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1. 破産手続きの廃止とは?
破産手続きの廃止とは、破産手続きを進めるための費用すらまかなえないほど財産がない場合などに、裁判所が破産手続きを終了させることを言います。法律上は「破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足する」場合に行われると規定されています(破産法216条、217条)。
「廃止」という言葉から「破産できなくなり、借金が残り続けるのでは?」と心配する人もいるかもしれません。しかし、廃止は破産が認められないことを意味するわけではありません。
破産手続きは、大きく分けて「狭義の破産手続き」と「免責手続」の2つに分けられます。狭義の破産手続きとは、破産者の財産を金銭に換え(換価)、お金を貸した金融機関などの債権者に公平に分配(配当)することです。一方、免責手続とは、借金など残った債務の支払義務を免れさせる(免責)かどうかを審査することです。
破産手続きの廃止は、この狭義の破産手続きを終了させるものです。廃止によって狭義の破産手続きが終わったとしても、免責手続は終了せず、審査が行われることになります。つまり、廃止されても免責を受けられる可能性は十分にあるのです。
2. 破産手続きの「廃止」と「終結」との違い
破産の申立てをすると、裁判所によって「破産手続開始決定」が出されます。開始された破産手続きは、「廃止」または「終結」のいずれかによって終了します。
破産手続きは、申立人の財産を処分して債権者への配当を行う手続きです。この手続きがどのように終わるかによって、「廃止」と「終結」に分かれます。
「廃止」は、申立人に財産がなく、債権者への配当を行えずに手続きが終了する場合を言います。配当するだけの財産がないため、配当手続きを行わずに破産手続きを終わらせるかたちです。
一方、「終結」は、債権者への配当という破産手続きの目的を達成したうえで手続きが終了する場合を言います。裁判所によって選任された破産管財人が財産を換価し、債権者への配当を完了したあとに手続きが終わります。
個人の自己破産では、配当できるほどの財産を申立人が持っていないケースが多いため、「廃止」で終わるのが一般的です。
3. 破産手続廃止の種類
破産手続きの廃止には「同時廃止」「異時廃止」「同意廃止」の3つの種類があります。それぞれの内容と手続きの概要について解説します。
3-1. 同時廃止
同時廃止とは、破産手続開始決定と同時に破産手続きが終了する手続きです。
申立人に債権者へ分配する財産がないことが明らかな場合に、同時廃止となります。配当すべき財産がないのであれば、破産管財人を選任して財産調査を行う必要がないためです。
同時廃止の場合、すぐに免責手続に移行し、免責が認められない理由(免責不許可事由)に該当する事情がないかどうかなどを判断するために申立人本人から話を聞く「免責審尋」が行われます。破産管財人が選任されないため、裁判所に納める予納金も低額で済みます。予納金の額は裁判所により異なりますが、同時廃止の場合は1万円から3万円程度が目安です。
個人の自己破産で、配当に充てられる財産がなく、免責不許可事由も見当たらないケースでは、同時廃止となるケースが多いと言えます。
3-2. 異時廃止
異時廃止とは、破産手続開始決定後に廃止決定が行われることを言います。開始決定と「同時」ではないため、「異時」廃止と呼ばれます。
異時廃止となるのは、たとえば、債権者へ分配する財産があるかどうか明確でない場合や、免責不許可事由の存在が疑われる場合などです。このようなケースでは、まず破産管財人が選任され、財産調査や免責調査が行われます。調査の結果、破産財団(破産者の財産のうち、破産手続きにおいて管理・処分の対象となるもの)をもってしても、破産手続費用が支払えないと判断されると、異時廃止として手続きが終了します(破産法217条)。
破産管財人が選任されるため、予納金の額は同時廃止と比較して高額となります。予納金の目安は20万円から50万円程度で、財産状況によってはさらに高額になる可能性もあります(裁判所によって基準が異なります)。また、同時廃止と比べて手続きにかかる期間も長くなります。
3-3. 同意廃止
同意廃止とは、債権者全員が廃止に同意した場合、または同意しない債権者に対して破産者が相当と認める担保(債権者の損害を補う物品など)を提供した場合に、破産者の申立てによって破産手続きを廃止する手続きです。申立人が債権者に配当可能な財産を持っているにもかかわらず、債権者の同意により財産の分配を行うことなく破産手続きを終了させるものです。
ただし、実際の破産手続きでは、すべての債権者から同意を得ることは非常に困難であるため、同意廃止が利用されるケースはほとんどありません。
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4. 破産手続きの開始から免責許可が出るまでの流れ
自己破産の手続きは、申立てから免責許可決定が確定するまで、次のようなステップを経て進みます。以下では、手続きの流れを順を追って解説します。
【STEP1】破産手続きの申立て
【STEP2】破産手続開始決定
【STEP3】破産手続きの「廃止」もしくは「終結」
【STEP4】免責手続
4-1. 【STEP1】破産手続きの申立て
申立書や必要書類を準備して、裁判所に破産の申立てを行います。
申立てに必要な書類には、破産手続開始・免責許可申立書のほか、債権者一覧表や財産目録、家計収支表、陳述書などがあります。また、住民票、給与明細、預金通帳の写し、不動産登記事項証明書など、多数の添付書類も求められます。
専門的知識のない人が申立書を作成したり、必要書類を漏れなく集めたりすることは容易ではありません。書類の不備があると、手続きが遅れたり、不利な判断につながったりする可能性もあります。自己破産を検討している場合は、弁護士に相談または依頼することをお勧めします。
4-2. 【STEP2】破産手続開始決定
