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1. 過払い金とは?
「過払い金」とは、借金をした際に利息制限法の上限を超えて払い過ぎた利息を指します。2010年6月17日以前には利息制限法の上限金利を超え、出資法の上限金利には満たない「グレーゾーン金利」が存在しており、その影響で多額の過払い金が生じました。
2010年6月18日に施行された改正法によってグレーゾーン金利は撤廃されたものの、現在でも多額の過払い金請求が行われています。
2. 過払い金請求にかかる費用はいくらくらい?
専門家に過払い金請求を依頼する場合、弁護士費用や司法書士費用がかかります。裁判を起こす場合には、裁判所に納める費用も発生します。
これらの費用は請求額によって変わります。たとえば、借り入れ先1社に対して完済後に過払い金を交渉で請求し、100万円の過払い金を回収した場合の費用の目安は、以下のとおりです(以下、金額はすべて税別)。なお、裁判を起こして同じ条件で解決した場合は、下記に加えて、裁判所に支払う手数料や郵送代などの実費として2万円程度がかかります。
項目 | 弁護士に依頼した場合 | 司法書士に依頼した場合 | |
---|---|---|---|
着手金 | 2万~5万円 | 2万~5万円 | |
成功報酬 | 解決報酬金 | 2万円 | |
過払金報酬金 | 20万円 | 20万円 | |
合計(目安) | 24万~27万円 | 22万~25万円 |
3. 過払い金請求にかかる弁護士費用と司法書士費用の内訳
過払い金請求にかかる弁護士費用と司法書士費用の内訳や目安となる相場を解説します。
なお、弁護士は日本弁護士連合会「債務整理事件処理の規律を定める規程」および同規則により、司法書士は日本司法書士連合会「債務整理事件における報酬に関する指針」により、債務整理に関する報酬の項目および上限がそれぞれ定められています。
その内容は、以下のとおりです。
項目 | 弁護士 | 司法書士 | ||
---|---|---|---|---|
着手金 | 上限なし | 1社5万円 (着手金や解決報酬金として) | ||
報酬金 | 解決報酬金 | 1社2万円 (商工ローンは5万円) | ||
過払金報酬金 | 交渉 | 20% | 20% | |
裁判 | 25% | 25% | ||
減額報酬金 | 10% | 10% |
3-1. 相談料
相談料は、依頼前に相談するための費用です。弁護士事務所では30分あたり5000円程度が相場ですが、無料相談を行っている事務所も多く存在します。
3-2. 着手金、基本報酬
着手金は、弁護士や司法書士に依頼をした時点で支払う費用です。弁護士に依頼する場合は、1社につき2万から3万円程度が相場です。なお、着手金を無料とする事務所も多くあります。
司法書士に依頼する場合は、解決報酬金を含む基本報酬が5万円以下で設定されており、案件の終了後に支払うのが一般的です。
3-3. 解決報酬金
解決報酬金は、過払い金が返還され手続きが終了した時点で発生する費用です。
弁護士に依頼する場合は、1社につき無料から2万円、商工ローンは上限5万円です。
司法書士に依頼する場合は、着手金を含む基本報酬として5万円以下で設定されているケースが多いです。
3-4. 過払金報酬金
過払金報酬金は、回収できた過払い金の額に応じて支払う報酬金です。弁護士や司法書士のいずれも、以下を上限として過払金報酬金を定めています。
交渉の場合:回収額の20%
裁判の場合:回収額の25%
3-5. 減額報酬金
減額報酬金とは、引き直し計算(過払い金額の計算)を行った結果、借金を減額できた場合に支払う報酬です。弁護士や司法書士のいずれも、減額できた額の10%を上限とした減額報酬金が発生するかたちが一般的です。
3-6. 実費その他の費用
弁護士や司法書士に依頼する際、報酬とは別に実費や日当がかかる場合があります。具体的には、以下のような費用が該当します。
郵便切手代:書類の送付にかかる費用
通信費や事務手数料:電話や書類作成などにかかる費用
訴訟費用:裁判を起こす場合に裁判所に納める費用(収入印紙や郵便切手代など)
交通費:裁判所への移動にかかる費用
日当:遠方での対応が必要な場合の出張費用
実費の負担額は、依頼する事務所や案件の内容によって異なるため、事前に確認すると安心です。
4. 過払い金請求の裁判費用の内訳
裁判で過払い金請求を行う場合、弁護士や司法書士への報酬とは別に、裁判所に納める手数料や書類取得費用が発生します。主な内訳は以下のとおりです。
4-1. 印紙代(手数料)
