5年前の借金の督促状が届いた。時効が成立したら返さなくてもよい?【借金お悩み相談室】

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弁護士が借金のお悩みにお答えします
弁護士の勝本広太さんが借金問題や債務整理にまつわる様々なお悩みにお答えします。今回の相談者は、5年前に借りた借金の時効について不安に思っています。

目 次

1. 消滅時効ってなに? 借金を返済しなくてもよくなる?

2. どのくらいの期間が経つと時効になるの?

3. 時効が完成していることは少ない?

3-1. 時効の完成猶予とは

3-2. 時効の更新とは

4. 時効で借金の返済義務を免れるには「時効の援用」が必要

5. 消滅時効が完成しているかを確認するには専門家への相談が大切
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5年以上前に消費者金融からお金を借り入れ、返済せずに連絡を無視し続けていましたが、先日、督促状が届きました。借金には時効があると聞きましたが、返す必要はありますか?(愛知県在住、40代女性)

ご相談者のケースでは、借金をしてから5年以上が経過しているため、時効によって返済義務がなくなっている可能性があります。ただし、消費者金融側も時効が完成しないように何らかの措置を講じているのが通常ですので、実際は返済義務がなくなっていないことも多いです。

借り入れから長期間経っているからといって安易に返済義務がないと判断せずに、専門家に相談のうえで対応を決めることをおすすめします。

1. 消滅時効ってなに? 借金を返済しなくてもよくなる?

「消滅時効」とは、一定の期間が経過すると権利が消滅するという法律上の制度です。借金の場合は、返済されないまま一定期間が経過すると、時効により「返済を求める権利」がなくなります。消費者金融からの借金や銀行のカードローンも消滅時効の対象です。

なお、消滅時効については2020年4月1日に民法改正がなされ、新しいルールが定められました。ここでは新民法に基づいて解説をします。2020年3月31日以前の借り入れには旧民法が適用されますので注意してください。

2. どのくらいの期間が経つと時効になるの?

民法改正(2020年4月1日)以降に借り入れた場合の時効は、下記のいずれか早いほうです。

  • 消費者金融などの債権者(お金を貸した側)が権利を行使できることを知ったときから5年

  • 債権者が権利を行使できるときから10年

「債権者が権利を行使できることを知ったとき」とは、簡単に言うと、支払期限が来たことを債権者が知ったときです。消費者金融などが借金の支払期限を知らないことは基本的にないため、一度も返済をしていない場合は、支払期限から5年で時効が完成します。

一方、民法改正(2020年3月31日)以前に借り入れた場合は、債権者によって時効期間が異なります。いずれにしても、消費者金融からの借金の場合は、原則として返済期限から5年です。

借金の時効の考え方の図解。お金を貸した側が一定期間その権利を行使しない場合は、借金の返済を要求できなくなる
借金の時効の考え方の図解。お金を貸した側が一定期間その権利を行使しない場合は、借金の返済を要求できなくなる

3. 時効が完成していることは少ない?

消費者金融からの連絡を無視し続けて5年経てば必ず返さなくてよくなるかというと、そう簡単な話ではありません。

時効には「完成猶予」や「更新」といった制度があり、消費者金融もこれらの制度を利用して時効の完成を防いでいることが多いです。なお、民法改正前は時効の「停止」や「中断」と呼ばれていました。

3-1. 時効の完成猶予とは


時効の完成猶予とは、時効のカウントダウンを一時的に止めることをいいます。たとえば、消費者金融が債務者(お金を借りた側)に対して借金の返済を催告した場合、催告の時から6カ月間はカウントダウンが止まるため、時効が完成しません

3-2. 時効の更新とは


時効の更新とは、時効をリセットしてゼロからカウントし直すことをいいます。たとえば、消費者金融から訴訟を起こされ、支払いを命じる判決が確定した場合や和解が成立した場合、借金の返済義務があることを債務者が承認した場合などに時効がリセットされます。

特に「借金の返済義務があることを債務者が承認した場合」に注意が必要です。「承認」とは、借金の存在を認める言動をいいます。たとえば借金の一部を返済したり、返済の約束をしたりすることです。債権者から強く催促されるなどして、これらの対応をしてしまっているケースは多いです。

4. 時効で借金の返済義務を免れるには「時効の援用」が必要

時効期間が過ぎ、時効の完成猶予や更新がない場合であっても、借金の返済義務は自動的にはなくなりません。債務者が「時効の援用」をする必要があります。

「時効の援用」とは、簡単に言うと「時効期間が過ぎているので返済義務はなくなりました」と債権者に伝える行為です。時効の援用をして初めて、返済義務が消滅します。後で「言った・言わない」のトラブルが発生することを避けるため、配達証明付き内容証明郵便で時効援用通知書を送付するかたちで時効の援用を行うことが一般的です。

ただし、時効が完成していないのに援用手続きをしたり、債権者に確認する際に債務の承認をしてしまって時効更新がなされてしまうなどのリスクがあります。時効の援用手続きは、借金問題に詳しい弁護士や司法書士に相談しましょう。

5. 消滅時効が完成しているかを確認するには専門家への相談が大切

借金をしてから長期間経過していたとしても、当然に返済義務がなくなるわけではありません。

自己判断で行動すると、時効期間がリセットされてしまう可能性があります。まずは弁護士や司法書士に相談して時効が完成しているかを確認し、適切な方法で援用手続きを行いましょう。

(記事は2025年10月1日時点の情報に基づいています。質問は実際の相談内容をもとに再構成しています)

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この記事を書いた人

勝本広太(弁護士)

勝本広太(弁護士)

川崎相続遺言法律事務所 弁護士
中央大学卒業。神奈川県弁護士会所属。登録番号53382。所属事務所では相続遺言問題に力を入れている一方、個人的には債務整理に力を入れている。任意整理や個人再生、自己破産などさまざまな相談に対応している。
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