奨学金の保証人は危険? 請求が来たときの差し押さえ回避策と対処法

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奨学金の保証人になるのは一定のリスクがありますが、いざというときの対処法もあります(c)Getty Images
奨学金の保証人・連帯保証人は、「名前を貸すだけ」の軽い役割ではありません。返済が滞れば本人の代わりに請求を受け、場合によっては差し押さえにまで発展する可能性があります。 また、保証人の信用情報が傷ついたり、家族間のトラブルに発展したりするなど、負うリスクは想像以上に大きいものです。奨学金に関する保証人トラブルに巻き込まれた場合には、早めに弁護士などの専門家に相談してください。 連帯保証人と保証人の違い、保証人に伴うリスク、トラブルを防ぐ方法、返済不能時の対処法について弁護士が解説します。

目 次

1. そもそも連帯保証人とは?

1-1. 借主と同等の責任を負う人のこと

1-2. 連帯保証人と保証人の違い

2. 奨学金の利用に連帯保証人が必要なケース

2-1. 必要:人的保証を使う場合(貸与型奨学金)

2-2. 不必要:機関保証を使う場合(貸与型奨学金)

2-3. 給付型奨学金の場合、返済自体が不要

3. 奨学金の保証人・連帯保証人になるリスク

3-1. 返済が滞ると本人の代わりに支払うことになる|一括請求と遅延損害金

3-2. 保証人としてのリスクが長期間続く

3-3. 信用情報・与信に影響する

3-4. 親族間のトラブルに発展する

3-5. 裁判や差し押さえなど法的措置をとられるおそれも出てくる

4. 保証人・連帯保証人によるトラブルを防ぐ方法

4-1. 自分の借金と同じという意識を持ったうえで保証を引き受ける

4-2. 奨学生本人に奨学金の返還の重みを伝える

4-3. 保証人になってくれる人がいないなら機関保証を利用する

4-4. 覚書や連絡体制を整える

5. 奨学金の保証人は途中でやめられる?

5-1. 原則として保証人は途中でやめられない

5-2. 変更手続きの流れ・必要書類と注意点

5-3. 人的保証から機関保証に切り替えることもできない

6. 奨学金を本人が返済できなくなった場合の対処法(本人・保証人)

6-1. 奨学金の減額・返還猶予制度を利用する

6-2. 個人再生・自己破産などの手続きを利用する

6-3. 本人が任意整理をする

6-4. 保証人も債務整理を利用する

6-5. 後で求償権を行使する

7. 奨学金の保証人・連帯保証人トラブルで弁護士に相談するメリット

8. 奨学金の保証人に関してよくある質問

9. まとめ 奨学金の保証人になる際は、リスクを正しく理解することが大切
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1. そもそも連帯保証人とは?

まずは、連帯保証人の定義や負う責任、「保証人」との違いを解説します。

1-1. 借主と同等の責任を負う人のこと


連帯保証人とは、借主が返済できなくなった場合に、本人とまったく同じ立場で返済義務を負う人をいいます。奨学金では親が連帯保証人になるケースが典型で、返済が延滞すると借主より先に請求が届くこともあります。

一般の保証制度と比べても責任は極めて重く、仮に返済残高が200万円あれば、その全額について支払い義務を負うのが特徴です。奨学金は返済期間が10年以上に及ぶため、長期間にわたり大きなリスクを背負う立場である点を理解しておく必要があります。

1-2. 連帯保証人と保証人の違い


連帯保証人と通常の保証人との違いは、各権利の有無にあります。

通常の保証人には「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」が認められるため、債権者はいきなり保証人に請求することはできません。まず借主へ請求し、さらに借主の財産調査を経る必要があります

しかし、連帯保証人には上記の2つの権利がないため、延滞が発生した段階で、貸主は借主と同様に連帯保証人へ直接取り立てることができます。さらに「分別の利益」も否定されるため、複数の連帯保証人がいる場合でも責任は分割されず、全額について請求を受ける点が重要です。

