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1. 自己破産では原則、破産申立人に裁判所から呼び出しがある
自己破産の手続きでは、原則として申立人本人が裁判所に呼び出されます。借金をゼロにするという重い判断を行うにあたり、裁判所が本人の状況を直接確認するためです。
ただし、すべてのケースで出頭が必要になるわけではなく、弁護士に依頼していれば出廷が免除される場合もあります。
1-1. 申立人の反省や、生活状況を確認するために必要
裁判所では、借金ができた理由や生活状況、今後の再出発への意思を確認されます。
典型的な質問は「なぜ借金が増えたのか」「現在の収入や家計はどうなっているのか」「生活をどのように立て直すつもりか」などの内容です。
申立人の反省の気持ちや、誠実に生活を立て直そうとしている姿勢は、免責(借金の帳消し)が認められるかどうかに大きく関わってきます。
私がこれまでに対応した依頼者の多くも、事前に一緒に準備をしていたことで落ち着いて答えられる人がほとんどでした。不安な場合は、あらかじめ質問内容を想定して練習しておくと安心です。
1-2. 管財事件では、管財人面談も必要になる
自己破産の手続きでは、一定以上の財産がある場合、「管財事件」として扱われます。この場合、裁判所から選ばれた「破産管財人」と呼ばれる弁護士との面談が必要です。
面談では、手元の財産や収支状況などについて詳しく確認されます。たとえば「保険に加入しているか」「退職金の見込みはあるか」「家族からの援助を受けているか」など、具体的な質問がなされることが多いです。
面談の目的は、財産を調査し、債権者に配当できるかどうかを見極めることです。
1-3. 住所地を管轄する地方裁判所に出頭する
自己破産の手続きは、現在住んでいる地域を管轄する地方裁判所に申立てを行います。出廷もその裁判所で行われます。たとえば、横浜市に住んでいる人であれば横浜地方裁判所、大阪市であれば大阪地方裁判所に出向くことになります。
はじめて裁判所に行く人にとっては、どうしても不安があるかもしれませんが、実際の手続きは淡々と進行し、静かな雰囲気の中で行われます。思っているよりも緊張せずに済むという声も多いです。
1-4. 裁判所への出廷が不要なケース
すべての自己破産で出廷が求められるわけではありません。弁護士に依頼している場合や、裁判所が書面審理を採用している場合、本人が裁判所に行かなくても手続きが完了することがあります。
特に、財産がほとんどなく簡易的な手続きで進む「同時廃止事件」の場合、弁護士が代理人として対応することで申立人本人の出廷が免除されやすくなります。
高齢であったり、病気を抱えていたり、成年後見制度を利用している人なども、事情によっては出廷が不要と判断されることがあります。
2. 自己破産の手続きで裁判所から呼び出されるタイミング
自己破産の手続きでは、申立て後に裁判所から呼び出しを受ける場面があります。これは、申立人の状況を直接確認し、免責を許可するかどうかを判断するために行われます。
裁判所からの呼び出しには、次のような場面があります。
【破産審尋(はさんしんじん)】
借金の理由や生活状況を裁判官が確認する面接です。反省の有無などが見られます。
【債権者集会(さいけんしゃしゅうかい)】
破産管財人が申立人に財産や収支状況を質問します。債権者が出席して質問することもあります。
【免責審尋(めんせきしんじん)】
裁判所が、借金を帳消しにする(免責)判断をする前に、申立人の生活再建の意思や態度を確認する面接です。
2-1. 同時廃止の場合
申立人にほとんど財産がなく、管財人を置く必要がないと判断された同時廃止事件の場合、手続きは比較的簡易になります。呼び出しは原則として1回のみで、申立てからしばらくして「免責審尋」が行われます。
免責審尋では、「借金の原因」や「生活再建への意欲」などについて裁判官が確認します。聞かれる内容はそこまで難しいものではないため、落ち着いて対応できれば問題ありません。
2-2. 管財事件の場合
一定の財産があると判断された場合は、管財事件として取り扱われます。申立てから1~2カ月後に、「債権者集会」と「免責審尋」への出頭が求められます。
さらに必要に応じて「破産審尋」や、破産管財人との面談に呼び出されることもあります。たとえば、生活費の使い方や、家族からの援助があるかなど、具体的な内容まで質問されることが多いです。
2-3. 少額管財事件の場合
少額管財事件は、通常の管財事件よりも簡素化された手続きです。申立て後に管財人が選ばれ、1~2カ月以内に「債権者集会」と「免責審尋」へ出頭する必要があります。
多くの場合、債権者集会と免責審尋は同じ日に行われるため、出頭は1回か2回で済むのが一般的です。内容としては、通常の管財事件と大きくは変わらず、財産の状況や支出の内容について確認されます。
3. 自己破産による裁判所からの呼び出しで聞かれること
自己破産では、裁判所や破産管財人から直接質問を受ける場面があります。「怒られるのでは」と不安になるかもしれませんが、聞かれる内容は限られており、冷静に答えれば問題ありません。
