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1. 警備員でも自己破産できる?
「警備員は自己破産について一定の制限がある」と聞いたことがある人もいるかもしれません。しかし実際は、警備員でも他の人と同じように自己破産はできます。正しくは、「自己破産の手続きをしている間は警備員の仕事を続けられない」ということになります。
1-1. 自己破産中は警備員の仕事ができないのはなぜ?
自己破産の手続き中、警備員の仕事ができないのは、警備業法で「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」は警備員となることができないという規定があるからです(警備業法14条1項、3条1号)。
このルールは施設警備、雑踏・交通誘導警備、輸送警備など、警備業法の適用を受ける全ての警備業務が対象であり、具体的に対象となる警備業務には次のようなものがあります。
施設警備:事務所、住宅、駐車場などの施設で盗難や事故の発生を警戒して防止する業務
雑踏警備:人や車両が集まる場所での事故を警戒して防止する業務
運搬警備:現金、貴金属、美術品などの運搬中の盗難を警戒して防止する業務
身辺警備:個人への危害の発生を警戒して防止する業務
警備員であれば基本的にこのルールの対象となると考えてよいでしょう。
1-2. 警備員が自己破産をすると解雇されてしまう?
警備員の仕事ができなくなるからといって、必ず会社から解雇されるわけではありません。そもそも、会社は簡単に従業員を解雇することができません。警備員が自己破産をする場合であっても、例えば破産手続き中は警備員以外の事務職に配置転換してもらうなど、会社にとってもらえる対応方法はあります。
自己破産の手続きに合わせて会社に相談することが重要です。
1-3. 自己破産してから警備員に復職できるまでの時間はどれくらい?
自己破産すると、破産手続開始決定から免責許可決定が確定するまでの期間は警備員として働くことができません。この期間は、一般的に3カ月〜1年程度です。この長さは、破産手続きがどの種類になるかで変わります。
【同時廃止事件】
財産がほとんどなく、破産管財人がつかないケースです。手続きは比較的早く終わり、3〜4カ月程度で復権できます。
【管財事件】
破産管財人がつき、財産や債務の調査・換価などを行うケースです。そのため時間がかかり、4カ月〜1年程度が目安です。
2. 警備員が自己破産をしたら会社にバレる?
自己破産をしたからといって、そのことが会社に通知されることはありません。会社が自己破産について調べる方法も限られているので、バレるリスクは低いです。万が一バレるとしたら、次のようなケースがあります。
2-1. 官報
自己破産の事実は官報に掲載されます。理論上、会社が官報を日常的にチェックしていれば、そこから自己破産を知られる可能性はあります。しかし、実際には官報を毎日確認している企業は多くありません。そのため、官報がきっかけで会社にバレるリスクはかなり低いと考えてよいでしょう。
2-2. 勤務先からの借り入れ
勤務先からお金を借りていたり、勤務先を通じて金融機関から借り入れをしたりしている場合は注意が必要です。自己破産の手続きでは債権者(貸主)に通知が行くため、その際に勤務先へ自己破産が知られてしまう可能性が高いといえます。
逆にいえば、こうした借り入れがない限り、会社に自己破産が伝わる可能性は低いです。たとえ利用している金融機関と勤務先に取引関係があったとしても、それだけで自己破産の情報が共有されることは通常ありません。
3. 自己破産を隠して警備員を続けるリスク
自己破産することを隠して警備員を続けることには大きなリスクがあります。
3-1. 懲戒処分や解雇処分を受けるリスク
自己破産中は警備員の仕事につけません。したがって、自己破産を隠して働き続けると、警備員の資格に関わる事実についてうそをついて隠したということになります。このようなことをすれば、会社から懲戒処分を受けるリスクがあります。また、場合によっては自己破産を隠していたことを理由として、解雇処分を受ける可能性も否定できません。
いったん懲戒処分・解雇処分を受けると、仮にそのことを争おうとしても多大な労力がかかります。
3-2. 損害賠償請求を受けるリスク
自己破産中に警備員として働いていたことが発覚すると、会社は「警備業法に違反して従業員を配置していた」という評価を受け、監督官庁から営業停止などの処分を受ける可能性があります。
さらに、その事実がインターネットなどを通じて広まれば、会社の社会的評価が下がり、信用を失うリスクも生じます。こうした状況で会社に実際の損害が発生した場合、会社から損害賠償請求を受ける可能性もあります。
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4. 自己破産中の会社での働き方
自己破産の手続き中は、法律上、警備員として勤務することができません。これは会社との交渉で変えられるものではありません。
