FX取引で多額の借金 返せない場合の対処法

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もしFX取引で借金をしてしまったら、早めに対処することが重要です(c)Getty Images
「FX」は「Foreign Exchange」の略で、米ドルなどの外国通貨を売買して利益を狙う金融商品を指します。自己資金が少額であっても多額の資金を動かせるハイリスク、ハイリターンの投資方法で、やり方を間違えると大きな借金を負う可能性があります。 FXで抱えてしまった借金の返済で困っている人は少なくありません。債務整理をすることで問題解決が図れる可能性があるため、早めに弁護士に相談しましょう。 FXにおける借金問題とその対処法について弁護士が解説します。

目 次

1. FX(外国為替証拠金取引)の特徴

2. FXで多額の借金を負うのはなぜ?

2-1. 借金をして準備した証拠金を失ってしまう

2-2. 急激な相場変動によって、口座残高がマイナスになる

3. FXで借金を抱えやすい人の特徴

3-1. 感情的になりやすい

3-2. ギャンブルが好き

3-3. 知識がないのに運よく利益を得てしまった

4. FXで借金を抱えた場合のリスク

4-1. 借金地獄に陥る

4-2. 新たな借り入れができなくなる

4-3. 返済できないとブラックリスト入りする

4-4. 自己破産をしても免責が認められない

4-5. 借金に追い詰められて犯罪に手をそめる人もいる

5. FXで借金をしないための対策

5-1. 勉強してからデモトレードで練習する

5-2. レバレッジをかけすぎない

5-3. 借金をしてまで取引をしない

6. FXによる借金が返せない場合は債務整理の検討を

6-1. 債務整理とは

6-2. 債務整理の主な種類

6-3. 務整理について弁護士に相談するメリット

7. FXと借金に関してよくある質問

8. まとめ FX取引による借金で悩んでいる場合は、弁護士に相談を
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1. FX(外国為替証拠金取引)の特徴

「FX(Foreign Exchange)」は、正式には「外国為替証拠金取引」と言います。FX会社に取引のための資金(証拠金)を差し入れ、日本円と米ドルなど2つの国の通貨の為替相場を予測して売買を行う金融商品です。

FXは少額の資金で取引が始められるため、比較的誰でも始めやすいというメリットがあります。レバレッジといって、担保として預けた証拠金の何倍にも相当する資金を動かして取引をできる点が大きな特色です。

たとえば、10万円分の日本円と米ドルの取引をしたい場合、レバレッジを10倍に設定すれば証拠金は1万円、レバレッジを20倍に設定すれば証拠金は5000円で済みます。

一方で、FXは元本も利益も保証されない取引です。レバレッジによって、預けている証拠金以上の損失が生じるケースもあります。損失の拡大を未然に防止するために強制的に決済する「ロスカット」という制度が存在しますが、それでも相場の急激な変動などによってロスカットが間に合わない場合もあります。その場合には手元資金から損失を補填しなければならず、これが借金の原因の一つとなります。

2. FXで多額の借金を負うのはなぜ?

FX取引が原因で借金を負ってしまう主な理由として、次の2つが挙げられます。

2-1. 借金をして準備した証拠金を失ってしまう


少額の資金でも取引ができるとは言え、大きな利益を狙うには、相応の証拠金を用意して取引をしなければなりません。そのため、一攫千金を狙い、手元資金がないにもかかわらず多額の借金をして証拠金を準備し、FXを始めるケースがあります。

また、当初は手元資金から証拠金を準備していたものの、損失を重ねて証拠金を失った結果、「負け続けたままでは悔しい」「次こそは勝てるはず」などと考え、借金をしてまで証拠金を追加するケースもあります。

しかし、このようにして借金をして証拠金を準備した場合、取引によって損失が生じて証拠金を失うと、最終的に借金だけが残ってしまいます。借金をして証拠金を準備するような場合は余剰資金がありませんから、借金の返済も困難なことが多いでしょう。

