自己破産と携帯契約の関係 解約される? 新規契約できるかも解説

更新日: / 公開日:
携帯電話の未払いがある状態で自己破産すると携帯契約が強制的に解除されるため、注意が必要です(c)Getty Images
スマートフォンなどの携帯電話について、利用料金や端末代金の未払いがある状態で自己破産を申し立てると、携帯会社から契約を解除されるおそれがあります。 携帯契約の解除を避けたいなら、あらかじめ対策を講じておくことが大切です。たとえば、未払いになっている通信料や端末代金を支払って滞納を解消することが考えられます。ただし、自己破産の手続き前に、特定の会社に滞納分を支払うと、自己破産手続きの際に問題になることがあるため、まずは弁護士に相談して適切な対応をとりましょう。 自己破産をした場合の携帯契約の取り扱い、自己破産後の乗り換えや再契約の方法について、弁護士がわかりやすく解説します。

目 次

1. 自己破産すると携帯契約はどうなる?

2. 自己破産で携帯電話が使えなくなるケース

2-1. 携帯電話端末の分割払い代金が残っている

2-2. 未払いの携帯利用料金がある

2-3. キャリア決済の未払い料金がある

3. 自己破産後も携帯電話を使いたいときにやるべきこと

3-1. 家族に払ってもらうなどして、携帯料金の滞納を解消する

3-2. 携帯料金がクレジットカード払いになっているときは、支払方法を変更する

4. 自己破産後に携帯電話の新規契約や乗り換えはできる?

4-1. 原則として、携帯電話の新規契約や乗り換えは可能

4-2. 強制解約となった携帯会社とは契約できない

4-3. 滞納中の料金がある場合は契約できないことがある

4-4. 端末の分割払い購入はできない(7年間程度)

4-5. 預託金の納付を求められることがある

5. 自己破産後に携帯契約を断られた場合の対処法

5-1. 携帯料金の滞納を解消する

5-2. 別の携帯会社に申し込む

6. 自己破産による携帯電話への影響が心配なら、任意整理も選択肢

7. 携帯契約を継続しながら自己破産をしたいなら、弁護士に相談を

8. 自己破産と携帯契約に関してよくある質問

9. まとめ 自己破産をしても未払いの料金がなければ携帯契約は解除されない
今すぐ電話できる!無料相談OK事務所も!

朝日新聞社運営「債務整理のとびら」で

債務整理に強い弁護士・司法書士を探す

朝日新聞社運営 「債務整理のとびら」

債務整理に強い
弁護士・司法書士を探す

1. 自己破産すると携帯契約はどうなる?

自己破産とは、裁判所を通じて借金などの債務(お金を支払う義務)を免責してもらう手続きです。高価な財産などが処分される代わりに、借金やクレジットカード料金、携帯料金などの支払いが免除されてゼロになります。

自己破産をした際に、使用中の携帯電話の契約(携帯契約)がどうなるかは状況によって異なります。料金の滞納がなければそのまま利用できますが、滞納している場合には携帯契約が解除されることもあります

事前に弁護士と相談し、携帯契約への影響を考慮して、自己破産を選択すべきか否かを検討しましょう。

2. 自己破産で携帯電話が使えなくなるケース

自己破産によって携帯電話が使えなくなるケースとしては、主に以下の3つが挙げられます。

自己破産で携帯電話が使えなくなるケース。携帯料金や端末代金、キャリア決済の未払いがある場合は携帯電話が使えなくなる
自己破産で携帯電話が使えなくなるケース。携帯料金や端末代金、キャリア決済の未払いがある場合は携帯電話が使えなくなる

2-1. 携帯電話端末の分割払い代金が残っている


スマートフォンなどの端末を分割払いで購入し、その代金が残っている状態で自己破産を申し立てると、携帯会社との契約が強制的に解約されることがあります

また、端末自体が回収されるかどうかは、購入時の契約内容によります。多くの場合、購入時に端末の所有権が利用者に移っているため、端末自体が回収される可能性は低いと考えられます。