とはいえ、「警備員として働けないなら会社を辞めるしかないのか?」というと、必ずしもそうではありません。警備員以外の職種であれば同じ会社で働き続けることが可能です。たとえば、事務職・清掃・雑務など、一定期間だけ別の部署へ配置転換してもらう方法があります。
大切なのは、自己破産前に会社へ正直に事情を説明し、一定期間警備員の業務ができないことへの理解を得ることです。
また、会社は労働法上、従業員を簡単には解雇できません。自己破産が理由で一時的に警備員として働けないだけで、すぐに解雇される可能性は高くありません。逆に、「知られたら解雇されるかも」と不安になって黙って手続きを進めるほうがトラブルの原因になります。早めに相談し、会社と協力しながら対応することが重要です。
5. 警備員の仕事を続けながら債務整理をする方法
警備員の仕事を続けながらでも、個人再生や任意整理といった債務整理は利用できます。ただし、自己破産だけは手続き中に警備員として働けない点に注意が必要です。
【任意整理】
裁判所を使わずに債権者と交渉し、将来利息をカットして分割返済をする方法です。比較的負担が少なく、財産を手放す必要もありません。
【個人再生】
裁判所を通じて借金をおおむね5分の1(最大10分の1)にまで減額し、減額後の金額を分割返済する方法です。こちらも土地や車などの財産を手放さずに済む点がメリットです。
【自己破産】
価値のある財産を原則すべて換金し、その上で借金を全額免除してもらう手続きです。借金がゼロになる一方、財産を失い、手続き中は警備員として働けないというデメリットがあります。
自己破産が向いているのは、下記のケースです。
・手元に価値ある財産がほとんどない
・借金をまったく返済できない状況
一方で、手放せない土地や車がある場合、または警備員を続けたい事情がある場合は、任意整理や個人再生を選ぶほうが適しています。
6. 自己破産と警備員の仕事との関係について弁護士に相談するメリット
自己破産の手続きで代理人になれるのは弁護士だけです。そのため、自己破産や債務整理を検討する場合は、借金問題に詳しい弁護士へ相談することが重要です。
警備員が自己破産について弁護士に相談することで、次のようなメリットがあります。
自己破産が警備員の仕事にどのような影響を与えるのか、正確な情報を教えてもらえる
警備員を続けながら債務整理をする場合、どの手続きが最適か判断してもらえる
仕事を一時的に離れてでも自己破産をすべきかどうか、状況に応じて見極めてもらえる
債務整理が必要な場合には、自己破産を含めて手続きをすべて代行してくれる
自己破産を会社へどう伝えればよいか、具体的な相談方法をアドバイスしてくれる
破産を理由に不当な扱い(解雇など)を受けた場合、会社対応や労働問題についてもサポートしてもらえることがある
「警備員を続けながら自己破産以外の債務整理を選ぶべきか」それとも「仕事を辞めてでも自己破産を選ぶべきか」といった判断を専門家が助けてくれる点は、大きな安心材料になります。
借金を抱えたまま不安を抱えて過ごすのは大きな負担です。悩んでいる時間を減らすためにも、早めに弁護士へ相談し、解決に向けて一歩踏み出しましょう。
7. 自己破産と警備員の仕事に関するよくある質問
Q. 警備員は債務整理できる?
警備員でもそうでない人と同じように債務整理することはできます。ただし、自己破産の手続き中は警備員を一時的に続けられなくなるという制限があります。
Q. 自己破産したまま警備員を続けることはできる?それとも辞めたり転職したりしたほうがいい?
自己破産の手続きが終われば警備員をまた続けられます。必ずしも会社を辞めたほうがいいということはありません。
Q. 警備員以外にも、自己破産で制限される職はある?
弁護士、司法書士、行政書士、宅地建物取引士、生命保険募集人などは、警備員と同様に自己破産で制限される職種です。
Q. 自己破産中、アルバイトの警備員なら職に就くことはできる?
たとえアルバイトでも、警備業法の適用を受ける警備業務には就くことができません。
Q. 自己破産者が警備員になれないのはなぜ?
主に、警備員としての業務の中で他人の財産を預かったり保護したりすることがあるほか、他人の生命や身体を保護する重い責任を負っている職業であることが理由とされます。
8. まとめ 警備員でも自己破産は可能だが、事前準備や会社の理解が大切
警備員でも自己破産は可能ですが、手続き中は警備業法により警備員として働けません。ただし、事務職や清掃など他の業務に一時的に配置転換してもらえば、会社を辞めずに手続きを進めることもできます。
会社に知られるケースは限られていますが、隠して働き続けるほうが懲戒や損害賠償など大きなリスクにつながります。
借金の状況によっては個人再生や任意整理を選ぶことで、警備員を続けながら問題を解決することも可能です。迷った段階で弁護士に相談すれば、事情に合った最適な方法を判断してくれます。
(記事は2026年1月1日時点の情報に基づいています)
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