権利の名前

意味

権利の有無

催告の抗弁権

請求前に主債務者へ請求するよう求められる権利

保証人:あり

連帯保証人:なし

検索の抗弁権

先に主債務者の財産から回収するよう求められる権利

保証人:あり

連帯保証人:なし

分別の利益

保証人の人数に応じて負担額を分割できる権利

保証人:あり

連帯保証人:なし

連帯保証人は、「自分がお金を借りている状態とほぼ変わらない」と考えましょう。

2. 奨学金の利用に連帯保証人が必要なケース

奨学金を借りる際、必ずしも連帯保証人が必要となるわけではありません。ここでは、連帯保証人が必要なケースとそうでないケースを紹介します。

2-1. 必要:人的保証を使う場合(貸与型奨学金)


貸与型奨学金を「人的保証」で利用する場合、原則として連帯保証人と保証人をそれぞれ選任する必要があります。人的保証とは、親族が保証人となって返済を支える仕組みで、もっとも一般的な利用方法です。

通常、連帯保証人には父母のいずれか、保証人には祖父母や兄弟姉妹など三親等以内の親族が選ばれます。奨学金は在学中の返済が猶予されるため、金融機関の教育ローンよりも貸し手側のリスクが高く、そのリスクを補う目的で家族の保証が求められています。

そのため、「家族の中に保証人を引き受けられる人がいない」場合には、人的保証での利用が難しくなることがあります。

2-2. 不必要:機関保証を使う場合(貸与型奨学金)


人的保証ではなく「機関保証」を選択した場合には、連帯保証人や保証人をつける必要はありません。機関保証とは、保証機関が返済不能リスクを引き受ける仕組みで、保証料を支払うことで親族の負担を避けられる制度です。

保証料は借入額や在学期間で変動しますが、一定の費用を負担する代わりに、家族が保証責任を負う必要がなくなる点が大きな特徴です。親族に高齢者しかいないケース、親が自営業で収入が不安定なケースなど、人的保証が難しい家庭で利用されることが多いです。

2-3. 給付型奨学金の場合、返済自体が不要


給付型奨学金は返済義務がないため、連帯保証人や保証人を準備する必要はありません。給付型は学力基準や収入基準を満たした学生に対して支給される制度で、貸与型と異なり将来的な返済負担が存在しません。

したがって、家族が保証人になるリスクもなく、保証制度自体が適用されません。近年は給付型奨学金が拡充されつつありますが、対象となる学生の範囲は限定されており、貸与型奨学金と併用するケースもあります。自身の家庭状況や進学計画に応じて、給付型の可否を早期に確認することが重要です。

3. 奨学金の保証人・連帯保証人になるリスク

奨学金の保証人・連帯保証人になるリスクについて、具体的にイメージできるよう説明していきます。

3-1. 返済が滞ると本人の代わりに支払うことになる|一括請求と遅延損害金


奨学金の返済を延滞すると、保証人・連帯保証人には本人に代わって返済義務が生じます。延滞が一定期間続くと、日本学生支援機構から突然の一括請求が届くことも珍しくありません。特に連帯保証人の場合、本人への督促を待たずに直接請求される可能性があります。

一括請求には、延滞期間に応じた遅延損害金が加算され、半年以上延滞すると請求額が大きく膨らむことがあります。実務上、通知は段階的に送付されますが、「いつ督促が来るのか」「どれほどの金額が追加されるのか」が不明なまま不安を抱える人も多く、保証人にとっては精神的負担が大きいです。

3-2. 保証人としてのリスクが長期間続く


奨学金の返済期間は10年以上に及ぶことが一般的で、長い場合には15〜20年続きます。その間、保証人としての責任が継続するため、家庭環境の変化や健康状態の悪化が生じても、途中で辞退することは原則できません。

保証人の交代は一定の条件を満たす必要があり、自由に行えるものではないため、長期にわたり不確定なリスクを背負い続けることになります。弁護士としての経験では、「当時は軽く考えて引き受けたが、10年後に本人が返済不能となり請求が届いた」という相談もありました。長期契約であることを十分理解せずに承諾すると、後悔につながりやすいです。

3-3. 信用情報・与信に影響する


保証人として返済が3カ月程度滞ると、信用情報に延滞として記録される可能性があります。いわゆる「ブラックリスト入り」と呼ばれる状態で、借り入れやクレジットカードの審査に大きく影響します。

「私は保証人であり、お金を借りた本人ではない」という態度を取っていると、主債務者の滞納に引っ張られる形で、保証人もブラックリスト入りするおそれがあります。

3-4. 親族間のトラブルに発展する


保証人制度は家族関係に大きな影響を与えることがあります。返済が滞った場合、誰が責任を負うのか、家族内で感情的な対立が生じることもあります。

借りた本人が状況を家族に説明しないまま延滞していたケースでは、「なぜもっと早く相談してくれなかったのか」「知らないうちに多額の請求が届いた」といった不満が噴出し、親族間の関係が悪化することがあります。金銭に関する責任分担が明確でないまま保証人になるのは極めて危険です。

