目 次


朝日新聞社運営「債務整理のとびら」で
債務整理に強い弁護士・司法書士を探す
債務整理に強い
弁護士・司法書士を探す
1. パチンコ依存症で借金する人の割合は? 平均いくら借りている?
パチンコは最も身近なギャンブルです。
独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センターが実施した「令和5年度 依存症に関する調査研究事業「ギャンブル障害およびギャンブル関連問題の実態調査」によると、ギャンブルの問題で相談機関を利用した人のうち、過去1年間に問題となったジャンルは、パチスロ(35.8%)、パチンコ(33.3%)の順に高い割合となっています。
ギャンブルに賭けるお金は、1カ月あたりの平均額が71万5990円、中央値は15万円、最大値は1000万円です。
お金の工面方法(複数回答あり)は、自分の貯金(55.7%)が最多ですが、次に多いのが消費者金融やサラ金などの貸金業者からの借り入れ(43.2%)、クレジットカードなどの後払い決済(35.9%)、キャッシングの借り入れ(29.7%)、家族からの借り入れ(27.6%)、銀行、信用組合等の金融機関からの借り入れ(20.8%)となっており、多くの場合、借り入れに依存しています。なかには闇金(違法業者)を利用している人もいました。
その結果、ギャンブルに関する借金をしたことがある人の割合は89.8%と、きわめて高い割合を占めています。借金の平均額は653万8581円、中央値は400万円、最大値は4000万円となっています。
この調査結果から、パチンコ依存症で借金をする人の割合はきわめて高く、金額も大きいことが予想されます。
2. パチンコの借金が危険な状況とは?
パチンコの依存症が進むにつれ、借金も深刻なものとなっていきます。自分の生活費以外のお金で遊べているうちはあまり問題がありませんが、次のような場合は債務整理や生活改善に取り組む必要があります。
返済を滞納している
クレジットカードのリボ払いで支払いを先延ばしにしている
借入先の消費者金融が複数にわたり増えている
借金の返済のためにさらに借金をし、「自転車操業」の状態に陥っている
借金の総額が年収の3分の1を超えている
消費者金融の借入限度額に達してしまい、給料の前借りや友人からの借り入れをしている
このような場合、自分の経済力の範囲でギャンブルを楽しんでいるとは言えず、早急に対処しなければなりません。
3. パチンコで負けすぎて借金を作ったときのNG行動は?
パチンコで負けすぎて借金を作ったとき、避けるべき行動の一例は下記のとおりです。
3-1. パチンコで勝って返済しようとする
パチンコでふくらんだ借金を、パチンコで勝つことで返済しようとするのはやめるべきです。
いわゆるパチプロのような人がパチンコで勝つ方法を教える記事や番組もあります。しかし、パチンコ店舗は営利企業であり、最終的に店舗側がもうけなければなりません。そう考えると、長期的にはパチンコの利用者のほとんどが負けていることになります。
これまで負けていることから考えても、パチンコを続ければ当然、さらに負ける可能性が高いことが予想されます。その結果、さらに借金は膨らみます。
私も弁護士としてこれまで多くの債務整理の相談を受けていますが、パチンコ依存症の人がパチンコで負けを取り戻そうとして借金を増やしてしまったケースを多く見てきました。その経験から、パチンコで借金を返済することは避けるべきと断言できます。
3-2. さらに借金を増やす
新たに借金をして、パチンコでできた借金を返済することは、何の問題解決にもなっていません。
急場しのぎでほかの業者からお金を借りて、借金を整理したつもりになってしまう人もいますが、これはいわゆる「自転車操業」です。借金を借りた先が変わっているだけで、借金の額が減っているわけではありません。
そのままでは複数の金融業者から借金をする多重債務状態を招き、返済が苦しくなる原因となります。場合によっては借入先が見つからず、いわゆる闇金から高額な利息で借り入れをしてしまう危険性もあります。
3-3. 踏み倒す、または逃げる
借金を踏み倒したり、逃げたりすることもお勧めしません。
一定期間経過することで借金が「時効」となり、なくなるケースはあり得ます。しかし、債権者(お金を貸した側)も時効にならないよう手段を尽くしてくる可能性が高く、利息が積み重なって借金の額がふくれ上がってしまうリスクがあります。
また、債権者が強制執行の手続きを行い、財産を差し押さえられてしまうかもしれません。精神的な面でも、督促を受けながらの生活、そこから逃げながらの生活は制約が多く、大きなストレスになります。


弁護士・司法書士をお探しなら
朝日新聞社運営「債務整理のとびら」
4. パチンコによる借金地獄から抜け出す方法は?
