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1. 過払い金請求は、認定司法書士にも依頼できる
過払い金請求は、弁護士だけでなく認定司法書士にも依頼できます。
1-1. 認定司法書士とは
過払い金請求の手続きは、全ての司法書士が行えるわけではありません。法務大臣の定める100時間の研修を修了した後、簡裁訴訟代理等認定考査という試験に合格した「認定司法書士」のみが対応可能です。
認定司法書士には、法律相談や簡易裁判所における訴訟の代理権が認められていますが、その権限は「訴額140万円以下」に限られます。
なお、この金額には利息や遅延損害金を含まず、貸金業者1社ごとの借金の元金で判断されます。
1-2. 過払い金請求に関する弁護士と司法書士の違い
弁護士は、過払い金請求全般について取り扱うことができ、請求金額の上限や、裁判を行う裁判所(簡易裁判所、地方裁判所など)の種類に制限はありません。
これに対し、認定司法書士は、1社あたりの請求額(元金)が140万円以下の案件のみを取り扱うことができます。
また、司法書士が代理できる裁判は簡易裁判所での第一審に限られ、地方裁判所以上の訴訟や、貸金業者に控訴された場合の手続は担当することができません。
2. 過払い金請求を司法書士に相談・依頼するメリット
過払い金請求を司法書士に相談・依頼するメリットは、大きく以下の3点です。
2-1. 適正額の過払い金を取り戻せる可能性が高まる
過払い金を請求するには、利息計算や取引の一連計算を行って請求金額を正確に算定する必要があります。貸金業者は支払いを拒んだり、不当に減額した和解案を提示したりすることがあるため、法的な根拠に基づいて交渉をしていかなくてはなりません。
このように、請求金額の算定から交渉まで専門的な知識が必要となるため、個人で請求をすることは簡単ではありません。専門的な知識と豊富な交渉経験を持つ司法書士に依頼することで、個人で対応するよりもスムーズに過払い金を取り戻せる可能性が高くなります。
2-2. 労力やストレスが軽減される
過払い金請求は、取引履歴の確認や引き直し計算、そして債権者との継続的な交渉が必要です。時間や手間もかかるため、不慣れな方にとって精神的な負担が大きい手続きです。
専門家に依頼すれば、煩雑な作業や過払い金の支払いを避けようとする業者との交渉を全て任せることができるため、依頼者の労力や心理的ストレスを大幅に軽減できます。
2-3. 家族や職場に知られないよう配慮してもらえる
個人で対応する場合、貸金業者からの郵送物や督促状が自宅に届くことで、家族に借金について知られてしまう場合があります。
しかし、専門家に交渉を依頼すれば、貸金業者からの連絡や郵便物は全て専門家事務所宛てになるため、自宅に督促状などが届くことはなくなります。
また、多くの事務所では、郵送物の差出人名を事務所名ではなく代表者名にする、あるいは電話連絡の時間を指定するなど、同居する家族に知られないようプライバシーに配慮した対応がされています。
3. 過払い金請求を司法書士に相談・依頼するデメリット
過払い金請求を司法書士に相談・依頼するデメリットは、以下のとおりです。
3-1. 取り扱える金額に上限がある| 1社当たり140万円以下の場合のみ
司法書士は、1社あたりの過払い金元金が140万円を超える案件には対応できません。依頼後に過払い金がこの上限を超過していると判明した場合、司法書士は辞任せざるを得なくなります。その場合、依頼者は改めて弁護士に依頼し直すか、自分で対応をしなければなりません。
3-2. 控訴された場合は対応してもらえない
司法書士の代理権は簡易裁判所での訴訟手続に限定されています。訴訟で解決を目指す際に貸金業者側が判決を不服として控訴した場合、司法書士はその後の手続きに対応できません。控訴審は地方裁判所で行われるため、この時点で弁護士に依頼し直すか、自分で対応する必要があります。
4. 過払い金請求は司法書士と弁護士、どちらに依頼するのがおすすめ?
