クレジットカードの督促状が来なくなったら要注意!? 理由とリスク

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クレジットカードの滞納で督促状が来なくなった場合、法的手続きに移行した可能性があります(c)Getty Images
クレジットカードの支払いを滞納すると、督促状や催促状などのはがきが届きます。これらのはがきは、滞納が解消されるまで複数回届くのが一般的ですが、ある日を境にパタッと来なくなることがあります。 督促状が来なくなると精神的に安心するかもしれませんが、連絡がないからといって、カード会社が回収を諦めたわけではありません。むしろ、財産の差し押さえなど、法的手続きに進む準備をしている可能性があります。 督促状が突然届かなくなったら、早めに専門家に相談しましょう。借金の状況によっては、債務整理などを行うことで法的手続きへの移行を止められるかもしれません。クレジットカードの督促状が来なくなった理由や今後の対応について弁護士が解説します。

目 次

1. クレジットカードの督促状・督促電話が来なくなっても返済義務は残っている

2. クレジットカードの督促状が来なくなった理由で考えられるもの

2-1. カード会社の都合で手続きが進んでいない

2-2. 引っ越しなどにより送り先がわからない

2-3. 債権回収会社に債権を譲渡している

2-4. 法的手続きの準備をしている

3. クレジットカードの滞納を放置したときに起こること

3-1. 1日~:遅延損害金が加算される

3-2. 1カ月~:カード利用の停止

3-3. 3カ月~:ブラックリストに登録される

3-4. 4カ月~:強制解約・一括請求を受ける

3-5. 法的措置を取られる

3-6. 強制執行が行われる

4. クレジットカードの滞納による強制執行の回避策

4-1. 支払えるならすぐに支払う

4-2. 債権者と交渉して和解する

4-3. 法的措置に適切な対応をする

4-4. 債務整理をする

5. クレジットカードの督促について弁護士や司法書士に相談するメリット

5-1. 分割払いや支払い猶予の交渉がしやすくなる

5-2. 督促を停止させることができる

5-3. 裁判や差し押さえを防げる

5-4. 時効の援用ができる場合がある

5-5. 債務整理で借金問題を解決できる

6. クレジットカードの督促状に関するよくある質問

7. まとめ クレジットカードの督促状が来なくなっても早めの対応が重要
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1. クレジットカードの督促状・督促電話が来なくなっても返済義務は残っている

催促の電話や督促状のはがきが届かなくなったからといって、借金問題が解決したわけではありません。返済義務は変わらず残っています。むしろ、法的手続きなど次の段階に進むための準備をしている可能性があります。

今まで督促状を送っていたにもかかわらず、突然借金の回収を諦めることは考えにくいです。借金を回収するために、まさに何らかの準備をしている段階と考えておきましょう。

2. クレジットカードの督促状が来なくなった理由で考えられるもの

クレジットカードの督促状が来なくなる理由はいくつか考えられます。

2-1. カード会社の都合で手続きが進んでいない


カード会社の都合で送付が遅れている場合があります。

基本的に、〇日間支払いがない人にはまず電話をして、〇日間経過した場合ははがきを送る、など会社ごとに事務的な対応が決まっていますが、最終的には担当者の判断により手続きを進めていきます。

そのため、繁忙期や人手不足など、カード会社の状況によっては、対応が遅れることも考えられます。

2-2. 引っ越しなどにより送り先がわからない


引っ越しなどで住所が変わりカードの会員情報を更新していない場合は、督促状が届きません。

通常、引っ越しの際は郵便局に転送届を出すので、督促状も転居先に転送されます。しかし、面倒で転送届の手続きをしていない場合、督促状は転居先に届きません。借金の返済を滞納している人の中には、あえて転送届を出さない人もいます。

なお、転送届を出さなくても、一部の資格者であれば住民票を取得できるので、住民票を追うことで今の住所を調査することは可能です。

2-3. 債権回収会社に債権を譲渡している


カード会社は、債権回収会社に債権を譲渡することがあります。この場合、カード会社と債権回収会社から債権譲渡の通知が届きます。この通知のタイミングは会社ごとに異なります。滞納が長引いている場合には、債権譲渡の手続きを進めていることが理由で督促状が届かなくなっている可能性もあります。

