個人再生すると車はどうなる? 手元に残す方法を解説

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個人再生では車が処分されるケースもありますが、一定の条件を満たせば手元に残せる場合もあります(c)Getty Images
「個人再生」は、裁判所を通じて借金などの債務(お金を支払う義務)を減額してもらう手続きです。住宅ローンが残っている自宅の処分を回避しつつ、大幅に債務を減らせる可能性があります。 ただし、個人再生を申し立てると車が処分されてしまうケースもあるため、事前の確認が大切です。個人再生によって車がどうなるのか分からない場合や、車が処分されたら困る場合には、弁護士にアドバイスを求めましょう。 弁護士などの専門家に相談すれば、車を残したまま借金問題を解決する方法についてアドバイスをもらえます。個人再生で車はどうなるのかについて、弁護士が解説します。

目 次

1. 個人再生を申し立てると車はどうなる?

2. 個人再生で車が引き上げられてしまうケース|所有権留保などの担保権が付いている場合

3. 個人再生を申し立てても車を残せるケース  

3-1. 自動車ローンを借りていない場合・残っていない場合  

3-2. 自動車ローンを返済中だが、所有権留保が付いていない場合  

3-3. 自動車ローンの債権者と別除権協定を締結した場合  

3-4. 裁判所が担保権(所有権留保など)の消滅を許可した場合  

4. 個人再生で車を残せそうにない場合の対処法  

4-1. カーリースやカーシェアリングなどを利用する  

4-2. 家族の車を借りる  

4-3. 新しい車を一括払いで購入する  

4-4. 任意整理をする

5. 自己破産をした場合、車はどうなる?  

5-1. 原則として車は処分される  

5-2. 自己破産をしても、車が処分されないケース

6. 車を残しながら借金を減らしたいなら、弁護士に相談を

7. 個人再生と車に関するよくある質問

8. まとめ 個人再生で車を残したい場合には弁護士に相談を
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1. 個人再生を申し立てると車はどうなる?

個人再生とは債務整理の一種で、借金などの債務を原則5分の1から10分の1にまで減額し、残りの額を原則3年、特別な事情がある場合は最長5年で分割する手続きです。自己破産とは異なり、住宅ローンが残った持ち家を処分せずに借金の負担を減らせることがあります。

個人再生の仕組みを表した図。借金を最大で10分の1まで減額できる
個人再生の仕組みを表した図。借金を最大で10分の1まで減額できる

個人再生を申し立てた場合、車が処分されるかどうかはケースによって異なります。処分されることもあれば、手元に残せることもあります。通勤で使う場合や子どもの送り迎えで必要になる場合など、車が日常生活に欠かせない場合は、処分されるかどうかや、処分された場合にどう対処するかを事前に確認しておくことが大切です。

弁護士に相談すると、車の取り扱いや処分された場合の対処法などについてアドバイスを受けられます。

2. 個人再生で車が引き上げられてしまうケース|所有権留保などの担保権が付いている場合

車に担保が付いていると、個人再生を申し立てた際に引き上げられてしまうことがあります。特に多いのは、自動車ローンの返済がまだ残っているケースです。

「ディーラーローン」と呼ばれる自動車ローンでは、ローンを完済するまで車の所有権はディーラーや信販会社にあります。これは「所有権留保」と呼ばれる担保の一種です。自動車ローンの返済が遅れた場合や、個人再生などの債務整理をした場合は、この所有権留保により車が引き上げられます

ディーラーローンのほか、自動車とは関係がない借り入れ(例:事業のための借り入れなど)についても、資産価値のある自動車に担保権を設定するケースがあります。このような場合も、個人再生を申し立てると担保権が実行され、車は引き上げの対象になります。

所有権留保などの担保権に基づいて引き上げられた自動車は、売却のうえでローンの支払いに充てられます。売却してもローンが完済できなかった場合は、その残りの金額が個人再生で減額の対象になります。

3. 個人再生を申し立てても車を残せるケース  

個人再生を申し立てても、以下に挙げる場合には車が処分されず、引き続き使用することができます。

3-1. 自動車ローンを借りていない場合・残っていない場合  


一括で購入したため自動車ローンを組んでいない、または自動車ローンをすでに完済している場合は、車に所有権留保が設定されていません。ほかの借金などの担保権が付いていなければ、個人再生を申し立てても車が処分されることはありません。

3-2. 自動車ローンを返済中だが、所有権留保が付いていない場合  


自動車ローンの中には、車に所有権留保などの担保権を設定しないものがあります。たとえば、銀行のマイカーローンは、車に所有権留保などの担保を設定しないのが一般的です。

