債務整理(任意整理)をしたら保証人や連帯保証人に影響が出る? リスクと対処法

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債務整理をすると、保証人にどのような影響が出るのでしょうか (c)Getty Images
借金の返済が厳しくなったら、借金の減額や返済方法の変更などをする債務整理によって、借金の負担を軽減することができます。 しかし、家族や知人が借金の保証人や連帯保証人になっている場合、債務整理をすることで保証人に返済が求められるなど、迷惑がかかることがあります。そのため、債務整理を検討する際は、弁護士などの専門家にリスクや対処法について事前に相談することが大切です。 債務整理をした場合に保証人が受ける影響や、保証人への影響を軽減する方法などについて、弁護士が詳しく解説します。

目 次

1. 債務整理の種類で変わる! 保証人、連帯保証人への影響一覧

1-1. 任意整理|保証人に最も影響が少ない

1-2. 個人再生|原則、保証人に一括請求される

1-3. 自己破産|保証人に全額請求がいく

1-4. 特定調停

2. 保証人に迷惑をかけない、最小限にするための方法

2-1. 手続き前に弁護士へ相談して、最適な方法を見つける

2-2. 任意整理で保証人付きの債務を対象から外す

2-3. 保証人に事前に連絡をして正直に話し、理解を得る

2-4. 保証人と一緒に債務整理を行う「同時整理」を考える

3. もし保証人が一括弁済の請求を受けたら? 保証人がとるべき3つの行動とは?

3-1. 債権者と分割払いの交渉をする

3-2. 保証人自身も債務整理を検討する

3-3. 主債務者に求償権を行使する

4. 保証人と連帯保証人の違い

4-1. 保証人と連帯保証人の違い

4-2. 保証人と連帯保証人の違いによる債務整理の影響の有無

5. 債務整理と保証人について弁護士などの専門家に依頼するメリット

6. 債務整理と保証人に関してよくある質問

7. まとめ 債務整理による保証人への影響が心配であれば、まずは弁護士に相談を
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1. 債務整理の種類で変わる! 保証人、連帯保証人への影響一覧

借金などの債務の負担を軽減する債務整理には、主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」「特定調停」の4種類があり、それぞれ減額できる度合いや手続きの方法、保証人や連帯保証人への影響などが異なります。

 【保証人、連帯保証人への影響一覧】

手続き

保証人への通知を避ける方法

保証人への請求

保証人への影響の大きさ

任意整理

あり

整理対象から外せばなし

小〜大

(対象から外せば影響ゼロ)

個人再生

なし

(保証人に通知される)

減額された分も債務者の代わりに

一括請求される

(保証人が返済義務を負う)

自己破産

なし

(保証人に通知される)

残債務の全額を一括請求される

(保証人も連鎖破産するリスクあり)

特定調停

原則あり

整理対象から外せばなし

小〜大

(対象から外せば影響ゼロ)

保証人や連帯保証人とは、債務者(お金を借りている人)が自力で返済できなくなった場合に、債務者に代わって返済の義務を負う人のことです。そのため、保証人が付いた借金などの債務整理を行うと、原則として保証人に返済が請求されます。

債務整理の種類ごとに、保証人への影響について解説します。

1-1. 任意整理|保証人に最も影響が少ない


任意整理は、銀行や消費者金融などの債権者(お金を貸している側)と交渉して、利息のカットや支払い方法の変更などについて合意し、債務の負担を軽減する方法です。複数の債務がある場合、任意整理ではどの債務を対象とするかを自分で選ぶことができるなど、債務者が手続きの方向性を決められます。つまり、一部の債権者とだけ債務の減額交渉などをしても、問題はありません

任意整理で保証人がついた債務の減額交渉などを始めると、期限の利益を失い、債権者が保証人に返済を求める可能性があります。期限の利益とは、決められた返済日まではお金を払わなくてよい権利のことで、期限の利益を失うと、一括で全額を返済しなくてはならなくなります。そのため、保証人がいる債務は任意整理の対象から外すことで、保証人に請求されるリスクを回避できます

なお、仮に保証人付きの債務を任意整理の対象とした場合でも、ただちに保証人に請求されるとは限りません。任意整理の場合、借金の元本(元金)のカットはできず、利息や遅延損害金の一部減額と返済額の見直しのみで和解するケースも少なくありません。

