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1. 返済した借金は確定申告で経費に計上できる?
原則として借入金の元本(借り入れした金額)は経費になりませんが、利息のみ経費として認められるケースがあります。
1-1. 借金返済そのものは経費にならない
借金の元本部分は、「売り上げを得るための支出」とは認められません。そのため、返済した金額を確定申告で経費に計上することはできません。
たとえば、事業資金として100万円を借りて、毎月2万円ずつ返済している場合、この返済24万円(年間)は経費にできません。そもそも、借入金で支払った経費は、その支出自体が経費に含まれるため、借入元本まで計上すると二重に経費を申告することになります。
1-2. 経費として認められる借金も例外としてある
すべての借金が経費にならないわけではありません。例外的に「利息」については、必要経費として認められるケースがあります。
たとえば、100万円を事業資金として借り入れた場合、毎月の利息として1,000円(年間1万2,000円)を支払っているとすると、この利息分は「支払利息」として必要経費に計上できます。
また、住宅ローンを利用して購入した住居の一部を店舗や事務所として使用している場合には、「家事按分」により利息の一部を経費にすることも可能です。按分の割合は、床面積や使用時間の比率などから算出します。
たとえば、2階建て住宅の1階を完全に店舗として使用している場合、住宅ローンの利息のうち50%を経費として計上できる可能性があります。ただし、使用割合の根拠が不明確なまま100%を経費にすると、否認されるリスクがあるため注意が必要です。
2. 確定申告で利息が経費として認められるケース
借入金の返済について、確定申告で経費にできるのは「利息」の部分に限られます。元本の返済は経費にできません。ここでは、利息が経費として認められる具体的なケースを紹介します。
2-1. 事業のための借り入れにかかる利息
個人事業主が店舗の開業資金や備品購入のために借り入れを行った場合、その利息部分は「支払利息」として経費にできます。たとえば、飲食店の開業にあたり内装や設備費を工面するために借り入れた場合、その利息は必要経費に含めることが可能です。
ただし、自宅のローンや生活費補填のための借り入れなど、プライベート目的の借金の利息は経費にはできません。たとえ事業の売り上げが減って生活費が足りずに借金をしたとしても、その目的が事業と無関係であれば認められません。
2-2. 賃貸収入のための借金にかかる利息
アパート経営や不動産投資を行っている場合、不動産所得を得るための借入金の利息は経費に含めることができます。たとえば、賃貸用のマンションを購入するために金融機関から借り入れた場合、その利息は必要経費になります。
一方で、購入した物件が賃貸に出されていなかったり、空室が続いていたりする場合には、経費計上が認められないこともあります。実際に家賃収入が発生しているかどうかが重要です。
2-3. 副業の借入金利息はケースによって扱いが分かれる
会社員が副業をしていて、その活動に必要な借り入れを行った場合、利息が経費になるかどうかは「所得区分」によって異なります。
副業が「事業所得」に該当すれば、借入利息は原則として必要経費になります。たとえば、副業でハンドメイド雑貨を販売していて、材料仕入れのために借り入れをした場合などが該当します。
一方、副業が「雑所得」と判断されると、経費として認められない可能性があります。雑所得は本業に付随する小規模な活動と見なされるため、税務署から経費性を否定されやすくなります。
副業が「事業所得」と認められるかどうかは、以下のような要素で判断されます。
一定の売り上げが継続して発生しているか
継続的に時間や労力をかけているか
副業の収入で生活を維持できるか
たとえば、副業の収入が本業の給与を上回っており、フルタイム勤務よりも副業に多くの時間を費やしているような場合には、「事業」と認められる可能性が高まります。
3. 借金の仕訳方法と書き方
借金の返済に関する仕訳では、経費として認められる「支払利息」のみを帳簿に記載します。元本部分は経費にならないため、仕訳時に明確に区別することが重要です。ここでは、青色申告・白色申告それぞれの記帳方法と、申告方式による違いをわかりやすく解説します。
3-1. 青色申告での借入金の記帳方法
青色申告では、複式簿記による帳簿付けが義務づけられています。借り入れたお金は「短期借入金」または「長期借入金」として記録します。
短期借入金:返済期間が1年以内の場合
長期借入金:返済期間が1年を超える場合
返済時には、元本部分は「借入金」として処理し、利息分のみを「支払利息」として経費に計上します。元本と利息を正しく分けて仕訳することが大切です。
