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1. 連帯保証人の解除は原則できない
借金などの債務の連帯保証人になっている場合、自分だけの判断で連帯保証を解除することは原則として認められません。連帯保証は債権者(お金を請求する権利を持つ人)との間の契約であり、連帯保証人の都合で一方的に解除できるとするのは基本的に不当だからです。
1-1. 連帯保証人とは
「連帯保証人」とは、債務者(お金を支払う義務を負う人)と連帯して、債務を支払う義務を負う人です。たとえば借金や、物件を借りる場合の賃料などについて連帯保証人が設けられることがあります。
たとえば、AがBから100万円を借りていて、2025年12月末までに一括で返済する約束をしており、その債務をCが連帯保証しているとします。もしAが返済を怠ったら、2026年1月以降、Bは連帯保証人であるCに対しても100万円の返済を請求できるようになります。Cは、Bから返済を請求されたら100万円を支払わなければなりません。
1-2. 連帯保証人と通常の保証人との違い
連帯保証人は、通常の保証人よりも重い責任を負っています。
連帯保証人と通常の保証人は、いずれも主たる債務者(借金の借主など)が支払いを怠った場合に、債権者に対して債務を支払う義務を負います。しかし連帯保証人には、通常の保証人に認められている以下の権利・利益が認められません。
①催告の抗弁権
債権者に対して、まず主たる債務者に支払いを求める(催告する)べき旨を請求する権利です。連帯保証人には催告の抗弁権が認められないので、支払期限の経過後に債権者から請求されたら、すぐに債務全額を支払わなければなりません。
②検索の抗弁権
主たる債務者に債務を支払う資力があり、かつ強制執行が容易であることを証明すれば、まず主たる債務者の財産について強制執行をするよう求めることができる権利です。連帯保証人には検索の抗弁権が認められないので、上記の証明によって強制執行を免れることができず、自分の財産を差し押さえられてしまうリスクが高いと言えます。
③分別の利益
保証人が複数いる場合に、頭数で割った額の債務だけを負担すればよいという利益です。
連帯保証人には分別の利益が認められないので、支払期限の経過後に債権者から請求されたら、他に保証人がいる場合でも全額を支払わなければなりません。
1-3. 連帯保証契約について確認すべきこと
連帯保証人になっている場合や、これから連帯保証人になろうとする場合は、必ず以下の事項を確認してください。
保証債務の範囲(金額、発生原因など)
利息(支払期限以前の期間について発生)
遅延損害金(支払期限経過後の期間について発生)
極度額(保証人が支払うべき債務の上限額) など
これらの事項を踏まえて、負担が重すぎると思われる場合は、安易に連帯保証人を引き受けるべきではありません。
2. 例外的に連帯保証契約の解除・無効・取り消しが認められるケース
連帯保証契約は、連帯保証人の判断でやめることができないのが原則です。しかし、以下に挙げる場合には、解除・無効・取り消しによって連帯保証契約を解消することができます。
2-1. 連帯保証契約を合意解除する場合
債権者と連帯保証人が合意すれば、連帯保証契約を解除することができます。ただし、債権者が無条件で連帯保証契約の解除に応じてくれることはあまり期待できません。自分の代わりに新たな連帯保証人を立てるなど、何らかの条件を求められる可能性が高いでしょう。
2-2. 主たる債務者が勝手に連帯保証契約を締結した場合
連帯保証契約を締結する際には、連帯保証人の同意が必要不可欠です。しかし、借主本人が無断で連帯保証契約を締結してしまうケースが稀(まれ)に見られます。
連帯保証人の同意がない契約の場合、借主の行為は「無権代理」に当たります。無権代理であれば、連帯保証契約の効力は連帯保証人に及ばないので、連帯保証人は債務を支払う義務を負いません。
2-3. 連帯保証人に錯誤があった場合
連帯保証人が重要な事実について勘違いをしていた場合は、錯誤によって連帯保証契約を取り消すことができます。たとえば、元本や利率、極度額などを誤って認識していた場合などが挙げられます。
ただし、契約締結の動機が誤っている場合は、その動機を債権者に表示していた場合に限り取り消しが認められます。また、連帯保証人に重大な過失がある場合は、錯誤による取り消しは認められません。
2-4. 連帯保証人が騙されていた場合