申立書や必要書類の内容から、申立人が支払不能の状態にあると判断されると、裁判所から破産手続開始決定が出されます。
支払不能とは、債務者が支払義務を負う「弁済期」にある借金について、一般的かつ継続的に弁済ができない状態を言います。単に一時的な資金不足ではなく、将来にわたって返済の見込みがない状態であることが必要です。
4-3. 【STEP3】破産手続きの「廃止」もしくは「終結」
破産手続開始決定後、手続きは「廃止」または「終結」によって終了します。
申立ての段階で財産状況が明確で、債権者に配当する財産がないことが明らかな場合があります。さらに、免責不許可事由も見当たらない場合には、破産手続開始決定と同時に廃止が決まり、同時廃止となります。
それ以外のケースでは、破産管財人が選任されて、財産の調査や換価、配当に向けた手続きが進められます。破産管財人の管理のもとで進めるこれらの手続きを「管財事件」と言います。調査の結果、配当できる財産がなければ異時廃止となり、配当が完了すれば終結となります。
同時廃止になるか管財事件になるかの判断は、裁判所や地域によって基準が異なることがあります。一般的には、一定額以上の財産がある場合や、免責不許可事由が疑われる場合には、管財事件として扱われる傾向にあります。なお、「一定額以上の財産」については、預貯金20万円超や各財産種別で20万円超など、裁判所によって基準が異なります。
4-4. 【STEP4】免責手続
「廃止」または「終結」によって破産手続きが終了すると、免責手続に移行します。
同時廃止の場合には、比較的早い段階で免責審尋が行われるケースが多いです。免責審尋では、裁判官から破産に至った経緯や今後の生活再建について質問を受けます。
裁判所の審査により、免責を認めない理由がない場合や、事情を考慮して免責が相当と判断された場合には、免責許可決定が下されます。裁量免責とは、免責不許可事由がある場合でも、破産に至った経緯や事情を考慮して、例外的に免責が許可されることを言います。免責許可決定に対する即時抗告期間は原則2週間で、公告日から起算されます。即時抗告がなければ、免責許可決定から約1カ月で免責が確定します。
免責が確定すると、破産者は原則としてすべての債務の支払義務を免れることになります。ただし、税金や養育費など、一部の債務は免責されません。
5. 同時廃止事件でも弁護士に依頼すべきメリット
管財事件になるケースだけでなく、同時廃止事件でも弁護士への依頼には大きなメリットがあります。
裁判所は自己破産の手続きを、原則として破産管財人が選任される管財事件として扱う傾向があります。しかし、弁護士が代理人として申立てを行う場合には、財産状況や免責不許可事由の有無を適切に整理した申立書を提出できるため、同時廃止事件として扱われやすくなります。一方、申立人本人が手続きを行う場合には、同時廃止事件になりにくく、その場合には予納金も高くなる可能性があります。
また、専門的知識のない人にとって、申立書の作成や必要書類の収集を行うことは大きな負担となります。書類に不備があると補正を求められ、手続きが長引く可能性もあります。弁護士に依頼すれば、正確かつ迅速に手続きを進められます。
さらに、同時廃止事件になり得るかどうかの見通しについても、弁護士であれば事前にアドバイスできます。自分の状況ではどのような手続きになるのか、費用や期間の見込みはどうかなど、具体的な見通しを立てたうえで手続きに臨めます。
これらのメリットを考えると、自己破産を検討している場合は弁護士に相談または依頼することが望ましいと言えます。
6. 破産手続きの廃止に関してよくある質問
Q. 破産手続きの廃止と終結の違いをわかりやすく言うと何?
債権者への配当が行われずに手続きが終了するのが「廃止」、債権者への配当を行ったうえで手続きが終了するのが「終結」です。配当できる財産がない場合は廃止、配当した場合は終結と覚えておくとよいでしょう。
Q. 破産手続廃止後に財産はどうなる?
廃止の場合は債権者への配当が行われないため、自由財産として認められた財産は手元に残ります。ただし、廃止となるのはそもそも債権者へ配当できるだけの財産がない場合であり、多くの財産が残るわけではありません。
なお、99万円以下の現金や生活に必要な家財道具などは、配当に充てられない「自由財産」として保護されます。
Q. 破産手続きが終了するとどうなる?
破産手続きは、廃止または終結によって終了する狭義の破産手続きと、その後の免責手続の2段階に分けられます。狭義の破産手続きが終了すると免責手続に移行し、免責が許可されるかどうかの審査が行われます。免責許可が確定すれば、残りの債務の支払義務が免除されます。
Q. 法人の破産で手続きが廃止されることはある?
法人の破産では基本的に破産管財人が選任されるため、同時廃止で終わるケースはほとんどありません。しかし、破産管財人による調査や換価の結果、配当できる財産がなかった場合には、異時廃止で手続きが終了するケースはあります。
なお、法人(株式会社)は破産手続開始の決定により解散事由に該当し、その後の手続きを経て最終的に法人格が消滅します。法人には個人のような免責制度はありません。
7. まとめ 破産手続廃止になるのではないかと心配な場合は弁護士に相談を
破産手続きの廃止とは、破産申立人が債権者に分配できるだけの財産を持たない場合などに、債権者への配当を行わずに破産手続きを終了させることです。債権者への配当を果たしたうえで手続きが終了する「終結」とは異なります。
廃止には「同時廃止」「異時廃止」「同意廃止」の3つがあり、いずれの場合も廃止後に免責手続に移行します。つまり、破産手続廃止は必ずしも「破産できなくなる(債務の支払義務を免れられない)こと」を意味するわけではありません。免責手続で免責が許可されれば、債務の支払義務は免除されます。
自己破産を検討しているものの、破産手続廃止になるのではないかと心配な場合は、手続きの見通しや費用について早めに弁護士に相談するとよいでしょう。
(記事は2026年4月1日時点の情報に基づいています)
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