元本のカットがない場合、和解契約により債務者には再び期限の利益が与えられ、返済を続けることになります。そのため債権者によっては、約定(やくじょう)どおりの弁済、つまり取り決めた約束どおりの返済ができれば、その間は保証人に一括請求をしないケースもあります

1-2. 個人再生|原則、保証人に一括請求される


個人再生は、裁判所を通じて債務の元本を大幅に減額する手続きで、債権者と裁判所が認めた再生計画に従って分割返済する方法です。返済が完了すれば、再生計画に基づき元本を含む債務が免除されます。

債務者は再生計画に基づき、債権者に減額された借金を返済しますが、かといって保証人の支払い義務が免除されるわけではなく、保証人は債務全額を支払う義務を負っています。

債権者は債権を全額回収するため個人再生が申し立てられたタイミング、もしくは個人再生を前提とする受任通知を受け取ったタイミングで、期限の利益を失ったとして、保証人に債務の一括弁済を求めます。

個人再生は任意整理と異なり、すべての債権者を手続きの対象としなければならないため、保証人付きの債務を手続きから除外することはできません。そのため保証人付きの債務がある状態で個人再生を申し立てると、保証人に影響が出ます。

1-3. 自己破産|保証人に全額請求がいく


自己破産とは、裁判所を通じて処分された財産が債権者に分配され、原則として残った債務全額が免除される手続きです。自己破産を申し立てれば、破産した本人である主債務者の債務は、最終的に免責される可能性があります。しかし、仮に主債務者の債務が免責されたとしても、保証人が負担する保証債務は免責されず、支払い義務はそのまま残ります。

そのため、主債務者が自己破産を申し立てる場合は個人再生と同じく、債権者が債権を全額回収するため、期限の利益を失ったとして、保証人に債務の一括弁済を求めます。

このように、債務者本人が自己破産や個人再生を申し立てると、保証人に債務の一括弁済が求められるため、保証人も債務整理などをする必要があるか併せて検討する必要があります

1-4. 特定調停


特定調停は、裁判所の調停委員が間に入って債務者と各債権者との協議をしながら、返済条件などを決める手続きです。特定調停ではもっぱら主債務者の返済条件などを決めるだけで、保証人の負う義務が変更されることはありません。そのためほかの手続きと同様、保証人についても何らかの対応が必要になります。

2. 保証人に迷惑をかけない、最小限にするための方法

債務整理を行う場合に、保証人に迷惑をかけない、あるいは保証人への影響を最小限にするための方法について解説します。

2-1. 手続き前に弁護士へ相談して、最適な方法を見つける


債務整理を行う場合、自身のさまざまな事情をふまえたうえで、どの手続きを選択するか、またどのように進めるかなど、慎重に判断する必要があります。

たとえば、任意整理では対象とする債権者を債務者が選択できる一方で、元本の減額が難しいという特徴があります。保証人付き債務があるからと任意整理を選択した結果、毎月の返済額が高額になり生活もままならないことになるのであれば、やはり個人再生や自己破産など裁判所を通じた法的整理を検討しなければなりません。

法的整理を選択するのであれば、保証人にあらかじめ事情を説明するなど、納得してもらうための対応も必要になります。経済的更生を目標にしつつも、できるだけ保証人の負担を減らすために、最終的な手続き選択と方針の決定をすることが重要です。経験豊富な弁護士などの専門家にできるだけ早く相談し、方針などについてアドバイスをもらうことをお勧めします

2-2. 任意整理で保証人付きの債務を対象から外す


保証人付きの債務がある場合は、その債務を任意整理の対象から外し、それ以外の債務を整理して全体の債務額を減らす方法を検討する選択肢があります。この方法で債務整理が進み、債務者も安定した生活を送れるのであれば、保証人に迷惑をかけないため、債務者としても安心です。

この場合、保証人付き債務は当初の契約どおり返済を続けるのは当然ですが、それに加えて任意整理した債務も合意内容に従い、毎月安定して支払う必要があります

こうした契約や合意どおりの返済が順調に進まなければ、結果的に保証人付き債務も債務整理せざるを得なくなります。そのため、無理のない返済計画を作ることが大切です。

弁護士である筆者としては、毎月の返済見込み額が高額になるのであれば、無理をして任意整理を選択する必要はないと考えます。

2-3. 保証人に事前に連絡をして正直に話し、理解を得る


債務者の状況によっては、保証人付き債務も債務整理の対象としなければならないこともあります。保証人にどのように伝えたらよいのでしょうか。

まず、誠実にできるだけ早い時期に説明することが何より重要です。保証人との関係性にもよりますが、債務整理を検討せざるを得ないほど債務が増えてしまった理由などをしっかりと自身で説明すべきです。