2-2. 急激な相場変動によって、口座残高がマイナスになる


FXでは、損失の拡大を未然に防止するため強制的に決済をする「ロスカット」という制度が存在します。

しかし、急激な相場変動が起こるとロスカットが間に合わず、証拠金以上の損失が生じて口座残高がマイナスになってしまう場合があります。この場合、FX会社からは、マイナス分を補填するための金額を口座に入金することを求められます。これを追加証拠金(追証)と言います。

手元資金からマイナス分を補填できればよいのですが、足りない場合には借金をして補填する事態になり得ます。

3. FXで借金を抱えやすい人の特徴

FXで借金を負ってしまう人の多くは、次のような傾向が見られます。

3-1. 感情的になりやすい


FXに限らず、投資は冷静な判断が大切であり、感情的な判断は危険です。たとえば、「負けたままでは終われないから、いちかばちかの勝負をしよう」などと感情的な判断をしていると、大きな損失を抱えやすくなります。

3-2. ギャンブルが好き


ギャンブルが好きな人は、短期間での一攫千金を求める傾向があります。FXも短期間で成果が出やすく、レバレッジによって大きな利益も狙えることからギャンブルに似た性質があります。そのため、負け続けても「次で勝てば取り戻せる」などと考えてしまい、借金をしてでも取引を続けてしまう可能性が高いでしょう。

3-3. 知識がないのに運よく利益を得てしまった


いわゆるビギナーズラックで大きく利益を出した経験がある人も注意が必要です。この場合、十分な知識をつけることがないまま、勘や運に頼って取引を続けてしまいがちです。

その結果、「次も勝てる気がする」「もっとレバレッジをかければさらに利益が出るはず」などと根拠なく大きなレバレッジをかけて取引をしてしまい、大きな損失を被るケースがあります。

4. FXで借金を抱えた場合のリスク

FXが原因で借金を負った場合、次のようなリスクが生じます。

  • 借金地獄に陥る

  • 新たな借り入れができなくなる

  • 返済できないとブラックリスト入りする

  • 自己破産をしても免責が認められない

  • 借金に追い詰められて犯罪に手をそめる人もいる

4-1. 借金地獄に陥る


FXのために一度借金をすると、借金をして取引を続けることへの心理的ハードルが下がります。その結果、損失を取り戻そうとして借金を繰り返してしまい、最終的に借金の返済が不可能になる場合があります。FXは、ギャンブルと同様、「次こそ利益が出るはず」などとのめり込みがちな点に注意が必要です。

4-2. 新たな借り入れができなくなる


借金を繰り返していると、通常の貸金業者からは新たな借り入れができなくなる可能性があります。「総量規制」といって、貸金業者は利用者の年収の3分の1を超えて貸し付けてはならないという規制があるためです。

新たに借り入れができなくなると、給料などの収入だけで生活費と借金の返済をしなければならなくなり、生活が苦しくなる場合も多いでしょう。その場合は、早めに弁護士に相談することが大切です。

4-3. 返済できないとブラックリスト入りする


借金を繰り返していると月々の返済額が増え続け、いつかはお金の工面が追いつかなくなってしまいます。こうして借金の返済を滞納すると、信用情報機関に滞納している旨の情報が登録されてしまいます。このように、信用情報機関にネガティブな情報が登録されている状態が、俗に「ブラックリストに載っている」と言われるものです。

信用情報は銀行などが融資をする際に参照されるものです。そのため、滞納というネガティブな情報が登録されてしまうと、クレジットカードが使えなくなる、住宅や自動車のローンが組めなくなる、携帯電話代の分割払いができなくなるなどの不利益を被る可能性が高まります。

4-4. 自己破産をしても免責が認められない


破産法は「免責不許可事由」を定めています。これは、自己破産しても例外的に借金が免除(免責)されない理由を言います。免責不許可事由に該当すると、原則として借金を免除してもらえません。

免責不許可事由の一つとして「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと」(同法252条1項4号)という事由があり、FXは「射幸行為」に該当します。つまり、FXを原因として多額の借金(債務)を負った場合、原則として借金を免除してもらえない、ということです。

ただし、免責不許可事由に該当する場合でも、「裁量免責」といって裁判所の裁量によって借金を免除してもらえる可能性があるため、必ずしも自己破産をあきらめる必要はありません