ただし、契約が解除されると電話回線やキャリアメールなどは使用できません。一方で、Wi-Fiやアプリなどは引き続き利用可能です。

2-2. 未払いの携帯利用料金がある


携帯電話の利用料金を未払いの状態で自己破産を申し立てると、回線契約が強制的に解約されます

この場合も、電話回線やキャリアメールなどは使えなくなりますが、Wi-Fiやアプリなどは引き続き利用できます。

2-3. キャリア決済の未払い料金がある


キャリア決済とは、通信料と一緒にアプリ課金やネットショッピング代金などを支払う方法です。キャリア決済に未払いがある状態で自己破産を申し立てると、携帯料金の滞納と同様に、回線契約が強制解約される可能性が高いです。

この場合も電話回線やキャリアメールは使用不可になりますが、Wi-Fiやアプリは利用できます。

3. 自己破産後も携帯電話を使いたいときにやるべきこと

自己破産後も今持っている携帯電話を使い続けたいときは、以下の対応が必要になります。

3-1. 家族に払ってもらうなどして、携帯料金の滞納を解消する


携帯料金の滞納がある場合は、自己破産を申し立てる前に滞納を解消する必要があります。ただし、借金などの継続的な支払いが困難な「支払不能」の状態に陥り、自己破産を選択せざるを得ないほどの経済状況にあるなかで携帯料金だけを支払うと、自己破産の手続きで問題となるリスクが生じます。

自己破産では原則として、債権者(お金の支払いを受ける側)は平等に扱われます。自己破産前に携帯会社にだけ料金を支払う「偏頗弁済(へんぱべんさい)」は不平等とされ、支払いが無効にされたり、自己破産が認められなかったりする可能性があります

こうしたリスクを避けるには、家族など自分以外の人に滞納料金を支払ってもらうことが考えられます。

3-2. 携帯料金がクレジットカード払いになっているときは、支払方法を変更する


自己破産を申し立てると、クレジットカードは強制的に解約され、利用できなくなります。これは、個人信用情報機関に事故情報が登録されるためです。いわゆる「ブラックリスト入り」または「金融ブラック」と呼ばれる状態です。また、クレジットカード会社の規約では、解約理由として債務整理が定められていることがあります。

携帯料金の支払い方法をクレジットカードにしていると、引き落としができずに滞納状態となり、携帯会社から契約を解約されるおそれがあります。自己破産の申立前に、支払い方法を銀行振込などに変更しておきましょう。

4. 自己破産後に携帯電話の新規契約や乗り換えはできる?

自己破産後に携帯電話の新規契約や乗り換えをすることは原則として可能ですが、いくつか注意すべきポイントがあります。

4-1. 原則として、携帯電話の新規契約や乗り換えは可能


自己破産をすると、個人信用情報機関に事故情報が登録されます。ローン(借り入れ)の利用や、クレジットカードの新規発行をする際は、銀行・消費者金融・カード会社などが個人信用情報機関のデータベースを参照するため、審査に通りにくくなります。

しかし、携帯会社は個人信用情報機関に加盟しておらず、自己破産に関する事故情報を確認できません。そのため、自己破産後でも、原則として携帯電話の新規契約や乗り換えは可能です。

4-2. 強制解約となった携帯会社とは契約できない


自己破産前に携帯料金の滞納などで契約を強制解除された場合、その携帯会社とは再契約が難しいと考えられます。携帯料金を回収できなくなったことで、携帯会社に不良顧客と認識されているためです。このような状態は俗に「社内ブラック」と呼ばれています。

自己破産後に携帯電話を契約する際は、過去に料金を滞納した携帯会社を避け、別の携帯会社を選びましょう。

4-3. 滞納中の料金がある場合は契約できないことがある


現在、携帯料金を滞納中の場合は、他の携帯会社との契約も断られることがあります。

携帯料金を滞納しているという情報は、一般社団法人電気通信事業者協会(TCA)に「不払者情報」として登録されます。各携帯会社は、新規の契約申込みの際に不払者情報を確認しているため、携帯料金の滞納があると契約を断られる可能性があります。