また、保証人自身も不安になることは理解しておく必要があります。保証人付き債務の整理をすると、債権者は債務の全額を保証人に一括請求します。保証人からすれば、突然高額な請求が来るわけで、今後の生活に不安を覚える人も少なくありません。

そのため、保証人には債権者から一括請求が来る前、できれば弁護士に相談する前後のタイミングで、直接説明をする機会を設けてください。直接会うことが難しい場合はビデオ通話などを活用し、少しでも誠意が伝わるように工夫すべきです。

説明の際、債権者から一括請求が来た場合の対応について保証人から聞かれるかもしれません。その場合は、保証人から債権者に直接連絡を入れて、具体的な返済方法を協議したいと申し入れてもらうよう伝えてください。債権者も保証債務であることを考慮し、一括弁済にはこだわらず、保証人の生活状況に応じた返済案を受け入れることも少なくありません。

保証人に一括の支払いを求める通知書が来たにもかかわらず、保証人が何も対応せず放置することだけは、絶対に避けるようにしてください

2-4. 保証人と一緒に債務整理を行う「同時整理」を考える


保証人の生活状況から返済が難しい場合や、保証債務額が高額で、年齢を考えると全額の返済見通しが立たない場合などは、保証人の債務整理も検討することになります。

保証人も債務整理を行うと、そのネガティブな情報が信用情報機関に登録され、いわゆる「ブラックリスト入り」する不利益もありますが、保証人の生活を守ることも重要です。

弁護士に相談すれば、保証人の債務整理の希望にも応えてもらえ、保証人の生活状況に応じた最適な方針をアドバイスしてもらえます。

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3. もし保証人が一括弁済の請求を受けたら? 保証人がとるべき3つの行動とは?

もし保証人として一括弁済の請求を受けたら、どのように対応すればいいのか、解説します。

3-1. 債権者と分割払いの交渉をする


まずは債権者に直接連絡をとって、保証人自身の現在の生活状況を説明し、保証人にとって無理のない範囲での分割弁済ができないか、交渉します。債権者としても、確実な返済が期待できるのであれば、返済期間が多少長期化したとしても、分割返済に応じてくれる可能性は十分にあります。あきらめずに誠実に対応することが大切です。

3-2. 保証人自身も債務整理を検討する


分割払いの交渉を試みたにもかかわらず条件が折り合わなかった場合や、保証債務の額が高額で、そもそも返済が困難な場合は、保証人自身の債務整理を検討します。最も重要なことは、保証人自身の生活を守ることであるため、早急に弁護士などに相談してください

3-3. 主債務者に求償権を行使する


保証債務を履行、つまり肩代わり返済をした場合は、保証人は主債務者に対し、求償権を行使できます。求償権とは、肩代わりした分の金額を主債務者に請求する権利です。

しかし、保証人に一括請求が来ている時点で、債務者が厳しい経済状況に置かれているのは容易に想像ができ、実際に求償権によってお金を回収できる見込みは高くありません。

4. 保証人と連帯保証人の違い

保証人と連帯保証人の違いについて解説します。

4-1. 保証人と連帯保証人の違い


保証人も連帯保証人も、主債務者の債務を保証する人、つまり債務を履行できなくなった主債務者に代わって返済する義務を負う人を指します。しかし、保証人は連帯保証人と異なり、保証債務の履行を求められたときに「催告の抗弁」、「検索の抗弁」、保証人が複数いる場合は「分別の利益」を主張することができます

【催告の抗弁】
債権者からの請求に対し、主債務者自身に請求してほしいと主張し、一時的に保証債務の支払いを待ってもらうことができます。

【検索の抗弁】
保証債務の履行請求に対し、主債務者には資産があるため先に主債務者の資産に対し強制執行するよう求めることができます。

【分別の利益】
保証人が複数人いる場合、保証人が支払うべき債務の額は、保証人の頭数で割った金額が上限であると主張することができます。連帯保証人の場合は、仮に複数人の保証人がいたとしても、連帯保証人自らが全額の支払い義務を負います。

【保証人と連帯保証人の違い】

権利と利益の内容

保証人

連帯保証人

催告の抗弁

(債権者に対して

「まず主債務者に請求せよ」と主張し、

自身の支払いを拒める権利)