過払い金請求を弁護士と司法書士のどちらに依頼するか、迷う方も多いでしょう。ここでは、依頼先を決めるポイントを解説します。
4-1. 過払い金請求を司法書士に依頼してもいいケース
1社あたりの請求額(元金)が140万円以下であることが確実であり、かつ、費用をできる限り抑えたいと考える場合は、司法書士への依頼を検討してもいいでしょう。
ただし、司法書士であっても、報酬が弁護士と同等かそれ以上の事務所も散見されますので、依頼する際は報酬体系を確認する必要があります。
4-2. 過払い金請求を弁護士に依頼した方がよいケース
過払い金の金額が140万円を超過する可能性がある場合、長期間の借り入れがあり、途中に何度も完済しているケースのように案件が複雑で法的判断が必要な場合、または貸金業者の姿勢が強硬で訴訟や控訴に発展するリスクが高い場合は、対応範囲に制限がない弁護士に依頼することが望ましいです。
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5. 過払い金請求にかかる費用の相場と支払いのタイミング
過払い金請求を専門家に依頼する場合の費用の相場や、費用ごとに支払いをするタイミングについて解説します。
なお、費用は事務所ごとに独自に設定しているため、依頼する際はその事務所の報酬体系を確認する必要があります。
5-1. 司法書士費用・弁護士費用
専門家に過払い金請求を依頼する場合、主に「相談料」「着手金・基本報酬」「成功報酬」「実費」が発生します。
【相談料】
30分あたり5,000円程度が相場ですが、過払い金請求の相談については、相談料を無料としている事務所も多いです。
【着手金】
依頼時に発生する費用で、1社あたり1万円から2万円程度が相場ですが、これも無料の事務所があります。
【成功報酬】
成功報酬は、貸金業者から過払い金を実際に回収したときに発生する報酬です。成功報酬の上限は、和解で解決した場合は回収額の20%、裁判で解決した場合は25%と、日本司法書士会連合会および日本弁護士連合会によって定められています。費用の精算は、過払い金が返還されてから行われます。
5-2. 裁判費用
貸金業者との交渉が不調に終わり、訴訟を提起する場合は、報酬とは別に裁判手続きのための実費が発生します。
主な実費には、裁判所に納める手数料である収入印紙代(請求額に応じて変動します)、訴状の郵送などに使われる郵券代(予納郵券)、および貸金業者の資格証明書取得費用(1通600円程度)があります。
事務所によっては、これらに加えて訴訟手数料や出廷日当が追加で請求される場合もあるため、事前に費用総額について明確に確認しておきましょう。
6. 過払い金請求を依頼する専門家事務所の選び方
具体的に専門家を探す際は、以下の事項を確認しつつ、自分の状況に合った事務所を見つけてください。
6-1. 司法書士が対応できるかどうかを確認する
司法書士に依頼する場合、1社あたりの過払い金元金が140万円を超えないかを事前に確認することが必要です。取引期間や返済金額等で大まかな試算は可能なので、司法書士事務所に問い合わせたうえで、対応の可否を確かめるとよいでしょう。
6-2. 過払い金請求の実績が豊富な事務所を選ぶ
弁護士、司法書士でも、全ての事務所が過払い金請求の対応をしているわけではありません。過払い金請求の実績が豊富な事務所は、過去の経験を基に、適切に事案を処理することが期待できます。
ウェブサイトなどで「〇〇件以上の請求実績」といった具体的な数字や、消費者金融ごとの対応ノウハウの記載があれば、実績を推測する材料となります。無料相談などの機会を使い、説明が実績に基づいているかを確認しましょう。
6-3. 相性のよい司法書士や弁護士を選ぶ
過払い金請求の手続きは数カ月間にわたるため、担当者との相性は非常に大切です。相性がよく、ストレスなく相談できる専門家を選ぶべきです。無料相談を利用する際に、担当者の説明の丁寧さや、信頼できる人柄であるかを確認しましょう。
6-4. 料金体系が明確な事務所を選ぶ
依頼の時点で費用が不明確な事務所は、後々になって追加費用などを巡るトラブルが生じやすいです。依頼前に、着手金、報酬金、実費、その他の追加費用など、すべての費用体系と支払いのタイミングを明確にしておきましょう。費用に関する疑問点にも丁寧に回答してくれることが必須です。
6-5. 複数の事務所を比較する
1つの事務所だけでなく、複数の事務所に相談して比較検討することで、それぞれの事務所の得意分野や特徴、費用の相場感が把握できます。こうすることで、最終的に最も納得のいく事務所に依頼することができます。
7. 過払い金請求を依頼する専門家事務所の探し方
専門家事務所を探す方法には、インターネットでの検索(例:「地域名×過払い金×弁護士、司法書士」)や、複数の事務所の無料相談を利用して訪問比較する、といった方法があります。
ただし、インターネットで検索する場合、表示される専門家が多すぎて結局依頼先を絞れないケースも多いです。そのような場合、「債務整理のとびら」のような専門家の情報がまとまったポータルサイトを活用して探すことも有効な手段です。