連帯保証人が騙されて契約を結んだ場合は、詐欺によって連帯保証契約を取り消すことができます。ただし、債権者以外の第三者に騙されて契約を結んだ場合は、債権者がその事実を知り、または知ることができた場合に限り、詐欺による取り消しが認められます。
2-5. 連帯保証人が脅されていた場合
連帯保証人が暴行や脅迫を受けて契約を結ばされた場合、その連帯保証契約は取り消すことができます。詐欺の場合と異なり、債権者が脅迫の事実を知らなかったとしても、取り消しは認められます。
2-6. 連帯保証契約の書面または電磁的記録が作成されていない場合
連帯保証契約は、書面またはその内容を記録した電磁的記録(Wordファイル、PDFファイル、電子契約など)によって締結されなければ、その効力を生じません。書面も電磁的記録も作成されておらず、口頭で連帯保証の約束がなされたに過ぎない場合は、連帯保証契約は無効です。
2-7. 極度額が定められていない場合
2020年4月1日以降、個人根保証契約(=保証債務の範囲が特定されていない保証契約のうち、個人が保証人となるもの)については、極度額を定めることが義務付けられました。同日以降に締結された個人根保証契約は、極度額が定められていなければ無効です。
3. 【ひな型】連帯保証契約を合意解除する場合に作成すべき書面
貸主に対して連帯保証契約の合意解除を提案する場合や、実際に連帯保証契約を合意解除する場合に作成すべき書面のひな型を、記載上の注意点に触れながら紹介します。
3-1. 解除申入書
連帯保証契約の解除申入書
(債権者の氏名・名称) 様/御中
○年○月○日
【連帯保証人の氏名・名称】
【連帯保証人の住所】
【連帯保証人の連絡先】
拝啓
時下益々ご盛栄のこととお慶び申し上げます。平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
私は、【主たる債務者名】(以下「主債務者」といいます。)と【貴殿/貴社】の間の【×年×月×日付「○○契約」】に基づく、主債務者の【貴殿/貴社】に対する債務の連帯保証人となっておりますが、このたび(理由……)により、引き続き連帯保証をお引き受けすることが困難な状況となりました。
つきましては、大変勝手なお願いではございますが、当該連帯保証契約の解除につきご検討くださいますよう、謹んでお願い申し上げます。
なお、【貴殿/貴社】への影響を最小限とするため、私に代わる保証人として下記の者を立てる方向で調整を進めております。
記
氏名:×× ××
主債務者との関係:××
連絡先:×××-×××-××××
以上
ご多忙の折誠に恐縮ではございますが、【貴殿/貴社】としてのご意向を、本書の受領後2週間以内をめどにご連絡いただけますと幸いです。
何卒ご理解・ご高配を賜りますようお願い申し上げます。
敬具
連帯保証人が債権者に対し、連帯保証契約の合意解除を申し入れる書面です。あくまでも「お願い」なので、丁寧な文章で記載することを心がけましょう。債権者が受け入れやすいように、代わりの連帯保証人を立てるなどの提案を添えることが望ましいです。
3-2. 合意解除覚書
連帯保証契約の合意解除に係る覚書
債権者○○ ○○(以下「債権者」という。)と連帯保証人×× ××(以下「連帯保証人」という。)は、債権者と連帯保証人の間で締結した○年○月○日付「連帯保証契約」(以下「原契約」という。)の合意解除につき、以下のとおり本覚書を締結する。
第1条(合意解除)
1. 債権者と連帯保証人は、双方の合意により、×年×月×日をもって原契約を解除する。
2. 前項に定める合意解除は、【主たる債務者名】(以下「主債務者」といいます。)と債権者の間の【×年×月×日付「○○契約」】に基づく主債務者の債権者に対する債務を、下記の者が連帯保証する旨の契約が有効に開始したことを停止条件として、その効力を生ずるものとする。
記
氏名:×× ××
主債務者との関係:××
連絡先:×××-×××-××××
以上
第2条(既発生債務の精算)
連帯保証人は債権者に対し、原契約に基づいてすでに発生している下記の債務を履行するものとする。
記
金額:○○円
支払期日:△年△月△日
支払方法:債権者が別途指定する口座への振込(振込手数料は連帯保証人負担)
以上
第3条(清算条項)
債権者及び連帯保証人は、前条に定める精算を除き、原契約及び本覚書に関して、債権者及び連帯保証人の間に一切の債権債務が存在しないことを相互に確認する。
本覚書締結の証として、本書2通を作成し、債権者及び連帯保証人が各1通を保有する。×年×月×日
(債権者)
【住所】
【氏名/名称】
【代表者名(法人の場合)】
(連帯保証人)【住所】
【氏名/名称】
【代表者名(法人の場合)】
