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1. 自己破産を法テラスに依頼した場合の費用の目安
自己破産では、予納金や実費のほかに、弁護士に依頼するのであれば弁護士費用がかかります。所定の条件を満たす場合、法テラスを利用すれば、これらの費用を立て替えてもらえます。
法テラスを利用した場合には、立て替えてもらった費用を原則として月5000円から1万円程度の分割で返還していきます。自己破産は同時廃止事件と管財事件で費用が異なります。また、債権者の数によって加算されるケースもあります。
弁護士費用 | 実費 | 予納金 (官報公告費を含む) | 分割の可否・月額目安 | |
|---|---|---|---|---|
通常依頼 (同時廃止事件) | 30万円〜50万円程度 | 数千円〜2万円程度 | 約1万2000円 | 事務所による |
通常依頼 (管財事件) | 30万円〜80万円程度 | 数千円〜2万円程度 | 約22万円 | 事務所による |
法テラス利用 (同時廃止事件) | 債権者数 1社〜10社:13万2000円
11社〜20社:15万4000円
21社以上:18万7000円 | 債権者数にかかわらず 2万3000円 | 約1万2000円 (原則として直接自己負担) | 分割可 月5000円〜1万円程度 |
法テラス利用 (管財事件) | 約22万円 | 債権者数にかかわらず 2万3000円 | 約22万円 (原則として直接自己負担) | 分割可 月5000円〜1万円程度 |
2. 法テラスで費用の分割払いはできる?
法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば、費用を立て替えてもらった後に分割払いで返済していくことができます。分割払いの開始時期は、原則として事件終了後、すなわち自己破産手続きが終了した後からです。
月々の返済額は収入や生活状況に応じて決定されますが、一般的に5000円から1万円程度となります。生活保護受給者が自己破産をした場合などには、返済が免除されることもあります。また、返済中に生活が困窮した場合には、返済の猶予や免除を申請することもできます。
法テラスであれば必ず分割払いができ、その額も低く抑えられているので、月々の負担を少なくすることができます。
3. 法テラスの分割立替制度を利用するための主な条件
法テラスの分割立替制度を利用するための主な条件についてご説明します。
3-1. 収入・資産が一定基準以下であること
自己破産の費用を立て替えてもらうには、収入や資産が一定の基準を下回っている必要があります。
具体的な基準額は、居住地域や家族構成によって異なります。具体的な基準額を知りたい場合には、お住まいの地域の法テラスに確認してみるとよいでしょう。基準額以下かどうかの判定には、月収や預貯金などが確認されます。
3-2. 問題解決の見込みがあること
自己破産での法テラス利用では、法テラスを利用することで自己破産が裁判所で認められ、免責許可決定が出る可能性が一定程度以上ある場合に支援対象となります。そもそも自己破産ができないケースや免責許可の見込みがないか極めて低いケースでは、法テラスの利用が難しくなる傾向にあります。
3-3. 民事法律扶助の趣旨にかなうこと
嫌がらせなどの報復のためだったり、何らかの宣伝をするためだったりする場合には、法テラスの利用が認められません。お金がなくて困っている事情で行うものであれば、基本的には民事法律扶助の趣旨にかなうものとされるでしょう。
4. 2回目の自己破産で法テラスを利用する際の条件
2回目の自己破産でも、法テラスが一切利用できないということはありません。
4-1. 2回目でも法テラスの申込み自体は可能
自己破産や法テラス利用については、回数制限があるわけではありません。このため、2回目の自己破産でも法テラスを利用することは可能です。しかし、2回目の自己破産では1回目の自己破産とまったく同じように法テラスを利用できるというわけではありません。
4-2. 2回目は審査が厳しくなることもある
2回目の自己破産では、法テラスの利用にあたって審査が厳しくなる傾向があります。たとえば、前回の自己破産から7年以内に再度破産を申し立てる場合、免責不許可事由に該当する可能性があるため、法テラスの利用が認められないことがあります(破産法252条1項10号)。