債権を譲渡するとは、簡単に言うと「クレジットカードの滞納分を債権回収会社が代わりに回収する」ということです。そのため、今後はカード会社ではなく、債権回収会社から督促を受けることになります。

2-4. 法的手続きの準備をしている


滞納期間が長くなると、カード会社が弁護士に依頼したり、自社の法務部を活用したりして、法的手続きに移行するケースもあります。具体的には、支払督促や裁判などの手続きです。

弁護士に依頼する場合、1カ月程度は準備期間が必要です。また、裁判所に訴状を提出してから相手に訴状が送達されるまでにも、1カ月程度の時間がかかります。3月の年度末の場合、裁判所が人事異動などでバタバタしていることもあり、通常1カ月のところが2カ月程度かかることもあります。

このように、カード会社が法的手続きに移行した場合、督促を受けない空白期間が生じることがあります。督促状が来なくなっても、カード会社は回収を諦めたわけではないので、可能な限り早めに対応しましょう。

3. クレジットカードの滞納を放置したときに起こること

クレジットカードの支払いを滞納した場合、さまざまなデメリットやリスクが生じます。

3-1. 1日~:遅延損害金が加算される


クレジットカードの支払いが間に合わなかった場合、翌日から遅延損害金が加算されるのが一般的です。遅延損害金は、その名の通り「支払いが遅れたことによる損害を賠償するためのお金」です。遅延損害金の利率は高く設定されていることが多く、支払いが遅れるほど遅延損害金は膨らんでいきます。

クレジットカードの一回払いでは通常利息は取られませんが、支払いが遅れると、元金にプラスして遅延損害金も支払う必要が出てくるので注意が必要です。

3-2. 1カ月~:カード利用の停止


カードの引き落としができず一定期間が経過すると、カードの利用が停止されます。利用停止になるタイミングはカード会社によりますが、支払い日に引き落としができないと、少し経過してから利用停止になることがほとんどです。

滞納分を支払えば利用を再開できますが、翌月も滞納すると、カードの強制解約に繋がることが多いです。

3-3. 3カ月~:ブラックリストに登録される


クレジットカードの滞納が2カ月から3カ月ほど続くと、信用情報機関に事故情報が登録されます。いわゆるブラックリストと呼ばれるものです。一度ブラックリストに登録されてしまうと、滞納分を解消してから5年程度、事故情報は消えません

この期間は、クレジットカードの使用、ローンの契約、分割払いでの購入などが原則できません。特に、将来的にマイホームの購入を考えている人や、仕事で使う車を購入予定の人などは、大きな影響を受ける可能性があるため注意が必要です。

3-4. 4カ月~:強制解約・一括請求を受ける


長い期間に渡る督促にも応じない場合、いずれはクレジットカードが強制解約になります。ただ、このタイミングではすでにカードが利用停止になっていることが多いので、特に何かが変わるわけではありません。

しかし、強制解約になった後に滞納分を解消しても、原則としてカードの利用は再開できません。また、強制解約になると残っているカードの残額を一括で請求されます。リボ払いや分割払いの代金が多く残っている場合には、一括請求に応じるのは難しいでしょう。借金を一括で支払えない場合は、自己破産や個人再生などの債務整理を検討することになります。

3-5. 法的措置を取られる


クレジットカードを滞納していると、裁判所から「訴状」や「支払督促」などの書面が届くことがあります。

支払督促の流れを示した図。放置していると差し押さえを受ける
支払督促の流れを示した図。放置していると差し押さえを受ける

これは、カード会社が法的手続きに進んだことを意味します。裁判所からこのような書類が届くタイミングは一概には言えません。

3カ月から6カ月程度の滞納で届くケースもあれば、1年以上届かないこともあります。裁判所から書類が届いた場合、絶対に無視はしないでください。無視をすると、財産を差し押さえる強制執行の手続きに移行する可能性があります。

3-6. 強制執行が行われる


支払督促や裁判が確定すると、強制執行による財産の差し押さえに移行します。差し押さえの対象になるのは、給料や預貯金が多いです。給料が差し押さえになると、勤務先の会社にもバレます。

現実的に支払いが困難な場合は、弁護士や司法書士に相談してください。自己破産などの債務整理をした方がよい状況なのか、どのように借金問題を解決すべきなのか、などのアドバイスが受けられます。