返済中の自動車ローンの担保権が設定されていない場合は、ほかの借金などの担保権が設定されていない限り、個人再生を申し立てても車は処分されません。

3-3. 自動車ローンの債権者と別除権協定を締結した場合  


所有権留保が付された自動車ローンの返済中に個人再生を申し立てた場合、債権者(お金を請求する権利を持つ人)であるディーラーや信販会社は、所有権留保を実行して車を引き上げることができます。

しかし、債権者と交渉すれば、返済を続けることを条件に車の引き上げを止めてもらえることがあります。このような合意は「別除権協定」と呼ばれています。

別除権協定によって車の処分を回避するためには、現実的な返済計画を示して債権者の理解を得ることが大切です。

3-4. 裁判所が担保権(所有権留保など)の消滅を許可した場合  


車が事業を続けるために欠かせないものである場合は、裁判所に対して、車に付された担保権を消滅させることについての許可を申し立てることができます(民事再生法148条1項)。

車に付された担保を消すためには、時価相当の金額を裁判所に納める必要があります。車の価額は、鑑定評価や不動産業者の査定などを参考に再生債務者(=個人再生を申し立てた人)が設定します。

再生債務者が設定した車の価額については、担保権者に異議申立てが認められています。担保権者が異議を申し立てた場合は、評価人(不動産鑑定士など)の評価に基づき、裁判所が車の価額を定めます。

最終的に決まった金額を期限内に納めると、その時点で担保は消え、車は処分されません。

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4. 個人再生で車を残せそうにない場合の対処法  

ディーラーローンを返済中など、個人再生を申し立てると車が引き上げられる可能性が高い場合は、その後の生活をあらかじめイメージして対策を考えておくことが大切です。たとえば、以下の対応が考えられます。

4-1. カーリースやカーシェアリングなどを利用する  


自宅近くにカーリースやカーシェアリングのサービスがあれば、それを利用するのも一つの方法です。自分で車を所有するよりも、保険や駐車場代などの固定費を抑えられるのが大きなメリットです。

4-2. 家族の車を借りる  


家族が車を所有している場合は、その車を借りることも検討できます。同居の家族や近くに住んでいる家族がいる場合は、事情を話して、車を貸してもらえないか相談してみましょう。

家族の車を借りる際は、自動車保険の補償内容をあらかじめ確認しておきましょう。自分の運転中に事故が起こった場合でも自動車保険が適用されるように、必要に応じて補償範囲を広げてもらうことが大切です。

4-3. 新しい車を一括払いで購入する  


今使っている車の引き上げが避けられないなら、新しい車を購入することも選択肢の一つです。

ただし個人再生を申し立てると、自動車に関するクレジットやローンは7年程度利用できなくなります。そのため、新しい車は、一括払いで購入する必要があります。

自分で購入資金を用意できない場合は、家族に援助を求めることも検討しましょう。

4-4. 任意整理をする


ディーラーローンが残っている車の処分を避けたいなら、個人再生ではなく「任意整理」も検討しましょう。

任意整理は、債権者と交渉して借金などの減額を認めてもらう手続きです。債権者の同意が得られれば、利息や遅延損害金のカット、返済スケジュールの変更などが認められます。

任意整理の仕組みを表した図。利息がカットされる可能性がある
任意整理の仕組みを表した図。利息がカットされる可能性がある

任意整理では、対象とする借金などを債務者(お金を支払う義務がある人)が選べます。所有権留保によって担保されているローンを任意整理の対象から外し、期限に遅れることなく返済を続ければ、車が引き上げられることはありません。

ただし個人再生とは異なり、任意整理では借金の元本の減額は認められません。利息や遅延損害金のカットなどにとどまるため、借金が多すぎる場合には、任意整理をしても大きな効果は期待できません。

車を手放さないために任意整理を選ぶのが最善かどうかは、弁護士のアドバイスも踏まえて判断しましょう。

任意整理で後悔したくない方へ

5. 自己破産をした場合、車はどうなる?  