4-4. 端末の分割払い購入はできない(7年間程度)


自己破産後でも携帯電話の契約自体は可能ですが、端末を分割払いで購入できなくなります。

端末の分割払いによる購入は「個別クレジット」に当たり、事前に個人信用情報機関のデータベースの確認が行われます。自己破産の事故情報が登録されていると、審査に落ちてしまいます。

破産手続開始の決定から7年間程度が経過して事故情報が消えるまでは、携帯電話端末を分割払いで購入できません。一括払いでの購入が必要になります

4-5. 預託金の納付を求められることがある


以下のような場合には、携帯会社と契約する際に預託金の納付を求められることがあります。

・一定期間内に複数契約を申し込む場合
・他社も含めて、携帯料金の未払いがある場合

主要携帯キャリアのNTTドコモauソフトバンクでは、いずれも1契約当たり10万円以内の預託金を預かることがある旨を案内しています。

自己破産の相談ができる
弁護士・司法書士をお探しなら

朝日新聞社運営「債務整理のとびら」

初回無料
相談あり

借金・債務整理が得意な
弁護士・司法書士

エリアで
探せる
初回無料相談あり
借金・債務整理が得意な弁護士・司法書士
エリアで探せる

5. 自己破産後に携帯契約を断られた場合の対処法

自己破産後に携帯会社から契約を断られてしまったときは、以下の方法で対処しましょう。

5-1. 携帯料金の滞納を解消する


他社も含めて携帯料金を滞納している場合は、新たに契約を申し込んでも断られる可能性が高いです。自分で支払うことが難しい場合は、家族の援助を受けるなどして、携帯料金の滞納を解消してから契約を申し込みましょう。

5-2. 別の携帯会社に申し込む


過去に料金を滞納したことがある携帯会社からは、契約を断られる可能性が高いです。過去の滞納を理由に契約を断られたら、別の携帯会社に申し込んでみましょう。

ただし、現在携帯料金を滞納している場合は、別の携帯会社に申し込んでも契約を断られる可能性があるため、まずは携帯料金の滞納を解消することが先決です。

なお、自己破産で支払い義務が免除された場合、TCAの不払者情報も削除されます。社内ブラックになっていない携帯会社であれば、契約できることがあります

6. 自己破産による携帯電話への影響が心配なら、任意整理も選択肢

携帯料金が未払いのまま自己破産を申し立てると、現在利用中の携帯電話は解約されてしまいます。強制解約を避けたい場合は「任意整理」を検討しましょう。

任意整理は、貸金業者などの債権者(お金を請求する権利がある人)と交渉して、借金などの債務(お金を支払う義務)の負担を軽減してもらう手続きです。債権者の同意が得られれば、利息や遅延損害金のカット、支払いスケジュールの変更などが認められます。

任意整理の仕組みを表した図。利息がカットされる可能性がある
任意整理の仕組みを表した図。利息がカットされる可能性がある

自己破産とは異なり、任意整理では対象とする債務を選べます。交渉する債権者から携帯会社を除外して、別の債務についてのみ任意整理を行えば、携帯電話の解約を避けられることがあります

ただし、任意整理では元本の減額が認められにくく、多額の債務がある場合には向いていません。任意整理が適切か、自己破産を選択すべきなのかを判断するには、弁護士への相談をお勧めします。

7. 携帯契約を継続しながら自己破産をしたいなら、弁護士に相談を

自己破産の手続き中でも携帯電話を使い続けたい場合は、弁護士に相談してアドバイスを受けましょう。自己破産の手続きやルールを踏まえたうえで、適切な対処法を教えてもらえます。