4-5. 借金に追い詰められて犯罪に手をそめる人もいる


FXの損失を埋めるために窃盗や横領などの犯罪に手をそめてしまうケースがあります。過去にもそのような事例は多々ありますが、最近では、三菱UFJ銀行の従業員が貸金庫から顧客の財産を盗んだというニュースが話題になりました。この事件も、FX取引などの損失が膨らみ、借金を抱えていたことが犯行の動機であると報道されています。

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5. FXで借金をしないための対策

FXで借金をしないために、取引の際は次の3点に注意しましょう。

  • 勉強してからデモトレードで練習する

  • レバレッジをかけすぎない

  • 借金をしてまで取引をしない

5-1. 勉強してからデモトレードで練習する


FXの経験がない初心者がいきなり自分の資金で取引するのはリスクがあります。まずは勉強をしてFXの仕組みやリスクを十分理解するようにしましょう。また、勉強して知識をつけたと思っても、実際に取引をしてみると、想定外の事態に直面するケースも少なくありません。たくさんのFX会社で仮想の資金を使って展開しているデモトレードで事前に練習しておくことをお勧めします。

5-2. レバレッジをかけすぎない


FXは証拠金の最大25倍の金額で取引できる点が特色であり、大きな利益が得られる可能性ある一方、それだけ大きな損失を被る可能性もあります。レバレッジをかければかけるほどハイリスク、ハイリターンになるため、リスクが現実化した場合には借金を抱える原因となります。レバレッジはかけすぎないようにしましょう。

5-3. 借金をしてまで取引をしない


FXをしていると、つい「もう少しお金があれば儲けられそう」「負けたままでは悔しい」と考えてしまいがちです。

しかし、FXで必ず儲けられる保証はどこにもありません。あくまでも余剰資金の範囲で取引をし、借金をしてまで取引をすることは避けたほうがよいでしょう。

6. FXによる借金が返せない場合は債務整理の検討を

借金が多額になり、返済が難しくなった場合は、借金問題解決のための「債務整理」を検討しましょう。

6-1. 債務整理とは


債務整理とは、借金を減らしたり、支払いに猶予を持たせたりするなど、借金の問題を解決する手続きです。

6-2. 債務整理の主な種類


債務整理の主な種類は、「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つです。それぞれの手続きの特徴やメリット、デメリットは下記のとおりです。

①任意整理|貸金業者と交渉し利息をカット
任意整理とは、裁判所を利用せず、貸金業者と直接和解交渉し、3年から5年程度の長期の分割払いで返済する手続きです。

メリットは、将来利息をつけない返済計画となる可能性が高く、返済の負担が相当程度軽減されることや自己破産のように財産を失う心配がないことなどです。デメリットは、信用情報機関に登録されることや、個人再生や自己破産と異なって元本自体を減額する選択は難しいことなどです。

そのため、返済に充てられる資金(返済原資)を毎月一定程度確保できる人向けの手続きと言えます。

②個人再生|借金を大幅に減額できる
個人再生とは、すべての債権者(お金を貸した側)に対する返済総額を少なくし、少なくなったあとの金額を原則3年間で分割して返済する再生計画を立て、計画どおりの返済をすることによって、残りの債務が免除される手続きです。たとえば、400万円ある借金を100万円に少なくしてもらい、3年かけて毎月約2万8000円、合計100万円を支払って返済することで、残りの300万円の借金が免除されるというものです。

メリットは、借金を大幅に減額できることや自宅不動産を手放さずに残せる可能性があることなどです。デメリットは、信用情報機関に登録されること、保証人に請求がなされてしまうこと、個人再生した事実が官報に載ることなどです。

住宅ローンの残っている自宅を持っており、できれば自宅に住み続けたい場合や、生命保険外交員や警備員など破産者であることが欠格事由となっている職業に就いている人に主に利用される手続きです。

③自己破産|借金の返済が不要に
自己破産は、裁判所に申立てをして、自分の抱えている借金の返済を免除してもらう手続きです。

メリットは、借金を一切返済しなくてよくなることです。ただし、税金など一部免除されないものもあります。デメリットは、手続きの過程で不動産や生命保険の解約返戻金などの一定の価値のある物は換価されて借金の返済に充てられること、信用情報機関に登録されること、保証人に請求がなされてしまうこと、自己破産した事実が官報に載ることなどです。