3-5. 裁判や差し押さえなど法的措置をとられるおそれも出てくる


返済遅延が長期化すると、支払督促や訴訟が提起され、給与や預金の差し押さえが行われる可能性があります。延滞の段階で適切に対処すれば回避できる場合もありますが、督促を放置すると事態は急速に悪化します。

訴訟に発展した場合、保証人は被告として手続きに関与する必要があり、精神的・時間的負担が大きくなります。差し押さえは生活費にも影響を及ぼすため、実務上も最も避けるべき事態です。保証人は本人の延滞によるトラブルの責任を直接負う立場である以上、法的措置のリスクを十分認識しておく必要があります。

4. 保証人・連帯保証人によるトラブルを防ぐ方法

保証人のリスクを説明したところで、保証人・連帯保証人になることによるトラブルを防ぐ方法を解説します。

4-1. 自分の借金と同じという意識を持ったうえで保証を引き受ける


「保証人になる=自分が借金を引き受ける可能性がある」と覚悟を持ってください。「学生本人が返せばよい」という安易な考えは禁物です。奨学金は10年以上返済が続くことが珍しくないうえに、途中での辞退も原則認められません

将来の家計状況、収入の変動、健康状態なども踏まえ、引き受けが適切かどうか検討しなければなりません。特に高齢の親が連帯保証人になると、定年退職などで返済期間中に収入が減少し、保証人として請求がきても支払いができないリスクを抱えることがある点にも注意が必要です。

4-2. 奨学生本人に奨学金の返還の重みを伝える


保証人トラブルの背景には、奨学生本人が返済の重さを十分に理解していないことが多く見られます。特に未成年で進学する場合、毎月の返済額や返済年数を実感できていないことがほとんどです。

そのため、奨学金を借りる段階で「奨学金は就職後の生活にどのような影響を与えるのか」を具体的に説明することが重要です。例えば、将来の進路、予測される収入、希望する暮らしなどを一緒に考え、借入額をどこまで抑えられるかを検討することがトラブル防止につながります

「なんとなく最大額を借りる」などの判断は避け、必要額を慎重に考えましょう。

4-3. 保証人になってくれる人がいないなら機関保証を利用する


身近に保証人を頼める親族がいない場合や、家族に負担をかけたくない場合は、「機関保証」を利用する方法があります。

保証料は借入額や期間によって異なりますが、一般的に合計で10〜20万円程度となることが多いです。人的保証より費用はかかるものの、親族が金銭的・精神的な負担を抱えるリスクを避けられます。また、家庭の事情が複雑な場合や、親族間でトラブルが起きやすい状況でも、機関保証は有力な選択肢となります。

4-4. 覚書や連絡体制を整える


保証人になる場合は、将来のトラブルを防ぐために、最低限の取り決めを文書にしておくことが望ましいです。たとえば「延滞が発生したらすぐに連絡する」など、連絡ルールを明確にしておくと、延滞の早期発見につながります

実際には、督促状が本人の手元で放置され、保証人に突然一括請求が届くケースも少なくありません。こうした事態を避けるには、家族間で返済状況を定期的に確認し、情報を共有する仕組みを作ることが重要です。

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5. 奨学金の保証人は途中でやめられる?

奨学金の保証人は、一度契約すると、原則返済が終わるまで責任が続きます。途中で辞退できるケースは限られているため、基本的な仕組みと変更の可否を理解しておくことが重要です。

5-1. 原則として保証人は途中でやめられない


奨学金の保証人・連帯保証人は、原則として返済期間中に辞退することができません。奨学金のように貸与契約が長期にわたる場合、保証人の存在が返済計画の前提となっているためです。やむをえない事情がある場合には変更が認められることもありますが、その範囲は非常に限定的です。

保証人の変更が認められる典型的な例としては、保証人が死亡した場合、重い病気や高齢化で保証能力が失われた場合、破産や失職により経済的に返済不能となった場合などがあります。また、留学や転勤等で海外居住となり、連絡や支払いが継続できなくなる事情が生じたときも、変更理由として考慮されることがあります。