また、2回目の自己破産の理由が、1回目とほぼ同じ内容である場合も注意が必要です。一度免責を受けたにもかかわらず、同様の原因で再び多額の借金を負っていると、経済的に立ち直る意思が不十分と判断され、免責が認められにくくなるおそれがあります。その結果、法テラスの利用も難しくなる可能性があります。
さらに、2回目の自己破産では、借金の経緯や生活状況について詳しい調査が必要になることが多く、管財事件となりやすい傾向があります。管財事件になると、管財費用として原則20万円以上を自己負担しなければならず、この費用は法テラスの援助対象外です。また、手続きに要する期間も通常より長くなります。
このような事情から、2回目の自己破産で法テラスの利用を目指す場合には、免責が見込まれる事情や反省・改善状況を示す資料を十分に準備することが重要です。
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5. 法テラスで自己破産手続きを進める流れ・期間の目安
法テラスで自己破産を進める流れ・期間の目安はおおむね次のとおりです。
電話やWebで問い合わせをする
法律相談を行う(問い合わせから数日〜1週間程度)
法テラスによる審査がなされる(審査申込みから結果まで1〜2週間から1カ月程度)
援助決定が出て、弁護士と契約する(審査結果が出次第)
以下で詳しく説明します。
5-1. 電話やWebで問い合わせをする
まずは、法テラスの総合案内に電話またはWebから問い合わせを行い、法律相談の予約に向けた最初の手続きを行います。法テラスの窓口では、相談内容の概要や居住地域をもとに、適切な相談先を案内してもらえます。
また、法テラスと契約している弁護士・司法書士事務所に直接問い合わせる方法もあります。この場合でも、法テラスの制度を利用した相談・依頼が可能です。
5-2. 法律相談の日時を取り決める
法テラスの法律相談は、原則として予約制です。問い合わせ時に希望日時を伝え、相談日を決定します。時期や地域によっては相談が混み合い、予約から実際の相談まで1週間前後かかることもあるため、早めに連絡することが大切です。
なお、法テラスでは「相談援助制度」により、収入や資産が一定基準以下であれば、無料で法律相談を受けられる場合があります。予約時に、無料相談の対象になるかどうかもあわせて確認しておくと安心です。
5-3. 相談時に立替制度の利用を申し出る
法律相談の際には、弁護士や司法書士に対して、法テラスの費用立替制度を利用したい旨を伝えます。自己破産の相談だけでなく、収入や預貯金、不動産の有無など、経済的な状況についても説明できるよう準備しておくと、話がスムーズに進みます。
相談時間は原則30分以内のため、借金の内容やこれまでの経緯、現在の生活状況などをあらかじめ整理しておくことが重要です。
5-4. 審査用の必要書類を準備する
立替制度を利用するためには、法テラスによる資力審査が行われます。そのため、給与明細や課税証明書などの収入関係書類、預貯金通帳の写し、不動産資料、住民票などの提出が求められます。
事前に必要書類をそろえておくことで、申込みから審査までの手続きをスムーズに進めることができます。書類の内容に不安がある場合は、相談先の専門家に確認しながら準備するとよいでしょう。
5-5. 制度の利用可否を判断するための審査が行われる
必要書類を提出して立替制度の利用を申し込むと、法テラス側で資力や事案内容についての審査が行われます。審査の過程で追加資料の提出や内容確認を求められることもあるので、その際は速やかに対応しましょう。
審査期間は通常1、2週間から1カ月程度ですが、状況によってはそれ以上かかる場合もあります。申込み後すぐに結果が出るわけではない点を理解しておきましょう。
5-6. 審査通過後に委任契約を結んで正式に依頼する
審査に通過すると、弁護士または司法書士との間で委任契約を結ぶことになります。この契約が成立した時点で、正式に自己破産手続きの依頼が完了し、専門家が手続きに着手します。
委任契約は郵送やオンラインで対応している事務所も多く、遠方に住んでいる場合でも支障なく依頼が可能です。以後の裁判所対応や書類作成は、原則として依頼した専門家が進めてくれます。
6. 法テラスで自己破産手続きを急ぎで進めたいときは?