裁判官は申立人を責めるために質問するのではなく、借金に至った経緯や反省の有無、生活再建に向けた意欲などを確認する目的で話を聞きます。弁護士に依頼していれば、事前に想定される質問の対策ができるだけでなく、当日も同席してサポートしてくれるため安心です。
3-1. 破産審尋
破産審尋(債務者審尋)では、裁判官が申立人に対し、借金の背景や今の生活状況などを確認します。たとえば次のような質問をされることがあります。
「なぜ借金が増えてしまったのですか?」
「返済が難しくなった理由は何ですか?」
「現在の収入や支出の状況はどうなっていますか?」
この場面では、反省の気持ちや生活を立て直す意欲があるかどうかを見られます。事実を簡潔に、誠実に伝える姿勢が大切です。
3-2. 債権者集会
債権者集会では、破産管財人が中心となって、申立人の財産や収支の状況を確認します。債権者(お金を貸した側)も出席できますが、実際には参加しないことも多く、管財人とのやりとりが主となります。たとえば以下のような質問が想定されます。
「預貯金はどのくらいありますか?」
「保険や退職金はありますか?」
「家族から金銭的な支援は受けていますか?」
目的は、隠し財産がないか、適切に手続きが行われているかを確認することです。
3-3. 免責審尋
免責審尋は、裁判所が借金の免除(免責)を認めるかどうかを判断するための面接です。質問は次のようなものが中心になります。
「借金が増えた原因について、反省していますか?」
「今後、どのように生活を立て直していく予定ですか?」
この場面では、再スタートを前向きに考えているかが重視されます。やり取りは形式的で、数分で終わることがほとんどです。過度に身構えず、誠実に受け答えすれば問題ありません。
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4. 自己破産で裁判所に出頭する際のポイント
裁判所から呼び出しを受けて初めて出頭する日は、多くの人にとって大きな不安を感じる場面です。ただ、あらかじめ準備をしておけば落ち着いて対応できます。私の事務所でも「思っていたより冷静に臨めた」という声を多くいただきます。
ここでは、出頭にあたって押さえておきたいポイントを紹介します。
4-1. 弁護士と事前に打ち合わせをする
もっとも大切なのは、弁護士と事前に打ち合わせをしておくことです。どんなことを聞かれ、どのように答えればよいかをあらかじめ確認しておくことで、本番でも落ち着いて対応できます。
「なぜ借金が増えたのか」などの質問には、できるだけ簡潔に事実を説明することが大切です。余計な言い訳をすると、かえって心証を悪くしてしまうこともあります。弁護士と想定問答を確認しておくことで、不安を減らし、安心して臨めるようになります。
4-2. 持ち物や服装に気をつける
当日は、忘れ物をしないように注意しましょう。裁判所からの通知に記載された持ち物のほか、以下のようなものを準備しておくと安心です。
【主な持ち物の例】
裁判所から届いた通知書
本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
印鑑
必要書類(申立書や報告書など)
服装についてはスーツでなくても構いませんが、清潔感のある格好を意識しましょう。Tシャツやサンダルなどラフすぎる服装は避け、「役所に行くとき」と同じようなイメージで準備すると良いです。真面目に手続きに向き合う姿勢を示すことが大切です。
4-3. 遅刻しないよう早めに家を出る
当日は遅刻しないよう、余裕をもって家を出るようにしましょう。電車の遅延や道に迷うリスクもあるため、早めの行動が安心です。
遅刻したからといって、ただちに免責が不許可になるわけではありませんが、裁判所に対して誠意が伝わりにくくなってしまう可能性はあります。緊張する場面だからこそ、時間を守って落ち着いて臨むことが大切です。
5. 裁判所からの呼び出しが不安な場合に弁護士に依頼するメリット
裁判所に呼び出されると聞くだけで、不安になる人は少なくありません。「何を聞かれるのか分からず不安」と感じるのは自然なことです。そんなとき、自己破産手続きに詳しい弁護士に依頼すれば、出頭の回数や手続きの不安を軽減することができます。
5-1. 出頭回数を減らせる
弁護士に依頼して自己破産の申立てを行うと、本人の出頭が不要になる場面があります。たとえば、財産がほとんどない「同時廃止事件」の場合、弁護士が代理人となることで、裁判所が書面のみで判断する「書面審理」が選ばれやすくなります。
こうしたケースでは、免責審尋1回のみの出頭で済むこともあります。裁判所に何度も足を運ぶ負担を減らせるのは大きなメリットです。
5-2. 呼び出し当日の対応についてアドバイスをもらえる
出廷が必要な場合でも、弁護士と事前にやり取りをしておけば安心です。どのような質問が想定されるか、それに対してどのように答えるのが良いかなど、具体的なアドバイスをもらえます。