弁護士としても、「もう責任を負えない」との相談を受けたことはありますが、法律上は原則として辞任できない点をまず理解する必要があります。

5-2. 変更手続きの流れ・必要書類と注意点


保証人の変更が必要な場合には、新たな保証人を用意したうえで審査を受ける必要があります。一般的には、保証人変更届、続柄を示す書類、収入証明、本人・保証人双方の署名など、複数の書類を提出します。

変更理由が「やむをえない事情」と認められなければ手続きは進みません。実務上、変更完了まで数カ月を要することもあり、その間に督促が進むリスクがある点にも注意が必要です。

5-3. 人的保証から機関保証に切り替えることもできない


人的保証を選んでいる状態から、返済途中に機関保証へ切り替えることは認められていません。保証制度そのものが契約開始時点の条件で確定しており、途中で保証形態を変更すると返済計画が根本から変わるためです。

そのため、保証人を途中で外す方法は限られており、基本的には「別の保証人を新たに立てる」以外に選択肢はありません。家族関係の悪化などで保証人を継続できなくなった場合でも、機関保証への移行で解決できない点が大きな制約となります。こうした事情から、貸与開始前の段階で、家庭状況や将来の見通しを踏まえて保証方法を慎重に選択することが強く求められます。

6. 奨学金を本人が返済できなくなった場合の対処法(本人・保証人)

奨学金の返済が困難になると、本人だけでなく保証人にも大きな影響が及びます。延滞が進む前に利用できる制度や、返済不能に陥った場合の法的手続きを理解し、早めに対処することが重要です。

6-1. 奨学金の減額・返還猶予制度を利用する


返済が困難になった場合にできる代表的な対処法に、返還額を減額する「減額返還制度」と、一定期間返済を停止できる「返還猶予制度」があります。いずれも家計状況や収入基準によって申請できる制度で、延滞前に手続きを行うことが極めて重要です。

すでに延滞が進んでいる場合、制度利用が制限されることがあり、遅延損害金も増えていきます。申請には所得証明、勤務先証明、生活状況に関する書類が必要になることもあり、準備に時間を要するため、早めの対応が欠かせません。返済不能に陥る前に対応を検討しましょう。

6-2. 個人再生・自己破産などの手続きを利用する


すでに返済が長期間滞っており、減額返還や返還猶予でも対応できない場合は、法的な債務整理を検討する必要があります。

個人再生では、将来の収入を前提に返済計画を作り、元本を大幅に減らしたうえで3〜5年かけて返済する方法がとられます。一方、自己破産を選ぶと返済義務自体は免除されますが、財産の処分や一定の職業制限が発生する点には注意が必要です。

いずれの手続きでも、奨学生本人が債務整理を行えば、本人の返済義務は免除または減額されます。しかし、保証人の責任は消えません。本人の債務整理によって残りの返済義務が保証人に引き継がれるため、保証人自身も返済や追加の対応を求められる点に注意が必要です。

6-3. 本人が任意整理をする


任意整理では、利息カットや返済期間調整が可能なため、毎月の支払い総額を抑えることができます。

奨学金は、原則として任意整理の対象外です。これは、奨学金が教育を受けるための「公益性の高い貸し付け」であり、利息も一般の消費者金融と比べて低く、返済条件の緩和制度(減額返還・返還猶予)が用意されているためです。そのため、保証人がいる奨学金は、任意整理で減額交渉をしても応じてもらえないケースがほとんどです。

しかし、奨学金以外の借金を任意整理で減額することには大きなメリットがあります。クレジットカードや消費者金融などの返済負担を減らすことで、奨学金の返済を継続でき、保証人に迷惑をかけずに済む可能性が高まるためです。

6-4. 保証人も債務整理を利用する


奨学生本人が債務整理を行うと、残りの返済義務が保証人に移ります。そのため、保証人自身も返済不能となることがあり、同様に債務整理を検討する必要があります。

保証人が個人再生や自己破産を行う場合、奨学金を含む他の借金もすべて整理する形になるため、返済負担を大幅に軽減できる可能性があります。ただし、保証人が債務整理を行うと信用情報への影響や生活基盤が大きく変わり、家族関係が悪化することもあるので、債務整理を検討する際には専門家に相談しましょう。