個人再生や任意整理のほかにも、借金問題を解決する方法としては「自己破産」という選択肢もあります。

自己破産は、裁判所を通じて借金などを免責してもらう手続きです。財産が処分されて債権者に配当されたあと、残った借金などはゼロになります。

自己破産のイメージ図。裁判所が認めれば借金の返済が免除される
自己破産のイメージ図。裁判所が認めれば借金の返済が免除される

自己破産をすると、原則として自分が所有している車は処分されます。ただし、例外的に処分を免れられるケースもあります。

5-1. 原則として車は処分される  


所有権留保付きのディーラーローンが残っている状態で自己破産を申し立てると、個人再生と同様に、車は引き上げられてしまいます。

また個人再生とは異なり、車に所有権留保などの担保権が付されていなくても、自己破産を申し立てると車は原則として処分されます

破産手続きの費用や債権者への配当に充てるため、破産管財人が債務者の財産をお金に換えるからです。車も原則として、破産管財人による処分の対象となります。

5-2. 自己破産をしても、車が処分されないケース


自己破産をすると車は処分されるのが原則ですが、以下の場合には車の処分を避けられます。

【車の価値が低過ぎる場合】
中古車市場で値が付かない場合や、評価が極めて低い場合には、換金が難しいため破産管財人が車を放棄することがあります。

【車が日常生活や仕事に必要不可欠である場合】
地域の事情などで車がないと生活が成り立たない、あるいは仕事ができないといった場合には、裁判所の判断によって自由財産の拡張(手元に残せる財産を増やすこと)が認められることがあります。

【自分または家族が買い取る場合】
破産管財人から車を時価で買い取れば、引き続き使い続けることができます。

6. 車を残しながら借金を減らしたいなら、弁護士に相談を

借金問題を解決したいものの、車を手放すのが難しい場合は、弁護士に相談しましょう。車を残したまま借金を整理する方法について、弁護士からアドバイスを受けることができます。たとえ車を残すのが難しくても、生活を立て直すためのサポートが受けられます。

自分に合った方法で債務整理を行えば、借金の解決に一歩近づきます。そのためには、経験のある弁護士に相談するのが安心です。借金の返済が厳しくなってきたと感じたら、早い段階で弁護士にご相談ください。

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7. 個人再生と車に関するよくある質問

Q. 個人再生を申し立てた場合、車の引き上げ時期はいつ?


車が引き上げられる時期は、債権者の判断によるため一概には言えません。実際には、弁護士の受任通知や裁判所からの再生手続開始通知が届いてから1〜2カ月以内に引き上げられるケースが多いです。

Q. 個人再生の手続き中でも、車を購入することはできる?


個人再生の手続き中でも、車を購入すること自体は可能です。

個人再生を行っている以上、個人信用情報機関に事故情報が登録されているため、原則として自動車ローンを組むことはできません。そのため、車を購入する場合は代金の一括払いが必要になります。ただし、一部の中古車販売店が提供している自社ローンなどは、個人再生の手続き中でも利用できることがあります。

Q. 個人再生手続きが終了した後なら、自動車ローンを組める?


個人再生を申し立てると、その情報は事故情報として信用情報機関に登録されます。

個人再生の事故情報の登録期間は以下のとおりで、期間中は自動車ローンの審査に落ちる可能性が高いです。再び自動車ローンを利用するには、事故情報が消えるまで待つ必要があります。

・全国銀行個人信用情報センター(KSC):再生手続開始の決定日から7年
・株式会社日本信用情報機構(JICC):完済日から5年
・株式会社シー・アイ・シー(CIC):完済日から5年

Q. 車を家族名義に変更すれば、個人再生を申し立てても処分を避けられる?


処分を避けることはできません。車に担保権が設定されている場合、たとえ車の名義を家族に変えても担保権は残るためです。

なお、車に担保権が付いていなければ、名義に関係なく、個人再生を申し立てても車は処分されません。

Q. 個人再生で車が手元に残る場合、返済額が増える?


個人再生の手続き後は、少なくとも自己破産における債権者への配当額以上の額を、原則として3年間で債権者に支払わなければいけません。

自己破産の場合、車は処分されて債権者への配当に充てられます。そのため、手元に高額な車が残っていると最低弁済額が上がり、負担が増えることがあります

8. まとめ 個人再生で車を残したい場合には弁護士に相談を

個人再生は、借金問題を解決するための有力な手段です。ただし、状況によっては車を手放さなければならないこともあります。個人再生によって車を残せるかどうか、処分される場合にどうすべきかについては、弁護士に相談してアドバイスを受けましょう。

個人再生以外にも、任意整理や自己破産といった債務整理の方法があります。自分に合った方法で債務整理を行えば、借金の負担を軽くし、生活を立て直すことができます。

借金の返済が厳しく感じたら、早めに弁護士にご相談ください。

(記事は2026年4月1日時点の情報に基づいています)

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この記事を書いた人

阿部由羅(弁護士)

阿部由羅(弁護士)

ゆら総合法律事務所 代表弁護士
西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。債務整理案件のほか、離婚・相続案件や、ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務などを得意とする。埼玉弁護士会所属。登録番号54491。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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