パチンコによる借金地獄から抜け出す方法として、主に次のような方法が挙げられます。
支出を見直す
親族の援助を受ける
収入を増やす
日本貸金業協会の貸付自粛制度を利用する
社会福祉協議会の日常生活自立支援事業を利用する
専門機関で治療を受ける
債務整理をする
4-1. 支出を見直す
膨らんでしまった借金の返済を進められるよう、家計を見直しましょう。
パチンコそのものに近づかないことは当然として、食費、交際費、携帯料金、一定期間、定額料金を支払うサブスクリプション型のサービスなど、必要なものとそうでないものをしっかりと区別する必要があります。
パチンコによる借金が少ない段階では、家計を見直して返済資金を捻出することで、解決できる場合もあります。
4-2. 親族の援助を受ける
親を含む親族に経済的な余裕があれば、借金を肩代わりするなどして返済に協力してくれるかもしれません。
この場合は、親戚に借金の整理に協力してもらうことをしっかりと説明し、返済方法や時期をあらかじめ決めておくなど、トラブルを回避するために事前に備えておく必要があります。
なお、借金から抜け出す方法として自己破産を考えている場合、破産手続きのために借り入れという方法でお金を調達することは禁じられています。相手が親族であっても、お金を借りることで免責(支払い義務を負わないこと)の障害となる可能性があるため、ご注意ください。
4-3. 収入を増やす
収入を増やすことができれば、その分、返済に回す資金を生み出せます。
たとえば、単発バイトの仕事などを増やすことや、不要な財産をお金に換えて返済に回すことが考えられます。自分の力で返済に回す財産を確保できれば、借金地獄から抜け出す足がかりになります。
ただし、具体的な仕事内容を明示せず高額な報酬をうたう求人は、詐欺や強盗などの犯罪に加担させられる「闇バイト」の可能性もあります。組織的な特殊詐欺や強盗で起訴されると前科がなくとも実刑となることが多く、人生に大きな不利益となるため注意が必要です。
4-4. 日本貸金業協会の貸付自粛制度を利用する
上記の方法で借金を減らしていったとしても、また同じようにパチンコにお金を費やし、借り入れを繰り返しては、根本的な解決にはなりません。
再度、借金地獄に陥らないためには、借り入れを繰り返さないことが必要です。しかし、もし借金しない生活を送る自信がなければ、日本貸金業協会による貸付自粛制度を利用することを検討しましょう。
これは貸金業者等が加入する日本貸金業協会が実施している生活再建支援サービスです。
協会窓口、Web、郵送いずれかの方法で本人などが申請を行うことで、借り入れを制限することができます。
4-5. 社会福祉協議会の日常生活自立支援事業を利用する
高齢者や障害を持つ人などが対象となりますが、各自治体にある社会福祉協議会の日常生活自立支援事業を利用する方法もあります。
これは直接、借金の整理やギャンブル依存の解消を目的とするものではありませんが、第三者である社会福祉協議会に日常生活資金の管理を行ってもらうことで、余計な出費を見直すきっかけになります。
4-6. 専門機関で治療を受ける
借金地獄から抜け出すうえで最も大切なことは、パチンコに依存してしまう状況そのものを解消していくことです。パチンコへの依存はギャンブル依存症の一種であり、症状によっては医療機関で治療を受ける必要があります。
根本的な依存症治療を自分自身で進めることはできません。治療のためには、一般財団法人ギャンブル依存症予防回復センター、精神保健福祉センター、医療機関の精神科などでカウンセリングを受けることをお勧めします。
ほかにも、ギャンブル依存症の人同士で集まる自助グループや家族の会などに参加し、定期的に自分の状況を見つめ直したり、悩みを相談したりすることで、再びギャンブルに手を染めないような環境を整えることも大切です。
4-7. 債務整理をする
パチンコ依存について治療を進め、家計を見直したとしても、自力では借金を返しきれない場合があります。
そのような場合は、任意整理、個人再生、自己破産といった債務整理を検討しましょう。弁護士に依頼して適切な方法で債務整理を行うことで、借金地獄から抜け出すことができます。
5. パチンコによる借金問題を解決できる債務整理の主な方法
債務整理には、主に任意整理、個人再生、自己破産の3種類があります。それぞれメリットやデメリットがあり、手続きにかかる費用や時間なども異なります。弁護士に相談することで、どの債務整理がふさわしいかアドバイスを受けることができます。
5-1. 任意整理
任意整理は、銀行や消費者金融などの債権者と話し合い、借金の負担を軽減する手続きです。交渉では、主に将来的に支払う利息のカット、返済スケジュールの変更などを話し合い、合意した内容に従って分割で返済を進めていくことになります。
任意整理は債務整理の対象となる借金を選択できる、財産の処分が不要であるといったメリットがあります。一方で、借金を大きく減らすことまでは期待できないため、負債の額がそこまで大きくない人や、自動車の引き揚げや自宅の処分などを避けたい人に向いています。
5-2. 個人再生
個人再生は、裁判所に申し立てを行い、借金を減額したうえで、3年から5年かけて分割返済することを認めてもらう手続きです。
手続きに時間や費用がかかりますが、元本(利息や遅延損害金を含まない借金の残高)を減額できる点はメリットです。