弁護士へ正式に依頼すれば、取り立て行為が止まり、ストレスが大幅に軽減されます。また、裁判所に提出する書類の作成や、破産手続き開始後の対応など手続き全般を代行してもらえるので安心です。自己破産の手続きをスムーズに進めるには、弁護士のサポートが大いに役立ちます。支払いが苦しくなった場合は、早い段階で弁護士へ相談するのが望ましいです。

8. 自己破産と携帯契約に関してよくある質問

Q. 自己破産をした後、何年経てば携帯契約ができる?


自己破産後でも、基本的にはすぐに携帯会社と契約できます。ただし、自己破産によって料金の支払いが免責された携帯会社には、契約を断られてしまう可能性が高いです。また、自己破産の手続き中で、携帯料金の滞納が残っている場合は、他社も含めて契約を断られることがあります。

なお、自己破産後は7年間程度、携帯電話端末を分割払いで購入できなくなります

Q. 自己破産をすると、ファミリー契約の携帯電話はどうなる?


ファミリー契約の携帯料金に未払いがあり、契約者本人が自己破産をする場合、家族分も含めて契約全体が解除されます。一方で、自己破産をしたのが契約者本人ではなくその家族である場合は、契約は解除されません。

Q. 自己破産をしても、PayPayやAU Payは使える?


後払い決済は利用できなくなりますが、前払い(チャージなど)での決済は引き続き利用できます。

Q. 自己破産をすると、インターネット契約はどうなる?


インターネットの利用料金が未払いとなっている場合は、契約が解除されます。未払い料金がなければ、引き続き利用できます。なお、自己破産後にインターネット回線の契約は可能ですが、過去に料金を滞納したことがある通信会社には契約を断られる可能性があります。

9. まとめ 自己破産をしても未払いの料金がなければ携帯契約は解除されない

自己破産によって携帯契約が解除されるかどうかは、携帯料金の滞納の有無によって決まります。料金を滞納していなければ契約は継続され、引き続き携帯電話を利用できます。一方、滞納があると契約を解除されてしまうため注意が必要です。

自己破産後も携帯電話を利用したい、あるいは解約を避けたいと考えている場合は、弁護士に相談しましょう。自己破産後も携帯電話を使い続けるための方法や、任意整理といった別の債務整理による解決方法などをアドバイスしてもらえます。借金や携帯料金などの債務を支払えなくなったら、早い段階で弁護士に相談しましょう。

(記事は2025年8月1日時点の情報に基づいています)

今すぐ電話できる!無料相談OK事務所も!

朝日新聞社運営「債務整理のとびら」で

債務整理に強い弁護士・司法書士を探す

朝日新聞社運営 「債務整理のとびら」

債務整理に強い
弁護士・司法書士を探す

この記事を書いた人

阿部由羅(弁護士)

阿部由羅(弁護士)

ゆら総合法律事務所 代表弁護士
西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。債務整理案件のほか、離婚・相続案件や、ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務などを得意とする。埼玉弁護士会所属。登録番号54491。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
阿部由羅(弁護士)の記事を読む

弁護士・司法書士を探す

※「債務整理のとびら 弁護士・司法書士検索サービス」への掲載を希望される場合は こちら をご確認下さい
朝日新聞社が運営する「債務整理のとびら」は、借金問題の解決をサポートするポータルサイトです
「借金に悩むあなたへ 未来をひらく選択を」をコンセプトに、借金問題で悩む人の心を少しでも軽くしたい。そんな思いで弁護士・司法書士など借金問題や債務整理に取り組む専門家が集まりました。
債務整理に関する正確な情報と借金問題の解決・債務整理に取り組む弁護士を検索できるサービスで「債務整理のとびら」はあなたをサポートします。
借金の悩みをずっと一人で抱え続ける必要はありません。肩の荷を下ろして、新しい未来に向けて一歩踏み出してみませんか。
朝日新聞社運営の債務整理のとびらで借金問題・債務整理に強い弁護士・司法書士を今すぐ検索