6-5. 後で求償権を行使する


保証人が本人に代わって返済した場合、保証人は法律上「求償権」を取得し、支払った金額を本人に「保証人として肩代わりした金額」を請求できます。ただし、本人が自己破産で免責を受けた場合には、免責の効果によって求償請求は原則としてできません

また、個人再生を行った場合も、本人が再生計画で負担すべきとされた範囲を超えて請求することはできず、保証人が支払った全額を取り戻せるわけではありません。

求償権を行使する際は、支払額や返済状況の記録を残しておくことが重要です。

7. 奨学金の保証人・連帯保証人トラブルで弁護士に相談するメリット

弁護士に相談する最大のメリットは、現在の状況を客観的に整理し、どこに法的リスクが潜んでいるのかを明確にできる点です。延滞通知の意味や一括請求の法的な位置づけ、裁判や差し押さえに発展する可能性などを、届いた書面をもとに正確に判断してもらえます。

さらに、本人や保証人に代わって回収業者と連絡・交渉を行い、返済計画の見直しや支払い猶予の調整を進めることも可能です。実務では、家族間で感情的対立が起きて話し合いが進まなくなるケースも多く、専門家が間に入ることで問題が沈静化し、解決に向かいやすくなる利点もあります。

8. 奨学金の保証人に関してよくある質問

Q. 奨学金の保証人は親でも大丈夫?


親が保証人・連帯保証人になることは一般的で、制度上も問題ありません。ただし、返済期間が10年以上に及ぶため、高齢となる親が保証能力を維持できるかは慎重に検討する必要があります。

Q. 奨学金の保証人は無職でも大丈夫?


無職でも保証人になること自体は可能ですが、審査に通る可能性は低いでしょう。また、収入が安定しない場合、実質的に返済請求が来た際に対応できない可能性があります。

Q. 「滞納したら本人が分割で払う」と契約していたらどうなる?


家族間での口約束や覚書を交わしていたとしても、債権者から請求されれば支払わなければなりません。分割支払いを認めるかどうかは債権者が判断します。

Q. 本人が個人再生や自己破産をしたらどうなる?


​​本人の債務は減額・免責されますが、保証人の責任は消えません。本人が手続きを終えても、返済義務は保証人に引き継がれるため注意が必要です。

Q. 連帯保証人が支払ったら本人に請求できる?


保証人が代わりに支払うと求償権が発生し、本人に請求できます。ただし、家族内での回収は現実的には難しいことが多く、文書や振込記録を残しておくことが重要です。

Q. 本人が延滞していることを保証人が知らされないことはある?


返済口座の管理が本人に任されている場合、保証人は督促状が届くまで延滞に気づけないこともあります。事前に連絡ルールを決めておくことがトラブル防止になります。

Q. 保証人・連帯保証人としての義務はいつまで残る?


原則として完済まで続きます。途中辞退は認められず、変更にはやむを得ない事情と代わりの保証人が必要です。返済期間が長期に及ぶため、契約前に十分な理解と準備が欠かせません。

9. まとめ 奨学金の保証人になる際は、リスクを正しく理解することが大切

奨学金の保証人になることは、単に「支え合う」役割にとどまらず、返済が滞った場合に本人に代わって支払うなど、大きな責任があります。延滞が続けば、一括請求や家族間のトラブルにつながるリスクもあるでしょう。

トラブルを避けるには、「機関保証」を利用するのもおすすめです。また、「人的保証」を使う場合でも、返済状況を定期的に共有し、問題が起きそうな段階で早めに相談できる関係づくりが大切です。

不安がある場合や状況が複雑なときは、弁護士に相談することで、適切な対処法を確認し、将来のリスクを最小限に抑えることができます。 想定外のトラブルに備えて、制度の特徴と相談先を早めに把握しておくことが重要です。

(記事は2025年12月1日時点の情報に基づいています)

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この記事を書いた人

林孝匡(弁護士)

林孝匡(弁護士)

PLeX法律事務所 弁護士
PLeX法律事務所の弁護士。大阪弁護士会所属。登録番号43736。債務整理を10年ほど手がけたあと、情報発信専門の弁護士に転向。世にあふれている法律情報を分かりやすくかみ砕くことに注力。弁護士ドットコム・マイナビ・DIME・弁護士JPなど多数のWEBメディアでコンテンツを連載中。YouTubeでも裁判解説をスタート(チャンネル名:裁判LABO)
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