また、自宅を残せる制度があるため、任意整理では返済が困難な一方で、自宅は残したいという人に向いています。
5-3. 自己破産
自己破産は、裁判所の手続きにより、借金をゼロにする「免責」を認めてもらう手続きです。
手続きによって借金をなくすことができる点が大きなメリットです。しかし、一定の財産を除き、手元にある資産は処分され、債権者に分配されてしまうことがデメリットとなります。
また、免責にあたっては、借金をゼロにしてはならない「免責不許可事由」というものが法律で定められています。その一つに、ギャンブルによって借金を重ねたことがあります。
実際には多くの事例で、免責不許可事由に該当する場合でも、裁量免責という制度のなかで免責が認められています。しかし、免責が認められないリスク、手続きに時間と費用がかかるリスクは想定しておかなければなりません。
6. パチンコによる借金を解決できた事例
私が弁護士として担当した、パチンコによる借金を解決した事例を紹介します。自己破産手続きにより、解決した事例です。
依頼者はパチンコに使った借金が数百万円程度に上っていました。裁判所からの支払督促が届いたことをきっかけに債務整理を考えるようになり、インターネットで免責不許可事由のことを調べて、任意整理を希望していました。
ところが、話を聞くと、とても分割返済できるだけの経済力は確保できないことがわかってきました。そこで免責に関する制度の説明を行い、ギャンブルが原因だとしても絶対に免責が受けられないわけではないことを理解してもらったうえで、自己破産手続きを進めることになりました。
裁判所に自己破産手続きを申し立てる際、依頼者がギャンブル依存症患者の自助グループに参加し、現在ではパチンコ店に通っていない状況などを記した自筆の反省文を添付することで、無事免責を受けることができました。


弁護士・司法書士をお探しなら
朝日新聞社運営「債務整理のとびら」
7. パチンコによる借金問題を弁護士や司法書士に相談するメリット
借金問題を専門家に相談することで、自身の収入や負債の状況に応じた適切な債務整理の方法を教えてもらえたり、債権者からの督促から解放されたりするメリットがあります。
弁護士などに依頼すると、債権者に「受任通知書」が送られますが、この書面には債権者からの取り立てや直接の連絡を止められる効果があります。督促に悩んでいる人にとっては、精神的負担が大きく軽減されるでしょう。
借金の相談は早ければ早いほど債務整理の選択肢が増えます。そのため、借金に困っている場合は、なるべく早めに専門家へ相談することが大切です。
8. パチンコと借金に関してよくある質問
Q. パチンコで借金だらけになった人の末路は?
私が弁護士として担当した依頼者のなかには、パチンコの負けを同じパチンコで取り返そうとしたり、競馬など新たなギャンブルで取り返そうとしたりして、借金問題が泥沼化していたケースが少なくありません。
借入先が増えていき、普通の消費者金融だけでは限度額に達してしまい、友人からの借り入れにより人間関係が壊れたり、闇金からの借り入れで生活に支障をきたしたりするケースもありました。
こうした多重債務状態に陥る前に、返済に困ったらまず弁護士に相談してください。
Q. 夫がパチンコで借金をしていることがわかった場合、離婚の理由になる?
借金そのものが離婚の理由になるわけではありませんが、金額が大きく、原因となるギャンブルが深刻なものであれば、家庭に及ぼす悪影響が大きいとして離婚の原因になることがあります。
離婚を考えている場合には、弁護士への相談をお勧めします。
Q. 専業主婦でパチンコにはまり、借金地獄に陥っています。家族にバレずに解決する方法は?
基本的には債務整理、生活再建には家族の協力が必要となってきます。ただし、選択する手続きや状況によっては、家族に知られずに債務整理を行うことができたケースもあります。
家族に知られずに債務整理を進められるかどうか、専門家に相談のうえ、アドバイスを受けるとよいでしょう。
Q. パチンコでギャンブル依存傾向がある場合の相談先は?
精神科や心療内科といった医療機関、または一般財団法人ギャンブル依存症予防回復センターや精神保健福祉センターに相談することが可能です。
また、各都道府県にあるギャンブル依存症患者の自助グループや家族の会も、相談先の候補になります。
9. まとめ パチンコに関する借金の悩みがあれば、早めに弁護士に相談を
パチンコで借金地獄に陥ってしまった場合、パチンコやほかのギャンブルで借金を返そうとしても、かえって借金を増やしてしまい、事態が悪化してしまう可能性が高いです。
自力での借金返済が難しい場合は債務整理を検討しましょう。弁護士に相談して適切な方法で債務整理を行うことで、借金地獄から抜け出すことができます。
債務整理と同時に、パチンコに依存してしまう状況そのものを見直すことも大切です。パチンコへの依存はギャンブル依存症の一種であり、専門の施設や医療機関に相談して治療を進めていかなければなりません。
パチンコに関する借金で悩んでいる場合、早期に弁護士などの専門家に相談し、生活再建を進めてください。
(記事は2025年8月1日時点の情報に基づいています)


朝日新聞社運営「債務整理のとびら」で
債務整理に強い弁護士・司法書士を探す