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4. クレジットカードの滞納による強制執行の回避策

クレジットカードの滞納による強制執行を回避したい場合は、次の対応を検討しましょう。

4-1. 支払えるならすぐに支払う


クレジットカードの滞納分を払える状況であれば、すぐに支払った方が賢明です。すぐに支払いを済ませれば、基本的に大きな問題になることはないでしょう。

金額にもよりますが、滞納のリスクを考えると多少生活費を削ってでも支払った方がよいケースもあります。場合によっては、親族などから援助してもらうことも検討してみましょう。

4-2. 債権者と交渉して和解する


滞納分が支払えない場合は、カード会社に支払い方法の相談をするのも一つの手です。交渉次第では分割払いに応じてもらえる可能性もあります。

カード会社からすると、利用者から滞納分を強制的に回収する手段は法的手続きしかありません。しかし、これらの対応には手間と時間がかかります。任意に支払ってもらえるのであれば、カード会社が和解に応じる可能性は十分にあります。相談の際は、現在の状況といつまでに支払えるのかを明確に伝えましょう

4-3. 法的措置に適切な対応をする


カード会社が法的手続きに移行した場合、これらの法的措置に対して適切な対応を取ることも重要です。この段階でも、カード会社との交渉次第で差し押さえを回避できる可能性もあります。

裁判所から書類が届いた場合は、絶対に無視をせずにしっかりと対応しましょう。自分での対応が不安な場合は、弁護士に相談してください。

4-4. 債務整理をする


クレジットカードの滞納分が払えない場合は、債務整理も検討するとよいでしょう。債務整理とは、裁判所を通じて借金を減らしたり、債権者との交渉で返済計画を見直したりする手続きのことです。

原則として、借金はいずれ返さないといけません。しかし、無い袖は振れませんので、返済できない状況であれば早めに債務整理を検討すべきです。

債務整理の手続きには主に、自己破産、個人再生、任意整理の3つがあります。その人の状況によって、最適な手続きは異なります。債務整理は弁護士や司法書士に依頼するのが一般的ですので、まずは専門家に自分の状況を伝えて、相談してみてください。

5. クレジットカードの督促について弁護士や司法書士に相談するメリット

クレジットカード会社から督促状が届いたり、法的手続きに移行していると考えられたりする場合には、なるべく早めに弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう。ここでは、専門家に相談するメリットをご紹介します。

5-1. 分割払いや支払い猶予の交渉がしやすくなる


自分でカード会社と交渉するよりも、弁護士や司法書士などの専門家が交渉した方がスムーズに話が進みます。カード会社からしても、専門家が介入したことで真剣に対応せざるを得なくなり、分割払いや支払い猶予について、柔軟な条件を引き出せる可能性が高まります

ただし、交渉に応じるかどうかは、カード会社の任意です。必ずしも希望どおりの条件になるとは限らないことに注意が必要です。

5-2. 督促を停止させることができる


弁護士や司法書士に債務整理を依頼すると、債権者(カード会社など)に受任通知と呼ばれる書面が送られます。債権者が受任通知を受け取ると、法律上、直接の取り立てが禁止されます。そのため、督促状のはがきが届くこともなくなります。

督促が止まることで、精神的な不安が軽減されて気持ち的にも安心する人は多いでしょう。専門家に手続きを任せられるので、前向きに生活できるのも弁護士や司法書士に相談する大きなメリットです。

5-3. 裁判や差し押さえを防げる


弁護士や司法書士が代理人となって手続きを進めれば、裁判などの法的手続きへの移行を遅らせてくれる可能性があります。裁判する時間や労力を考えると、任意に支払う約束を取り付けた方が業者としてメリットが大きいと判断されるからです。

ただし、弁護士や司法書士が間に入ったからといって、法的手続きに移行することが禁じられているわけではありません。交渉が長引いている場合などは、債権者が裁判手続きに移行することも考えられるので、迅速に対応を進めることが重要です。

5-4. 時効の援用ができる場合がある


借金には時効があり、一定期間が経過している場合には、時効援用の手続き(時効を主張すること)によって、支払い義務がなくなる可能性があります借金の時効は5年または10年です。この期間のカウントは、基本的に「最後に返済した日」もしくは「最後にお金を借りた日」からスタートします。