あり

なし

×

検索の抗弁

(「主債務者に返済能力がある」と証明し、

自身の支払いを拒める権利)

あり

なし

×

分別の利益

(複数の保証人がいる際、

債務を人数分で等分した額だけ

返せばよい権利)

あり

なし

×

4-2. 保証人と連帯保証人の違いによる債務整理の影響の有無


主債務者が債務整理をした場合、保証人であれ連帯保証人であれ、債権者から請求を受けるため、その意味では大きな違いはありません。保証人が複数いる場合は、分別の利益を主張することで、実際の支払い額を抑えることができます

5. 債務整理と保証人について弁護士などの専門家に依頼するメリット

保証人付き債務の債務整理をする場合、保証人に与える影響を想定しながら手続き方法の選択や方針を決定する必要があり、自分だけで対応するのは簡単ではありません。

債務整理では、債権者との交渉などを行う必要があるほか、手続きを進めるうえで正確な法律の知識が求められます。知識の差で主債務者と保証人の返済条件に影響が出る可能性もあります。

弁護士などの専門家に依頼すれば、事務的な労力や精神的な負担が軽減されるほか、保証人に説明する際の対応や、保証人の債務整理の有無など、さまざまな場面で適切なアドバイスが受けられます。債務者や保証人の生活を立て直す観点からも、専門家にできるだけ早い段階から相談するようにしてください

弁護士のほかに司法書士に相談することもできますが、債務額によって受任の可否が異なるため、注意が必要です。

6. 債務整理と保証人に関してよくある質問

Q. 親が債務整理をした場合、子どもの奨学金に影響はある?


親が債務整理をしたからといって、子どもが一括の返済を求められることはありません。

ただし、親が奨学金の返還債務の保証人になっている場合、親が債務整理をすると、債権者から新たな保証人を追加するよう求められます。

Q. 住宅ローンの連帯保証人の場合、主債務者が債務整理をすると自宅はどうなる?


主債務者が任意整理か住宅ローン特則を活用した個人再生の手続きをとっていた場合、主債務者が手続きの結果に従った弁済ができていれば、連帯保証人が一括請求されることはなく、これまでどおり自宅に住み続けられます。

しかし、主債務者が自己破産を申し立てた場合は、連帯保証人は一括請求を受けます。全額の弁済が困難であるときは競売を申し立てられ、自宅に住めなくなる可能性があります。

Q. 債務整理をしたら、もう誰かの保証人にはなれない?


個人間の貸し借りであれば、保証人になれるケースもあるかもしれませんが、債務整理をすると信用情報登録機関に記録が残るため、金融機関やカード会社などの債務では、原則として保証人になることはできません。

Q. 妻が保証人の場合、離婚すれば保証人としての責任もなくなる?


離婚しても、元妻には保証人としての義務が残ります。そのため、離婚後に元夫が債務整理を行うと、元妻にも当然影響が生じます。

Q. 保証人が死亡した場合はどうなる?


保証人が死亡した場合、保証債務は相続されます。保証債務の内容によっては、相続人は相続放棄を検討する必要があります。

7. まとめ 債務整理による保証人への影響が心配であれば、まずは弁護士に相談を

保証人付きの債務の債務整理を行うと、保証人に一括での返済が請求されるなど、大きな迷惑がかかることがあります。債務整理を検討する際は、保証人付きの債務は任意整理の対象から外したり、保証人に事前に誠実に説明して理解を得たりするなど、対応が必要です。場合によっては、保証人も同時に債務整理を進めたほうがよいこともあります。

債務整理を検討したら、まずは早い段階で弁護士などの専門家に相談し、保証人への影響を考えながら、手続き方法の選択や方針を決めることをお勧めします。

(記事は2026年4月1日時点の情報に基づいています)

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この記事を書いた人

角憲和(弁護士)

角憲和(弁護士)

弁護士法人親和法律事務所大阪事務所 弁護士
大阪弁護士会所属。登録番号54989。法人や個人の自己破産申立事件、個人再生申立や債務整理事件を多く取り扱うほか、破産管財人として破産事件に関わる。最近は、代表者の経済的更生をさらに後押しするために、中小企業の事業再生などのガイドラインや経営者保証ガイドラインにもとづく私的整理手続きにも積極的に取り組んでいる。依頼者が債務整理に至った事情をしっかり聞き取り、依頼者のその後を見据えた方針の提案やサポートを行っている。
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