過払い金返還請求訴訟を提起する際には、請求額に応じた収入印紙を手数料として訴状に貼付して裁判所に納める必要があります。
訴額など | 訴えの提起の 手数料(収入印紙代) |
---|---|
10万円まで | 1000円 |
20万円まで | 2000円 |
30万円まで | 3000円 |
40万円まで | 4000円 |
50万円まで | 5000円 |
60万円まで | 6000円 |
70万円まで | 7000円 |
80万円まで | 8000円 |
90万円まで | 9000円 |
100万円まで | 1万円 |
120万円まで | 1万1000円 |
140万円まで | 1万2000円 |
160万円まで | 1万3000円 |
180万円まで | 1万4000円 |
200万円まで | 1万5000円 |
220万円まで | 1万6000円 |
240万円まで | 1万7000円 |
260万円まで | 1万8000円 |
280万円まで | 1万9000円 |
300万円まで | 2万円 |
以降、請求額が500万円までの部分は20万円ごとに1000円、請求額が500万円から1000万円までの部分は50万円ごとに2000円が加算されます。
また、控訴審の手数料は、第一審の1.5倍となります。
4-2. 予納郵券
裁判所が訴状や判決などの送達を行う際に必要な郵便切手、ないし郵便切手代金を予納する必要があります。内訳や金額は裁判所によって異なりますが、6000円前後が目安です。
4-3. 公的書類の取得費用
裁判所に提出する公的書類の取得費用が発生します。たとえば、借り入れ先の代表者事項証明書などを取得する場合は、1通あたり600円が必要です。


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5. 過払い金請求における弁護士や司法書士の成功報酬の相場
過払い金返還請求における弁護士や司法書士の成功報酬には、解決報酬金、過払金報酬金、減額報酬金の3種類があります。
借金を完済したあとに過払い金を請求した場合は、解決報酬金と過払金報酬金が発生するのが一般的です。解決報酬金は2万円程度、還付を受けた過払い金の額の15〜20%が相場です。なお、裁判の場合はこれに5%上乗せされるケースが多いです。
還付を受けた 過払い金の額 | 解決報酬金+過払金報酬金の目安 |
---|---|
10万円 | 3万5000円~4万円 |
30万円 | 6万5000円~8万円 |
50万円 | 9万5000円~12万円 |
100万円 | 17万円~22万円 |
150万円 | 24万5000円~32万円 |
200万円 | 32万円~42万円 |
250万円 | 39万5000円~52万円 |
300万円 | 47万円~62万円 |
債務を返済中に過払い金が発生していることが発覚し、条件が一致した約定(やくじょう)による借金の減額と過払い金の返還を受けた場合には、上記に加え、減額報酬金が発生します。
減額できた金額 | 減額報酬金の目安 |
---|---|
10万円 | 1万円 |
30万円 | 3万円 |
50万円 | 5万円 |
100万円 | 10万円 |
150万円 | 15万円 |
200万円 | 20万円 |
250万円 | 25万円 |
300万円 | 30万円 |
6. 過払い金請求の費用を支払うタイミングは?
弁護士費用や司法書士費用を支払うタイミングは、依頼先によって異なります。
着手金は依頼時、報酬金は案件の終了時に支払うのが一般的ですが、着手金を無料とする事務所や分割払いに応じている事務所もあります。依頼前に費用の支払い時期を確認することをお勧めします。
裁判費用は、訴訟を提起する際に裁判所に納めます。なお、郵便切手などは、追加納付が求められることもあります。
7. 過払い金請求に関する弁護士と司法書士の違い
過払い金請求を依頼する際、弁護士と司法書士のどちらにも依頼することができます。どちらを選ぶかの参考基準として、両者の業務範囲や費用の違いについて解説します。
7-1. 弁護士と司法書士では業務範囲が異なる
弁護士は、過払い金請求事件の全般を取り扱えます。
一方、司法書士は1社あたり140万円以下の事案に限られており、訴訟代理は簡易裁判所でしか認められていません。
弁護士 | 司法書士(※) | |
---|---|---|
対応できる業務 | 制限なし | 1社あたり元金140万円以下の 交渉代理や訴訟代理 |
訴訟代理できる 裁判所 | 制限なし | 簡易裁判所のみ |
7-2. 弁護士と司法書士、費用はどちらが安い?