法テラス利用でも自己破産手続きを急ぎで進めたいという場合には、まずは法テラスと契約している弁護士に相談をするようにしましょう。
弁護士によっては、法テラスの審査が通るのを待たずに、すぐに案件に着手して受任通知を貸金業者に送付してくれることがあります。貸金業者が受任通知を受け取ったら、それ以降は督促や取り立てをすることができないと法律で定められており、取り立てを止めて自己破産の準備に集中できるようになります。
これと並行して法テラスの立替制度の援助申込みと審査を進めることで、迅速に法テラスを利用した自己破産を進めることができます。
7. 自己破産を法テラス経由で行うことによるメリット
自己破産を法テラス経由で行うメリットについてご説明します。
7-1. 弁護士費用を抑えて借金整理を進められる
法テラスを利用することで、弁護士費用の負担を抑えて借金の整理を進めることができます。法テラスの定める報酬基準は、通常の弁護士事務所の費用設定よりも低く抑えられていることがその理由です。
また、法テラスを利用して自己破産をした場合、収入や資産が低いなどのケースによっては、立て替えてもらった費用の返還を免除してもらえることもあります。
7-2. 手元資金がなくても申立準備に着手できる
法テラスの立替制度を活用すれば、自己破産のための資金が手元に十分にない状態でも自己破産に向けて手続きを開始することができます。自己破産の相談時に法テラスの利用を希望していることを伝え、法テラスが利用できる要件を満たしていれば速やかに対応を進められます。
7-3. 生活状況によっては費用の猶予や免除も可能
経済的に生活の状況が苦しく、収入や資産などの経済的な条件を満たす場合には、立替金の返済が猶予または免除されることがあります。
生活保護を受給しているケースはもちろん、生活保護を受給していなくても収入や資産が十分に低い場合には、立替金の返済を免除してもらえます。具体的な基準は住んでいる地域によっても異なりますが、例えば東京に住んでいる単身者であれば月の収入がおおむね14万円以下であれば免除の対象となる可能性があります。
収入などが低く、法テラスに立て替えてもらったお金を返還していくことが難しい場合には、返還免除ができないか相談してみましょう。
8. 法テラスを活用する際に知っておきたいデメリット
法テラスを活用する際にはデメリットもあります。このことについてご説明します。
8-1. 審査に時間がかかり手続きが遅れる可能性がある
法テラスを利用するためには審査が必要ですが、申請から審査完了までに数週間から1カ月程度を要することがあります。その間に、訴訟を提起されたり差し押さえを受けたりするなど、法的な対応を取られてしまうリスクがあります。
特に急いでいる場合には、法テラス利用にこだわらないで対応することも検討してみることが必要です。
8-2. 担当する弁護士を自分で選ぶことができない
法テラスの相談窓口を通じて相談・依頼をした場合、自己破産を担当する弁護士を自分で指定することはできません。そのため、状況によっては、自己破産の取り扱い経験があまり多くない弁護士が担当になる可能性もあります。自己破産を専門に扱っている弁護士に相談したい場合には、法テラスの相談窓口は必ずしも最適とはいえないケースもあるでしょう。
一方で、法テラスと契約している弁護士を自分で選び、その弁護士に直接相談したうえで、法テラスを利用して自己破産手続きを進める方法もあります。いわゆる「持ち込み方式」と呼ばれる利用方法で、この場合は、自分で選んだ弁護士に依頼しながら法テラスの支援を受けることができます。
「債務整理のとびら」でも、法テラス利用可能な弁護士事務所が掲載されていますので活用してください。
8-3. 破産手続きに必要なすべての費用が支援対象ではない
弁護士への報酬などは法テラスによる立て替えの対象になりますが、管財事件になった場合の予納金など一部の実費は自分で負担しなければなりません。法テラス利用でも自己負担がまったくゼロで済むわけではないことには注意が必要です。
なお、生活保護を受給しているなど、一定の場合には予納金についても法テラスの援助を受けられる可能性があります。予納金の負担が理由で自己破産を諦めず、まずは相談してみましょう。
9. 自己破産は法テラスと法律事務所のどちらに依頼するのが向いている?
自己破産は法テラスと弁護士事務所のどちらに依頼するべきでしょうか。それぞれの違いについて解説します。
9-1. 費用面の負担を抑えたい人に向いているのは法テラス
できるだけ費用を抑えて自己破産を進めたい場合には、法テラスの利用を検討するとよいでしょう。自己破産を考えている人は、すでに家計に余裕がないケースも多く、弁護士費用を一括で用意するのが難しいことも少なくありません。法テラスを利用すれば、弁護士費用や裁判所費用を立て替えてもらえるため、経済的な負担を軽減できます。
また、信頼できる弁護士が法テラスと契約している場合には、「持ち込み方式」を利用することで、その弁護士に依頼したまま法テラスの支援を受けることも可能です。費用面に不安がある場合は、こうした利用方法も含めて法テラスの活用を検討してみるとよいでしょう。
9-2. 緊急性や複雑さがある場合は弁護士への直接相談が安心
督促や差し押さえの危険が迫っているなど緊急性が高い場合や、借金額が高額である場合、借金の経緯に複雑な事情がある場合、免責不許可事由に該当するおそれがある場合など、単純な自己破産では済まないケースでは、弁護士への直接相談が安心です。