時効が成立しているかどうかや、援用の手続きなども専門的な知識が必要ですので、自分ひとりで対応するのは困難です。専門家に依頼すれば、手続きを一任できます。

5-5. 債務整理で借金問題を解決できる


債務整理をすれば、借金問題の根本的な解決に繋がります。債務整理には、主に自己破産、個人再生、任意整理の3つがありますが、各手続きの特徴は以下のとおりです。

債務整理の3種類を比較した図。それぞれメリットデメリットがある
債務整理の3種類を比較した図。それぞれメリットデメリットがある

・自己破産:裁判所を通じて、借金が全額免除される(一部免除されないものもある)
・個人再生:裁判所を通じて、借金が大幅に減額される
・任意整理:債権者との交渉で、遅延損害金のカットや返済スケジュールを見直してもらう

どの手続きを選択すべきかは、その人の状況によって異なります。クレジットカードの滞納以外にも複数の借金があり、どうにもならない状況であれば、自己破産か個人再生を選択することになるでしょう。

債務整理は弁護士か司法書士に依頼して進めるのが一般的ですが、かかる費用も手続きごとに異なります。多くの事務所では無料相談も受け付けているので、まずは実際に相談して、専門家から話を聞いてみるとよいでしょう。

なお、司法書士は1社あたりの借金が140万円以下の債務整理にしか対応できないので、相談する際は注意してください。

6. クレジットカードの督促状に関するよくある質問

Q. クレジットカードの督促状はいつ来る?


督促状が届くタイミングは、クレジットカード会社によって異なります。早ければ滞納から1週間程度で届きますし、遅いと2週間から3週間程度の場合もあります。基本的に滞納から1カ月程度経過すると、どのカード会社からも届くケースが多いです。

Q. クレジットカードの滞納は何年で時効になる?


クレジットカードの滞納は、原則として最終取引日から5年で時効になります。ただし、裁判を起こされて判決が出ているケースなどでは、判決から10年経過しなければ時効が成立しなくなるので、注意が必要です。

Q. クレジットカードの請求書や督促が来ない場合はどうする?


請求書や督促が来ない場合でも、支払い義務が消えたわけではありません。法的手続きへの移行の準備をしている可能性もあるので、なるべく早く支払いましょう。支払えないのであれば、弁護士や司法書士に相談して、債務整理を検討するのがおすすめです。

Q. クレジットカードの滞納により刑事罰を受けることはある?


クレジットカードの支払いを滞納しても、それだけで刑事罰を受けることはありません。ただし、クレジットカードを作成する際に虚偽申告がある場合などは、詐欺罪に該当する可能性もあります。

Q. クレジットカードの支払い滞納は逃げ切れる?


逃げ切ることは難しいですが、業者側の調査能力にも限界があり、財産のない人から無理やり回収はできません。そういう意味で、5年間または10年間逃げ切ることで時効が成立する可能性もゼロではありません。

しかし、この期間はクレジットカードが使えませんし、ローンも組めません。また、住所がわからなくても裁判を起こすことはできるので、現実的に借金から逃げ切ることは難しいと考えておきましょう。

7. まとめ クレジットカードの督促状が来なくなっても早めの対応が重要

クレジットカードの督促状が来なくなった場合でも、カード会社が回収を諦めたわけではなく、支払い義務が消えたわけでもありません。借りたお金である以上、いずれはきちんと支払う必要があります。

督促状が来ないからと支払いを放置すると、裁判所から突然書類が届くかもしれません。一定期間滞納を続けると法的手続きに移行する可能性が高まるため、早めの対応を心掛けましょう。

現実的に支払えない場合は、債務整理も検討すべきです。債務整理の手続きを自分で進めるのは難しいため、まずは弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう。

(記事は2025年8月1日時点の情報に基づいています)

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この記事を書いた人

加藤 高明(弁護士)

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Adam法律事務所 代表弁護士
2008年関西学院大学大学院情報科学専攻修了。法科大学院を経て、2011年司法試験合格、2012年弁護士登録、2022年Adam法律事務所設立。現在は、青年会議所や商工会議所青年部を通じた人脈による企業法務、借金問題、相続問題、男女問題などに従事する。趣味は筋トレやスニーカー収集。岡山弁護士会所属、登録番号47482。
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