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8. 過払い金請求を司法書士に依頼する場合に、注意すべきトラブル
司法書士に過払い金の依頼をしたことを後悔しないためにも、発生する可能性のあるトラブルを把握しておきましょう。
8-1. 依頼してみたら過払い金が140万円を超えており、着手金が返ってこない
司法書士に依頼した後、過払い金が1社あたり140万円の上限を超過していることが判明した場合、司法書士は活動を続けることができず、辞任することになります。この場合、すでに支払った着手金が返還されないというトラブルが起こることがあります。
依頼する前に事務所に過払い金の見込み額を計算してもらい、上限を超えないか、仮に過払い金の金額が140万円を超えた場合はどうなるのかを確認しておくことが重要です。
8-2. さまざまな名目で追加費用を請求される
当初の説明になかった追加費用を、さまざまな名目(例:通信費、事務手数料、訴訟手数料、日当交通費)で請求されるケースがあります。相場よりも費用が極端に安い事務所では、上記のような追加費用が発生しがちです。
費用については、依頼前に漏れがないか、すべての項目について詳細に確認し、不明点を解消しておきましょう。
8-3. 司法書士を名乗る無資格者に依頼してしまい、着手金をだまし取られる
資格を持たない者が司法書士と偽って過払い金請求の依頼を受け、着手金を詐取する悪質なケースも存在します。依頼する前に、その専門家が正規に登録された司法書士であるかを、日本司法書士会連合会のホームページにあるデータベースを利用して検索し、確認するとよいでしょう。
9. 過払い金と司法書士に関する Q&A
Q. 司法書士事務所のおすすめランキングは信頼できる?
インターネット上で公開されている司法書士事務所の「おすすめランキング」は、サイト管理者の恣意的な判断や、広告収入を目的に作成されているケースが多いため、必ずしもランキング上位の事務所が優れているとは限りません。
ランキングに頼るのではなく、自分で複数の事務所に相談に行き、担当者と直接会って判断することが重要です。
Q. 費用が安い司法書士に頼んでも大丈夫?
費用が安い事務所は魅力的ですが、安さのみで依頼先を決定すべきではありません。費用が安いことには理由があり、実績やノウハウが不足していたり、依頼後に隠された追加費用が発生したりするといったリスクもあります。
費用面だけでなく、事務所の過去の実績、対応の丁寧さ、料金体系の透明性などを総合的に評価し、依頼するかどうかを判断すべきです。
Q. 過払い金が140万円を超える場合でも司法書士に依頼できる?
貸金業者1社あたりで過払い金の元金が140万円を超過している場合は、司法書士に依頼することはできません。ただし、総額で140万円を超えていても、個々の貸金業者に対する請求額が全て140万円以下であれば、司法書士に依頼することは可能です。
Q. 司法書士に依頼した後、途中で弁護士に切り替えることはできる?弁護士への切り替え方法は?
手続きの途中で、司法書士から弁護士へ依頼を切り替えることは可能です。しかし、その場合、司法書士に支払った着手金などの初期費用は原則として返還されないため、費用が二重にかかってしまうリスクがあります。
基本的に自分で新たに弁護士を探して依頼をする必要がありますが、司法書士から紹介を受けられることもあります。
Q. 司法書士に依頼すると、過払い金が戻るまでどのくらいかかる?
過払い金が手元に戻るまでの期間は、解決方法によって異なります。貸金業者との任意交渉で和解する場合は3カ月から6カ月程度、裁判(訴訟)で解決する場合は5カ月から1年程度が一般的な目安となります。
Q. 過払い金で司法書士に依頼後、確認すべき追加費用の明細にはどんなものがある?
報酬金や着手金以外に確認すべき追加費用には、郵送費や交通費、収入印紙代、裁判の手数料といった実費、および事務所によっては設定されている事務手数料や振込代行手数料、訴訟手数料、出廷日当などがあります。これらの費用が別途請求されるのか、報酬金に含まれているのかを事前に確認することが大切です。
10. まとめ 状況に合わせて依頼する専門家を選択する
司法書士に依頼する場合、弁護士にはないデメリットが存在しますが、過払い金請求に強い司法書士に依頼することで、問題を適切に解決できるケースも存在します。リスクやデメリットに注意しつつも、「過払い金請求の実績が豊富か」「費用体系は明確か」「自分との相性はよいか」というポイントをクリアするのであれば、依頼先はどちらでも構わないと考えられます。
過払い金は、取引終了後から10年が経過すると、時効によって請求できなくなってしまいます。事務所選びで迷ってしまい、時効がきてしまったということでは本末転倒です。まずは、複数の事務所を比較し、早期に無料相談を利用して依頼する事務所を探してみましょう。
(記事は2025年12月1日時点の情報に基づいています)
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