けるために、債務整理をしない方がいいと考える人がいるかもしれません。

しかし、借金などを滞納すると、結局どこかの段階でブラックリスト入りします。そのため、債務整理によるブラックリスト入りのデメリットを気にしすぎる必要はありません

むしろ債務整理には、ブラックリスト入りのデメリットを上回る大きなメリットがあります。支払いの負担が軽くなれば、生活を根本的に立て直すことができます。各種の支払いが困難な状態にある場合は、債務整理を検討しましょう。

7. 携帯・スマホ料金の支払いやブラックリスト入りに悩んでいる人が、弁護士に相談するメリット

携帯料金の未払いを解消できずに悩んでいる場合や、ブラックリスト入りのデメリットが気になって債務整理に踏み出せない場合には、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談すれば、各種の支払いや借金の返済に苦しむ状況を解消するための方法について、アドバイスを受けることができます。ブラックリスト入りによるデメリットについても説明してもらえるので、不安を解消するきっかけになるでしょう。

正式に弁護士へ依頼すれば、債務整理の手続き全般を代行してもらえます。経験豊かな弁護士であれば、迅速かつ的確に手続きを進め、生活の立て直しをサポートしてくれます。携帯料金の支払いが難しいなど、お金の問題で悩んでいる場合には、早い段階で弁護士に相談しましょう。

8. 携帯契約のブラックリストに関するよくある質問

Q. ブラックリスト入りによって、スマホが強制解約されたらどうなる?


電話回線や4G・5G回線など、携帯会社が提供している回線が利用できなくなります。これに対して、Wi-Fiやインストール済みのアプリなどは引き続き利用可能です。

Q. ブラックリスト入りしていても、携帯キャリアの乗り換えはできる?


携帯会社独自の取り扱いである「社内ブラック」の場合は、携帯キャリアの乗り換えは可能です。個人信用情報機関に事故情報が登録された「金融ブラック」の状態でも、携帯キャリアの乗り換えに支障はありません。

これに対して、現在携帯料金を滞納している「携帯ブラック」の場合は、幅広い携帯会社の間で情報が共有されているので、携帯キャリアの乗り換えは難しいと考えられます。速やかに滞納中の料金を支払うか、債務整理を行いましょう。

9. まとめ ブラックリストの種類によって携帯契約への影響は異なる

携帯電話の「ブラックリスト」には、「社内ブラック」「携帯ブラック」「金融ブラック」の3種類があります。

特に、携帯料金を滞納していると携帯ブラックの状態になり、どの携帯会社とも契約が難しくなります。速やかに滞納を解消するか、それができないなら債務整理を行いましょう。

弁護士に相談すれば、債務整理の適切な進め方についてアドバイスを受けられます。携帯料金の滞納を解消できずに困っている人や、ブラックリスト入りのデメリットが心配で悩んでいる人は、一度弁護士に相談してください。

(記事は2025年7月1日時点の情報に基づいています)

今すぐ電話できる!無料相談OK事務所も!

朝日新聞社運営「債務整理のとびら」で

債務整理に強い弁護士・司法書士を探す

朝日新聞社運営 「債務整理のとびら」

債務整理に強い
弁護士・司法書士を探す

この記事を書いた人

阿部由羅(弁護士)

阿部由羅(弁護士)

ゆら総合法律事務所 代表弁護士
西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。債務整理案件のほか、離婚・相続案件や、ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務などを得意とする。埼玉弁護士会所属。登録番号54491。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
阿部由羅(弁護士)の記事を読む

弁護士・司法書士を探す

※「債務整理のとびら 弁護士・司法書士検索サービス」への掲載を希望される場合は こちら をご確認下さい
朝日新聞社が運営する「債務整理のとびら」は、借金問題の解決をサポートするポータルサイトです
「借金に悩むあなたへ 未来をひらく選択を」をコンセプトに、借金問題で悩む人の心を少しでも軽くしたい。そんな思いで弁護士・司法書士など借金問題や債務整理に取り組む専門家が集まりました。
債務整理に関する正確な情報と借金問題の解決・債務整理に取り組む弁護士を検索できるサービスで「債務整理のとびら」はあなたをサポートします。
借金の悩みをずっと一人で抱え続ける必要はありません。肩の荷を下ろして、新しい未来に向けて一歩踏み出してみませんか。
朝日新聞社運営の債務整理のとびらで借金問題・債務整理に強い弁護士・司法書士を今すぐ検索