どちらが安いかは一概には言えません。
ただし、過払い金請求については、日本弁護士連合会と日本司法書士連合会の規程などにより、報酬の上限が設けられているため、基本的には弁護士と司法書士の費用に大きな差はないと考えられます。
8. 過払い金請求の費用を抑えるためのポイント
以下のような工夫をすることで、過払い金請求を行う際にかかる費用を抑えることができます。
相談料や着手金が無料の事務所を選ぶ
複数の事務所を比較して依頼先を選ぶ
法テラスを利用する
相談を1回で済ませるためにメモをつくる
8-1. 相談料や着手金が無料の事務所を選ぶ
近年、相談料や着手金を無料としている事務所も多く存在します。特に、相談時に費用が発生しない事務所であれば、複数の事務所に話を聞いて比較検討しやすくなります。着手金が無料の場合は、過払金回収後に清算を行える場合が多いため、初期費用を抑えながら手続きを進められるでしょう。
ただし、着手金が有料でも、その分、成功報酬が低めに設定されている場合もあります。費用の内訳や支払い条件を契約前にしっかり確認し、総額の見通しを立てたうえで、自分に合った事務所を選ぶことが大切です。
8-2. 複数の事務所を比較して依頼先を選ぶ
弁護士や司法書士に支払う費用は事務所ごとに異なるため、複数の事務所の費用体系や金額を比較することが重要です。
8-3. 法テラスを利用する
経済的に厳しい場合は、「日本司法支援センター 法テラス」を利用することで、弁護士費用の立替払いや分割払いが可能になることがあります。法テラスの公式ホームページなどで利用条件を満たすかどうかを確認し、適用できる場合は活用を検討するとよいでしょう。
8-4. 相談を1回で済ませるためにメモをつくる
一般的に無料相談には時間制限があり、有料相談では30分あたり5000円程度の相談料が発生します。
限られた時間のなかで効率的にアドバイスを受けるために、事前に相談内容や質問事項を整理し、要点をまとめたメモを持参するのが望ましいと言えます。
9. 過払い金請求でよくある無料相談や無料診断とは?
過払い金請求を検討する際、「無料相談」や「無料診断」といったサービスを提供している法律事務所や司法書士事務所が多くあります。
9-1. 無料相談
法律事務所や司法書士事務所が提供する無料相談では、過払い金請求の手続きや見通しについて、弁護士や認定司法書士が直接説明してくれます。
一般的に相談時間には制限があり、30分から1時間程度が目安となります。
9-2. 無料診断
無料診断とは、過去の借り入れ履歴や返済状況をもとに、過払い金の発生有無や概算金額を簡易的に調べてもらえるサービスです。全国対応の無料相談窓口を設け、電話やオンラインでの相談を受け付けているところも多くあります。Web診断サービスを提供し、24時間いつでも概算金額を確認できる仕組みを整えている場合もあります。
ただし、無料診断はあくまで概算であり、正確な金額は、弁護士や司法書士への依頼後、取引履歴を取り寄せたうえで詳細な計算を行う必要があります。
10. 過払い金請求を依頼する専門家を選ぶ際のポイント
過払い金請求を依頼する専門家を選ぶ際には、重要なポイントが主に5つあります。
実績が豊富か
見積もりが明確か
レスポンスが早いか
親身に相談に乗ってくれるか
手続き全般を任せられるか
10-1. 実績が豊富か
過払い金請求の成功事例や経験が豊富な弁護士や司法書士を選ぶことで、手続きがスムーズに進みやすくなります。
10-2. 見積もりが明確か
料金体系が明確かどうかを確認することも重要です。過払い金請求にかかる費用や報酬が事前にしっかり説明され、見積もりが明確な事務所を選びましょう。
10-3. レスポンスが早いか
初回相談からのレスポンスの速さや、問い合わせに対する返答が早いかどうかをチェックしましょう。レスポンスが早い専門家は、全体的な手続きもスムーズに進めてくれる可能性が高いです。
10-4. 親身に相談に乗ってくれるか
どれだけ親身になって相談に乗ってくれるかもチェックします。あなたの状況をしっかり理解し、納得できる説明をしてくれる弁護士や司法書士を選びましょう。
10-5. 手続き全般を任せられるか
借金額が1社あたり140万円を超える場合や裁判での解決をめざす場合は、弁護士に相談することをお勧めします。