【仕訳例(青色申告)】
銀行から1年以内に返済する約束で100万円の事業用ローンを借り入れ、1年以内に一括で返済し、その際に利息10万円を支払った場合
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
短期借入金 | 1,000,000円 | 現金 | 1,100,000円 | ○○銀行 事業用ローン返済 |
支払利息 | 100,000円 | − | − | (利息分は経費として計上) |
青色申告ではこのように、返済時の元本と利息を別々に記録し、利息のみが経費として処理されます。
3-2. 白色申告での借入金の記帳方法
白色申告では、単式簿記での記帳が可能です。元本の返済は帳簿に記載せず、利息部分のみ「支払利息」として記帳します。帳簿の形式は簡易でも、元本と利息を正しく分けて理解しておかないと、申告ミスの原因になります。
たとえば、帳簿に「ローン返済:110万円」とだけ記載してしまうと、元本と利息の内訳が不明瞭になり、税務調査で指摘を受ける可能性もあります。
3-3. 青色申告と白色申告の主な違い
青色申告は、手間がかかるものの税制面でのメリットが大きいのが特徴です。たとえば、次のような特典があります。
【青色申告特別控除(最大65万円)】
所得金額から控除できる制度。複式簿記による記帳とe-Taxの利用などが条件です。
【赤字の繰越控除(最大3年間)】
赤字が出た年の損失を翌年以降の黒字と相殺できます。
一方、白色申告は記帳や申告が比較的簡単ですが、節税効果は限定的です。かつては記帳義務が免除されていた時期もありましたが、現在は白色申告でも帳簿の作成と保存が必須です。
申告方式は、記帳の手間と税制上のメリットを比較して選ぶとよいでしょう。控除を受けながら正確な経理を行いたい場合は、青色申告を検討するのがおすすめです。
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4. 借金と確定申告にまつわる不安への対処法
確定申告のルールは複雑で、「間違えたらどうしよう」「控除を受けられなかったら損では?」と不安に感じる人も多いのではないでしょうか。とくに借金がある場合は、経費計上や帳簿のつけ方にも注意が必要です。ここでは、控除を最大限活用する方法や、確定申告に関する相談先についてご紹介します。
4-1. 青色申告で65万円の控除を受けるには
青色申告をすると、「青色申告特別控除」により最大65万円の所得控除を受けられる可能性があります。ただし、満額の控除を受けるには、いくつかの条件を満たす必要があります。
主な条件は次のとおりです。
「55万円の青色申告特別控除」の要件に該当している
確定申告をe-Taxで提出している、または電子帳簿保存を行っている
55万円の青色申告特別控除の要件は次のとおりです。
不動産所得または事業所得の生じる事業を営んでいる
複式簿記で記帳している
確定申告期限までに確定申告を行う
このうちどちらかが満たせない場合、控除額は55万円または10万円に下がります。
なお、電子帳簿保存制度とは、帳簿や領収書などを紙ではなく電子データのまま保存する方法です。2022年からは、税務署への事前申請なしで電子保存が可能になりました。
e-Taxとは、申告書を紙で提出せずに、オンラインで確定申告ができる国税庁のシステムです。時間や場所を選ばずに申告ができるため、利用する人も増えています。
4-2. 税理士に任せるメリットと費用感
確定申告に不安がある場合は、税理士に依頼するのも一つの方法です。帳簿の作成から申告書の提出まで一括して任せられるため、作業の手間やミスのリスクを大幅に減らせます。
税理士への依頼には、以下の2パターンがあります。
【スポット契約】
確定申告の時期だけ依頼する方法。費用はおおよそ5万円〜10万円程度が目安です。
【顧問契約】
月々の帳簿管理や税務相談を含む継続的な契約。個人事業主の場合、月額1〜3万円で契約しているケースが多く見られます。
青色申告のように記帳ルールが厳格で、要件も複雑な場合には、税理士のサポートによって控除の取りこぼしを防ぐことができます。
4-3. 確定申告が不安な場合の相談先一覧
確定申告について無料または低コストで相談できる窓口もあります。以下は主な相談先と、それぞれの特徴です。
相談先 | 相談できること | 費用 | 予約 |
|---|---|---|---|
税務署 | 記帳や確定申告書の書き方など | 無料 | 基本的には必要 |
税理士会 | 記帳や確定申告の仕方、節税対策、 税務調査対応、その他税務全般 | 無料 (有料紹介あり) | 必要 (電話相談もあり) |
青色申告会 | 記帳や確定申告の方法 (会員向け) | 会員になれば無料 | 必要 |