連帯保証契約を合意解除する際、債権者と連帯保証人の間で締結する覚書です。
新たな連帯保証人を立てる場合は、その契約が開始した時点で合意解除の効力が生じる旨を定めます(1条2項)。すでに発生している債務の精算を行う場合は、その内容を明記しましょう(2条)。
覚書に明記されている精算を除き、合意解除後は債権債務が残っていない旨を確認することも、トラブルを防止する観点から重要です(3条)。
3-3. 連帯保証人変更合意書
連帯保証人の変更に関する合意書
債権者○○ ○○(以下「甲」という。)、旧連帯保証人×× ××(以下「乙」という。)及び新連帯保証人△△ △△(以下「丙」という。)は、甲乙間で締結した○年○月○日付「連帯保証契約」(以下「原契約」という。)に係る連帯保証人の変更につき、以下のとおり本覚書を締結する。
第1条(連帯保証人の変更)
原契約における連帯保証人を、○年○月○日(以下「変更日」という。)付で乙から丙に変更する。
第2条(連帯保証債務の精算・帰属)
1. 乙は甲に対し、原契約に基づいてすでに発生している下記の債務を履行するものとする。
記
金額:○○円
支払期日:△年△月△日
支払方法:債権者が別途指定する口座への振込(振込手数料は連帯保証人負担)
以上
2. 前項に定めるもののほか、乙は甲に対し、変更日より前(変更日を含まない。)に生じた原因による原契約に基づく連帯保証債務を履行する責任を負う。丙は甲に対し、当該連帯保証債務を履行する責任を負わない。
3. 丙は甲に対し、変更日(同日を含む。)以降に生じた原因による原契約に基づく連帯保証債務を履行する責任を負う。乙は甲に対し、当該連帯保証債務を履行する責任を負わない。
第3条(清算条項等)
1. 甲及び乙は、前条第1項及び第2項に定めるものを除き、原契約及び本覚書に関して、甲乙間に一切の債権債務が存在しないことを相互に確認する。
2. 甲丙間の原契約及び本覚書に関する債権債務関係は、前条第3項及び原契約の定めに従う。
3. 乙及び丙は、原契約及び本覚書に関して、乙丙間に一切の債権債務が存在しないことを相互に確認する。
本覚書締結の証として、本書3通を作成し、甲乙丙が各1通を保有する。×年×月×日
(甲)
【住所】
【氏名/名称】
【代表者名(法人の場合)】
(乙)【住所】
【氏名/名称】
【代表者名(法人の場合)】
(丙)【住所】
【氏名/名称】
【代表者名(法人の場合)】
連帯保証人を変更する場合に、債権者・旧連帯保証人・新連帯保証人の3者間で締結する合意書です。
連帯保証人を変更する旨(1条)に加えて、すでに発生している連帯保証債務の精算(2条1項)、新旧連帯保証人間での債務の分担(2条2項・3項)、当事者間での債権債務関係(3条)を定めておきましょう。
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4. 建物賃貸借契約の連帯保証人が特に注意すべきポイント
建物賃貸借契約の連帯保証人になる場合は、借金などとは異なる注意点があります。特に以下のポイントに十分ご注意ください。
4-1. 建物賃貸借契約の連帯保証人の義務は幅広い
建物賃貸借契約の連帯保証人は、賃料に加えて、契約終了時の原状回復義務や明渡しが遅延した際の損害賠償なども連帯保証するのが一般的です。想像以上に責任の範囲が広がる可能性があるので、連帯保証人になっていいかどうかは慎重に判断してください。
4-2. 建物賃貸借契約が更新される際にも、連帯保証は継続する
建物賃貸借契約は通常、何度も更新されることが予定されています。連帯保証人もそのことを理解しているのが通常なので、建物賃貸借契約が更新されても、連帯保証は原則として継続すると解されています。
たとえば「2年契約」となっていても、連帯保証人としての責任は2年を超えて続く可能性があることに留意してください。
4-3. 賃料の延滞が長期間にわたる場合の、連帯保証人の義務の範囲
賃借人が賃料を支払わなかった場合は、原則として連帯保証人が賃貸人に対して賃料を支払わなければなりません。
ただし、賃料の延滞が長期間にわたっているにもかかわらず、その旨を賃貸人(大家)が連帯保証人に通知することなく、賃借人との間で何度も契約更新を繰り返した場合は、連帯保証人の責任が無制限になりかねません。このようなケースでは、信義則上賃貸人への支払いを拒否できる可能性があります(東京地裁平成25年6月14日判決)。
5. 連帯保証債務の支払いを求められた際の注意点
債権者から連帯保証債務の支払いを求められた場合は、以下に挙げるポイントに留意しつつ対応しましょう。