過払い金回収による借金の清算の見込みがはっきりせず、自己破産や個人再生を視野に入れている場合も同様です。司法書士では対応できない訴訟手続きや複雑な法的対応を必要とするケースでは、弁護士が適任です。


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11. 過払い金請求を弁護士や司法書士に依頼するメリット
自力で過払い金請求を行うのは非常に手間がかかり、成功する可能性も低くなります。過払い金請求の初歩として、まず貸金業者に対して取引履歴の開示請求を行い、その後、開示された履歴をもとに過払い金額の計算を行わなければなりません。
しかし、この過程には多くの課題が存在します。
まず、貸金業者が取引履歴の開示に応じなかったり、開示された履歴が不完全であったりする場合があります。こうした不完全なデータをもとに過払い金額の計算を行うことは、本来請求できる金額を下回る結果を招くリスクを抱えています。
また、過払い金額の計算には高度な専門知識が求められ、計算ミスが生じれば、適正な金額を請求することができなくなります。さらに、過払い金の返還に消極的な態度をとる貸金業者も少なくなく、交渉の段階で過払い金を返還しない「ゼロ和解」を持ちかけられるケースもあります。
弁護士や司法書士を通じて適正な取引履歴の開示を求め、正確な過払い金額の計算を行い、粘り強く交渉をすることで、過払い金を最大限回収できる可能性が高まります。手続きにかかる時間や手間だけでなく、交渉による精神的負担も軽減できます。
依頼には費用がかかりますが、弁護士や司法書士の報酬には上限が設けられているため、過度に心配する必要はないでしょう。
まずは無料相談を利用し、過払い金請求の可能性や費用について確認してみましょう。専門家に相談することで、最適な対応方法を選べるとともに、安心して手続きを進めることができます。
12. 過払い金請求の費用に関してよくある質問
Q. 過払い金請求は、なぜ無料相談や無料診断を受け付けているの?
過払い金が発生していれば回収できる可能性が高く、その回収額に応じて弁護士費用や司法書士費用が支払われる見通しが立つからです。
Q. 過払い金請求は、面談なしでも依頼できる?
原則として直接面談が必要です。
弁護士や司法書士が過払い金請求を含む債務整理事件を受任する際、依頼者と直接面談をする必要があります。これは、日本弁護士連合会の「債務整理事件処理の規律を定める規程」および日本司法書士連合会の「債務整理事件における報酬に関する指針」により義務づけられています。
依頼者が離島に住んでいるなど、直接面談ができない特段の事情がある場合には、オンライン面談や電話などの代替手段で対応してもらえるケースもあります。ただし、その場合でも面談義務が免除されるわけではなく、特段の事情がやんだあとには速やかに面談をしなければなりません。
Q. 過払い金は本当に戻ってくる? 和解後、何日で入金される?
和解が成立すれば、基本的にはその内容のとおりに支払われます。いつ支払われるかはケースバイケースですが、和解後の数週間から1カ月以内に入金されることが一般的です。
ただし、借り入れ先の資金状況や社内決裁のフローによっては、支払日がさらに延びる場合もあります。
13. まとめ 費用を抑えるには複数の事務所を比較することが重要
過払い金請求には、弁護士や司法書士への報酬のほか、裁判を起こす場合の裁判費用などがかかります。弁護士と司法書士では対応できる業務範囲に違いがあり、1社あたり140万円を超える案件は弁護士に依頼する必要があります。
弁護士と司法書士では費用面に大きな差はないものの、着手金無料の事務所や成功報酬の設定など、依頼先によって異なるため、事前に確認することが大切です。
費用を抑えるためには、無料相談を活用し、複数の事務所を比較することが重要です。過払い金請求をスムーズに進めるためにも、本サイト「債務整理のとびら」などを活用して、信頼できる専門家に相談し、納得のいくかたちで手続きを進めましょう。
(記事は2025年4月1日時点の情報に基づいています)


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