自己破産を多く取り扱っている弁護士であれば、複雑な事情がある案件でも適切に対応してくれます。法テラスの相談窓口では、原則として担当弁護士を選ぶことができないため、経験豊富な弁護士に確実に相談したい場合には、自分で弁護士を選んで直接相談する方法を検討したほうがよいでしょう。
10. 専門家に自己破産を相談・依頼するメリット
専門家に自己破産を相談・依頼するメリットには様々なものがあります。弁護士事務所の中には、無料相談や分割払いに対応しているところもあり、状況によっては早期に受任・対応してもらえるケースもあります。
ここでは、自己破産の問題を弁護士に相談するメリットを紹介します。
10-1. 将来の見通しが立ち、気持ちの整理がしやすくなる
弁護士などの専門家に自己破産を相談すると、今後の生活や手続きの流れについて具体的な説明やアドバイスを受けることができます。
自己破産を検討している段階では今後の不安が大きいことも多いです。専門家から将来の見通しを示してもらうことで状況を冷静に整理でき、精神的な安心につながることも少なくありません。
10-2. 複雑な手続きを任せることで負担を減らせる
自己破産の手続きには、多くの書類作成や裁判所対応が必要となり、内容も複雑です。自分だけで進めようとすると、何をどうすればよいのか分からず、手続きが滞ってしまうこともあります。
弁護士に依頼すれば、煩雑な手続きを一任できるため、時間的・精神的な負担を大きく減らしながら、スムーズに自己破産を進めることができます。
10-3. 取り立ての停止や差し押さえの予防につながる
自己破産の手続きを弁護士に依頼すると、まず弁護士は受任通知を貸金業者に送ります。弁護士から自己破産の受任通知を受け取った貸金業者は、その時点から債務者本人に対して取り立てを行うことができなくなると貸金業法で定められています。
これにより、自分自身への取り立てを止めることができ、それによる精神的負担を減らすことができます。また、貸金業者へは弁護士が対応してくれるので、貸金業者による差し押さえなどのリスクを減らせる可能性もあります。
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11. 法テラスを利用した自己破産に関連してよくある質問
Q. 2回目の自己破産であることは法テラスにバレる?
2回目の自己破産であることも含め、事実については法テラスの利用申込みの際に正確に申告することが大切です。事実を隠して法テラスを利用すると、場合によっては刑事上・民事上の責任追及を受けることにつながります。
Q. 法テラスを利用すれば、自己破産の費用はすべて無料になる?
法テラスの援助は弁護士費用等の立て替えをしてくれるものであり、自己破産の費用が無料になるものではありません。立て替えてもらった費用は後で返還しなければなりませんし、予納金など一部の費用は立て替えの対象外です。ただし、生活保護受給者や収入等が著しく低いなどの条件を満たせば、返還が免除される可能性はあります。
Q. 自己破産を法テラスに依頼すると、どれくらいの期間で手続きが終わる?
法テラスを利用しても自己破産にかかる期間は基本的には大きく変わることはありません。同時廃止事件では3カ月から4カ月程度ですが、管財事件では1年ほどの時間がかかることもあります。
ただし、法テラスを利用する場合には、自己破産の手続きを開始する前に法テラスによる審査の時間として数週間から1カ月程度の時間がかかります。最初にこの分だけ、法テラスを利用するほうが長い時間がかかることに留意が必要です。
Q. 法テラスの自己破産の立替制度を利用するための審査は厳しい? 通過のポイントは?
法テラスの審査は所定の基準に従って行われます。自己破産が本当に必要な人であれば、経済的な条件などを満たす可能性は高いです。審査に通過するポイントは、必要な資料をなるべく早く正確に用意することです。資料が審査に必要なので準備してほしいと伝えられたら、放置せずにすぐに用意するようにしましょう。
Q. 法テラスの費用を途中で払えなくなったらどうなる?
法テラスの費用を途中で払えなくなるケースは基本的には経済的な状況が非常に厳しくなったからだと考えられますが、そのようなケースでは返済の猶予や免除を申請することもできます。まずは法テラスに相談してみましょう。黙って支払いを止めることはおすすめできません。
Q. 自己破産以外の選択肢も法テラスで使える? 費用はどのくらい?
自己破産以外にも個人再生や任意整理など他の債務整理でも法テラスを利用することはできます。自己破産以外だからといって大きく異なることはありません。立て替えてもらったお金の分割払いについても、自己破産と同様に月5000円から1万円程度を返済していくことになります。
12. まとめ 法テラスを利用した自己破産は「経済的再出発」の選択肢になりうるので早めに相談
自己破産の費用が不安な場合でも、法テラスの民事法律扶助を利用すれば、弁護士費用などを立て替えてもらい、分割で返還していくことが可能です。返還額は原則として月5000円〜1万円程度に抑えられます。
ただし、同時廃止か管財事件かによって自己負担額は異なり、管財事件では予納金など一部の費用を自分で用意する必要があります。また、法テラスの利用には収入・資産の基準や免責の見込みといった条件があり、審査には数週間から1カ月ほどかかる点にも注意が必要です。
特に2回目の自己破産では審査が厳しくなる傾向があるため、早めに専門家へ相談し、必要資料を整えて進めることが重要です。
(記事は2026年3月1日時点の情報に基づいています)
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