5-1. 一部でも支払うと「追認」となり、無効や取り消しを主張できなくなる
連帯保証契約の無効や取り消しの原因がある場合でも、債権者の請求に応じて連帯保証債務を支払った場合には「追認」とみなされ、無効や取り消しの主張が認められなくなるおそれがあります。支払いを行う前に、弁護士に相談して拒否できないかどうかを慎重に検討しましょう。
5-2. 連帯保証契約の合意解除を認めてもらうのは難しい
無効や取り消しの原因がない場合、債権者が連帯保証契約の合意解除に応じる可能性は低いでしょう。代わりの連帯保証人を立てるなどの提案ができれば望みはありますが、それができない場合は難しいと考えられます。
連帯保証契約を合意解除できない場合は、連帯保証債務を支払うか、または債務整理をする方向で検討するほかありません。
5-3. 支払えないときは債務整理を検討する|弁護士に相談を
多額の連帯保証債務を請求され、支払いのめどが立たない場合は「債務整理」を検討しましょう。
債務整理は、債務の負担を軽減できる可能性がある手続きです。主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3種類があります。
任意整理:債権者と交渉して、利息・遅延損害金のカット減額、支払いスケジュールの変更を認めてもらう。
個人再生:裁判所を通じて債務を減額してもらう。
自己破産:裁判所を通じて債務を免責してもらう。高価な財産などは処分される。
債務整理を検討する際には、弁護士のサポートを受けるのが安心です。適切な債務整理の進め方についてアドバイスを受けることができ、必要な手続きもすべて任せられます。
連帯保証債務の支払いを求められて困っているときは、早い段階で弁護士にご相談ください。
6. 連帯保証人の解除についてよくある質問
Q. 連帯保証契約を解除するにはどうすればいい?
債権者と合意すれば解除できます。弁護士のサポートを受けて、合意解除に関する書面を作成してください。ただし、債権者が合意解除に応じてくれるケースは稀です。連帯保証契約を合意解除できず、債務を支払うこともできない場合は、弁護士に相談して債務整理を検討しましょう。
Q. 連帯保証人は支払いを拒否できる?
連帯保証契約の無効原因や取消原因がある場合は、支払いを拒否できます。無効原因としては書面・電磁的記録がないことや極度額の定めがないこと、取消原因としては錯誤・詐欺・強迫などが挙げられます。トラブルが起こった場合には弁護士に相談するのがおすすめです。
Q. 連帯保証人の契約に時効はある?
主たる債務が時効によって消滅した場合は、連帯保証人もその時効を援用できます。2020年4月1日以降の契約に基づいて発生した債務は、原則として債権者が権利を行使できることを知ったときから5年が経過すると時効消滅します。ただし、債権者による催告や訴訟の提起などにより、5年が過ぎても時効が完成しないケースや、時効期間がリセットされるケースもあるのでご注意ください。
Q. 亡くなった親が連帯保証人となっていた場合、解除はできる?
連帯保証人である親が亡くなった場合、その地位は相続人(子など)に引き継がれます。債権者と合意しない限り、相続人の一存で連帯保証契約を解除することはできません。
ただし、根保証の場合は連帯保証人が死亡すると元本が確定するので、死亡後に発生した債務を支払う必要はなくなります。
また、家庭裁判所に相続放棄の申述を行えば、連帯保証債務を免れることができます。相続放棄の期限は原則として、被相続人が亡くなったことを知った時から3カ月以内です。
Q. 夫や妻の債務を連帯保証している場合、連帯保証人から外れるには離婚すればいい?
離婚しても、連帯保証債務を免れることはできません。連帯保証型の住宅ローンを組む際などにはご留意ください。
7. まとめ 連帯保証人としての契約を解除するのは難しいため、弁護士に相談するのがおすすめ
連帯保証人としての責任を免れるためには、債権者と合意して連帯保証契約を解除するか、または連帯保証契約の無効や取り消しを主張する必要があります。
しかし実際には、連帯保証契約の解除・無効・取り消しが認められるケースは少数です。連帯保証債務の支払いができない場合は、弁護士のサポートを受けながら債務整理を行いましょう。「債務整理のとびら」には、連帯保証人の悩みを相談できる弁護士が多数登録されているので、ぜひご利用ください。
(記事は2026年1月1日時点の情報に基づいています)
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