実際、過去に私が同席した際も事前に想定問答を用意し、依頼者が本番で落ち着いて対応できるようサポートしました。
5-3. 手間のかかる手続きを任せられる
裁判所への書類提出や連絡、管財人とのやり取りなど、自己破産の手続きには多くの工程があります。法律に不慣れな人にとっては、これだけでも大きな負担です。
弁護士に依頼すれば、これらの手続きを一括して任せることができ、依頼者は必要な書類を準備するだけで済みます。自分ひとりで進めるよりも、時間や手間を大きく減らせるでしょう。
5-4. 精神的な負担を軽減できる
自己破産に踏み切るまでにも大きな決断が必要ですが、手続き中にもさまざまな不安がつきまといます。弁護士が窓口となって対応してくれることで、裁判所や債権者から直接連絡が来ることは基本的になくなり、精神的な負担が和らぎます。
「一人で抱え込まなくて良い」と感じられるだけでも、大きな安心につながります。
6. 自己破産にかかる手続き費用
自己破産を申し立てるには、裁判所への費用と、弁護士など専門家への依頼費用がかかります。
まず裁判所に納める費用は、収入印紙(約1,500円)、郵券(=郵便切手。数千円から1万円程度)、そして予納金です。予納金は手続きの種類によって大きく異なり、同時廃止事件では2万円から3万円程度、管財事件では20万円から50万円程度が必要となります。予納金は裁判所に納める重要な費用であり、まとまった金額が必要になるため、事前に確認し、準備を進めましょう。
次に専門家への費用です。弁護士に依頼する場合の相場は30万円から50万円程度で、分割払いに対応している事務所もあります。法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば、費用を立て替えてもらい、月5,000円から1万円程度で分割返済する方法も選べます。
なお、司法書士に依頼することもできますが、司法書士は主に書類作成の代理を行う立場であり、裁判所での代理権はありません。そのため、裁判所への出廷が必要な場面では、申立人本人が出向く必要があります。出廷回数を減らしたい場合や、手続き全般を任せたい場合は、弁護士への依頼が適しているでしょう。
7. 自己破産における裁判所からの呼び出しに関するよくある質問
Q. 自己破産するには裁判所に何回行く必要がある?
出廷の回数は手続きの種類によって異なります。財産がほとんどない「同時廃止事件」では、免責審尋の1回だけで済むのが一般的です。
一方、財産調査が必要な「管財事件」や「少額管財事件」では、破産審尋・債権者集会・免責審尋など、1〜3回程度の出廷が必要です。弁護士に依頼すれば、出廷回数が減る場合もあります。
Q. 裁判所からの呼び出しを無視したらどうなる?
正当な理由なく出廷しないと、免責が認められない可能性があります。裁判所は「反省や再出発の意思がない」と判断することがあるため、注意が必要です。病気や災害など、やむを得ない事情がある場合は、事前に連絡を入れて証明書類を提出しましょう。
Q. 裁判所への出頭日は、事前に希望日を聞かれる? 土日祝に指定することは可能?
基本的に裁判所が出廷日を指定するため、申立人の希望は反映されにくいのが現状です。また、裁判所は平日昼間のみ開庁しており、土日祝日に期日を指定することはできません。仕事との調整が必要な場合は、有給取得を検討しましょう。
Q. 裁判所への出頭日の変更はできる?
やむを得ない事情がある場合には、事前申請によって出廷日の変更が認められることもあります。その際は、医師の診断書や勤務先の証明書など、正当な理由を証明する資料が必要です。
Q. 裁判所からの呼び出しはどのように行われる?
呼び出しは、基本的に自宅宛てに裁判所からの封書で届きます。封筒には裁判所名が記載されており、出廷日時や場所、持参すべき書類などの案内が同封されています。突然の電話連絡ではなく、正式な通知は書面で行われます。
Q. 裁判所からの呼び出しで、どのくらい先の日程を指定される?
申立てから出廷日までの期間は、同時廃止事件で1〜2カ月程度、管財事件でも1〜2カ月ほどが目安です。急な日程になることはまれで、準備期間はある程度確保できます。
8. まとめ 裁判所への出廷は再出発への第一歩
自己破産は、借金を帳消しにして生活を立て直すための大切な制度です。申立て後、裁判所からの呼び出しに不安を感じるかもしれませんが、それは再スタートに向けた必要な流れのひとつです。
出廷の回数や対応の内容はケースによって異なりますが、弁護士に依頼すれば負担を大きく減らすことができます。聞かれることや当日の流れも、事前にしっかり準備することで落ち着いて対応できます。
「呼び出されたらどうしよう」と悩む前に、まずは専門家に相談してみてください。経験のある弁護士であれば、あなたの不安や疑問にも丁寧に対応し、手続きをスムーズに進めてくれるはずです。
(記事は2025年12月1日時点の情報に基づいています)
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