債務整理の3種類を図解。それぞれにメリットとデメリットがある
債務整理の3種類を図解。それぞれにメリットとデメリットがある

6-3. 務整理について弁護士に相談するメリット


債務整理について弁護士に相談することで、次のようなメリットがあります。

①事情に合った適切な債務整理の方法を教えてもらえる
債務整理の方法は複数あり、それぞれメリットやデメリットが異なります、自分にとってどの債務整理がふさわしいのか、適切に判断することは難しい場合もあるでしょう。その場合、弁護士に相談することで、個別の事情に合った適切な債務整理の方法を教えてもらえます。

②債務整理の手続きを代行してくれる
いざ債務整理を進めたいと思っても、手続きには知識や手間、時間を要します。そのため、当事者本人だけで対応するのは難しい場合が多いでしょう。たとえば、個人再生や自己破産は裁判所に申し立てる必要があり、法的知識を要するため、当事者自身が進めることは困難です。弁護士に依頼すれば、これらの手続きを代わりに進めてもらえます。

③弁護士が窓口になってくれる
弁護士が代理人になった場合、弁護士が対応の窓口になり、当事者本人は債権者と直接やりとりをせずに済みます。債権者からの督促は精神的な負担になるため、督促から解放されるメリットは大きいでしょう。私も弁護士としてこれまで多くの債務整理の相談を受けていますが、債権者からの督促で精神的に疲弊している人はかなり多く、弁護士が窓口になることで安心するケースが多いです。

7. FXと借金に関してよくある質問

Q. FXをすると、みんな借金を負う?


FX取引をしたからといって、全員が借金を負うわけではありません。レバレッジをかけすぎないなど、無理のない範囲で取引をする限り、借金をするリスクは低いと言えます。大前提として、借金をして証拠金を準備することはないようにしましょう。

Q. FXによる借金の時効は?


借金の請求権が時効によって消滅するための期間(消滅時効期間)は、原則として5年です(民法166条1項1号)。時効期間を過ぎた場合、そのことを債権者に主張することで借金を返済せずに済みます。これを「消滅時効の援用」と言います。

時効期間は基本的に「返済日」の翌日からカウントをスタートします。たとえば、2025年3月31日が返済日であったにもかかわらず返済ができなかった場合、翌日の4月1日からカウントをスタートします。時効期間の開始日は事情によって変わるので、自身のケースで時効期間が過ぎているかは弁護士に相談するようにしましょう。

ただし、債権者が時効完成まで放置することは期待できません。通常、時効完成前に債権者によって訴訟が提起されてしまいます。そして、その判決が確定した場合、時効期間はその翌日から10年になります(民法169条1項)。預貯金などの財産を差し押さえられるリスクもあるため、早めに弁護士に相談するようにしましょう。

8. まとめ FX取引による借金で悩んでいる場合は、弁護士に相談を

最近はインターネットでさまざまな情報を調べることが可能であり、FX取引で負った借金について自身でいろいろと調べる人も多いでしょう。

ただ、インターネット上の情報は誤った内容を含む場合があります。たとえば、「FX取引による債務が原因の場合は破産できない」といった情報もありますが、必ずしもできないわけではありません。そのようななかで、専門家でない人が正しい情報を見極めることは難しいものです。

債務整理に詳しい弁護士であれば、個別の事情に合った適切な情報を提供し、アドバイスができます。

FX取引による借金で困ったら、早めに弁護士に相談し、正しい情報を得たうえで対応を決めるようにしましょう。

(記事は2025年4月1日時点の情報に基づいています)

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この記事を書いた人

勝本広太(弁護士)

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川崎相続遺言法律事務所 弁護士
中央大学卒業。神奈川県弁護士会所属。登録番号53382。所属事務所では相続遺言問題に力を入れている一方、個人的には債務整理に力を入れている。任意整理や個人再生、自己破産などさまざまな相談に対応している。
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