商工会議所 | 記帳や確定申告の方法 (主に会員向け) | 会員になれば無料 (非会員有料) | 必要 |
税理士事務所 | 節税や税務調査対応、個別事情に 即した実務的なアドバイス | 初回相談は 無料のことも | 必要 |
青色申告会や商工会議所の相談は、基本的には会員が対象です。会員である場合は相談先として選んでもよいでしょう。
また、税務署は主に「手続き」に関する説明をしてくれますが、節税や経費の判断などには踏み込みません。税理士会や青色申告会であれば、より実務的な相談が可能です。
5. 借金の返済が限界なら債務整理も検討する
確定申告を工夫しても、借金の返済負担が軽くならないケースもあります。返済が限界に近づいている場合は、「債務整理」を検討することが有効です。
債務整理には、将来利息のカットなどを交渉する任意整理、借金を大幅に減額して分割返済する個人再生、借金の支払い義務そのものを免除してもらう自己破産の3種類があります。
状況によって選択すべき手続きは異なりますが、いずれも借金問題を根本から解決できる手続きです。税務面の工夫だけでは解決が難しい場合には、こうした法的な手段も視野に入れて検討するとよいでしょう。
6. 借金問題を弁護士や司法書士に相談するメリット
借金問題は、弁護士や司法書士に相談するのがおすすめです。ここでは専門家に相談するメリットについて解説します。
6-1. 借金などの現状が把握できる
借金や税の問題は複雑なことが多く、自分で正しく状況を把握するのは簡単ではありません。とくに税金を滞納すると、裁判所を通さずに財産を差し押さえられる可能性もあります。
弁護士や司法書士に相談すれば、収入・借入額・資産の状況を整理しながら、今の自分にとって最も現実的な解決策を見つけやすくなります。気持ちの面でも、早めに専門家に頼ることで安心感が得られるでしょう。
6-2. 状況に応じた手続きを提案してくれる
任意整理・個人再生・自己破産といった債務整理には、それぞれ向き不向きがあります。専門家であれば、相談者の収入や借金の総額、家族構成や資産状況までふまえたうえで、現実的に選ぶべき手続きの方向性を提案してくれます。
無理のない返済計画を立てたい場合や、将来を見据えて行動したい場合にも、専門家の視点は非常に役立ちます。
6-3. 確定申告の悩みを解消してくれる
借金の相談に加え、確定申告についても悩みがある場合は、その旨を伝えてみましょう。弁護士や司法書士のなかには、必要に応じて税理士と連携し、確定申告のサポート体制を整えてくれるケースもあります。
とくに事業用の借り入れや、税金の滞納といった問題を抱えている場合には、税務と債務の両面から対応してくれる相談先を選ぶことが大切です。
7. 確定申告と借金に関するよくある質問
Q. 確定申告で借金(借入金)は収入になる?
借金は収入としては扱われません。借入金は返済義務のあるお金であり、課税対象にはならないため、確定申告でも収入として申告する必要はありません。
Q. 借金の元本は確定申告で経費になる?
借入金の元本は、必要経費にはなりません。経費として認められるのは、事業のために借り入れた資金の利息部分のみです。
Q. 借金を確定申告する必要はある?
借金の内容自体を確定申告書に記載する必要はありません。ただし、利息を経費として計上する場合は、帳簿上で「支払利息」として正確に記録しておく必要があります。
Q. 確定申告をしたことで借金が税務署や会社、家族にバレることはある?
確定申告を行ったことによって、借金の存在が会社や家族に知られる可能性は基本的にありません。ただし、税務調査などをきっかけに間接的に知られる可能性はゼロではありません。
Q. 借りたお金を返すときの勘定科目は?
元本の返済には「短期借入金」または「長期借入金」、利息の支払いには「支払利息」という勘定科目を使用します。元本と利息は分けて記帳することが重要です。
Q. 借金の返済先によって確定申告上の取り扱いに違いはある?(例:金融機関と知人)
借入先が銀行であっても知人であっても、確定申告の際の取り扱いに大きな違いはありません。記帳の際は、元本と利息の区分に注意して処理します。
8. まとめ 借金の確定申告で迷ったら、税理士や弁護士への相談を
確定申告で「借金を経費にできないか」と考える人もいますが、返済した元本は経費にはなりません。必要経費として計上できるのは、事業用の借入にかかる利息に限られます。事業と関係ない個人の借金や、元本部分は対象外です。
申告書の記載方法や帳簿のつけ方で不安があれば、税理士や弁護士に早めに相談しましょう。無理な節税ではなく、正しく制度を使うことが大切です。
(記事は2026年1月1日時点の情報に基づいています)
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